19条連絡会ニュース №2 発行日:2018年6月7日 発行:あん摩師等法19条連絡会     〒169-8664 東京都新宿区西早稲田2-18-2 日本盲人福祉センター内     電話:03-3200-0011(代表) FAX:03-3200-7755 発行責任者:竹下義樹 (幹事会の開催後に発行) ────────────────────────────────────── ────────────────────────────────────── 審理の山場を見据えて あん摩師等法19条連絡会 会長 竹下義樹(たけした・よしき) あん摩師等法19条訴訟は、提訴以来2年を迎えようとしている。この間の審理はのんびりしているようにも見えるが、リーディングケースとなる行政処分取消訴訟としては特に遅いとも言えないように思う。すなわち、裁判を提起した原告は一つ一つの論点を確かめながら主張・立証を展開せざるを得ないのであり、迎え撃つ国には先例などによる十分な備えはないし、そして審理を進める裁判所も慎重に審理を進めざるを得ないのである。  論点は幾つかに分かれるとしても、主要な論点はあん摩師等法19条ないし19条に基づく処分(不認定決定)が憲法22条1項に反しているか否かである。そこには、平成医療学園グループ自身の「営業の自由」としての憲法22条違反の有無とあま師という職業を希望する晴眼者の職業選択の自由が含まれている。他方、あん摩師等法19条による制限が解除された場合、大量のあま師が免許を取得し、現在の柔道整復師や鍼灸師が遭遇している過当競争があま師においても出現することになる。そのことは、国民にとって望ましい情況とは言えないはずである。なぜならば、過当競争となれば、あま師の質の低下や悪質なあま師が出現するし、国民の安全や適正な保健衛生という環境も崩れることになるからである。したがって、私たちの戦いは、視覚障害者のあま師を中心とする職業選択の自由を確保するためのものであると同時に、業界にとっても、国民にとっても有益なものであることを広めることが必要である。あん摩師等法19条訴訟の審理が佳境に入る段階で、そうした理解が広がり、裁判所にもそのことが理解され伝わる運動をしなければ、私たちの戦いは成功しないし、国にとっての勝訴ももたらされないのである。どの時点を山場と見るかを分析し、運動としての山場も審理に合わせて作ることが大きな課題である。 ────────────────────────────────────── ■ 連絡会第8回幹事会議事要旨 ■ ────────────────────────────────────── 1 日時:平成30年4月28日(土)10:00~12:00 2 場所:日本盲人福祉センター研修室 3 出席者 日盲連:竹下、小川、伊藤、三宅、(事務局 逢坂、小柴) 全視協:田中、東郷、生田目 理教連:栗原、本田、杉本 日マ会:野本 全鍼師会:仲澤 19条を守る東北協議会:及川 あはき法19条関東協議会:鈴木 近畿19条問題対策協議会:辰已 オブザーバー:筑波技大・藤井 4 竹下会長挨拶 ・三か所で行われている19条裁判の今後の展開について。関係者が一堂に会し議論をする時期に来ているのではないか?  ・ 厚労省医事課の担当者が全員交代したので、新担当者と懇談会を持ちたいと思っている。 5 審議事項  (1)連絡会口座の開設について;開設に当たっては、規約および連絡会の活動内容をしめす書類が必要。お金の出し入れについては、代表者の身分証明書と委任状があれば会計として登録済みの生田目さんの印鑑で可能なことが確認できた。手続きを進める。又、使途については、事務費および事務作業補助者に時給千円を支払うことで決定した。  (2)新たな情勢について;大阪・東京に続き仙台の裁判長も交代したが、裁判長が変わると今までと違った進め方になる可能性があるので注目していく必要がある。  又、医事課の担当者が交代したので会長(竹下)が国と接触し、結果を次回幹事会に報告する予定。 6 各団体及び各ブロックの取組み 理教連:引き続き署名運動を行っているが、その他大きな進展はない。  全視協:裁判ごとに集約をしている。  日マ会:今年度の署名運動と資金集めにつき戦略を検討中。  全鍼師会:会員に晴眼者が多く19条問題に否定的な人も多いので一層の理解を深めていくように努力している。  日盲連:現在の署名数は東京21,575 大阪23,018 仙台25,733、葉書の発送は35,220。 東北ブロック:今回30万円の交通補助費をいただいた。過去の清算をした結果、残金はなし。又、団結力を維持強化していくためにシンポジウムの第二弾を計画中。地裁の担当裁判長と右陪席が変わったので近々面会し協力要請をしたい。  関東ブロック:9月・12月・2月と毎回口頭弁論の前に民事第三部を訪れ署名用紙を手渡した。院内集会を企画したが諸事情のため断念、日盲連が計画している全国集会に協力していく。ブロックの署名数やカンパも少ないので各団体に、より一層の協力要請をしている。  近畿ブロック:今年度も研修会と街頭宣伝活動を行いたい。資金については不足気味なので報告集会の時などに募金箱を設置したい。  SNSの開設には慎重を期する必要がある。裁判所の対応は改善しつつある。 7 東北・関東・近畿以外での集会の実施について ・全国各支部で学習会を開き、敗訴した場合の悪影響を認識するための議論が必要。 ・コンサートや演劇界の場を借りて19条裁判の活動状況を無関心層にPRして一般の人の理解を広めていくことなどが提案された。 ・また、全国集会を企画する場合、三千人を一堂に集めるか、又は、中央集会に五百人集め、各ブロックで同日同時間に数百人ずつ集め、トータルで三千人とするかについて意見交換した。 藤井:業界関係者は19条問題を視覚障害者だけの職業問題と認識しているようだが、もしも、敗訴し多数のあま師が誕生すれば鍼灸の現状を見ても明らかなように過当競争が激しさを増し、廃業を余儀なくされるケースが増えると予想される。健常者にとっても他人事ではないことを周知していくことが必要ではないか。 8 啓発活動について ・日盲連ではパンフレットとチラシを5千部ずつ、点字を千部ずつ印刷し、各団体に配布した。今後の活用法につき日盲連の理事会・評議員会で意見交換をしたい。又、一般に周知していくのにはチラシが効果的である。  19条連絡会ニュース第2号の発行については日盲連が原案を作成し、幹事団体にメールで送り、異議が無ければ5月中に発行する予定。 9 活動資金について ・19条訴訟闘争活動における収支報告が近畿・関東・東北の各協議会から行われた。 ・今回は表記がわかりにくいとの意見が多く出されたが、収支報告は承認された。 ・近畿は会場費が負担と成り、東北はエリアが広いため人集めなどで負担が多くなっている。 ・各協議会とも独自の資金集めを検討中。 ────────────────────────────────────── ■ 裁判の状況をどう見るか ■ ────────────────────────────────────── あはき法訴訟の争点と平成29年度内になされた当事者の主張の概要                   つくし法律事務所 弁護士 岡田 康平(おかだ・こうへい) 第1 はじめに    平成28年9月にあはき法19条訴訟が提訴されてから約1年9か月が経過した。この間,原告(学校法人平成医療学園)と被告(国)の双方から準備書面が複数回提出され,双方の主張構造の大枠が明確になる程度に訴訟記録が蓄積されるに至っているため,今般,平成29年度内に提出された訴訟記録から明らかとなった本件訴訟の争点と双方の主張等を整理することとする。 第2 本件訴訟の争点   1 あん摩マッサージ指圧師(以下「あん摩師」という。)の養成施設の新設を認定しない処分(以下「本件処分」という。)が,職業選択の自由を保障する憲法22条1項に違反するか否か。   2 あはき法19条1項が,人の行為を規制する法律の規定の明確性を要求する(明確性の理論)憲法31条及び同13条に違反するか否か。 第3 争点に対する当事者の主張   1 争点1(憲法22条1項適合性)に対する当事者の主張   (1)原告の主張【違憲】      本件処分によって①原告があん摩師の養成施設の運営という職業選択ができなくなり,②あん摩師になろうとする晴眼者が原告らの運営するあん摩師の養成施設を利用してあん摩師になるという選択ができなくなったため,あはき法19条1項は,憲法22条1項に違反する。 具体的主張は以下のとおりである。 ア あはき法19条制定当時の状況と異なり,視覚障害者の職業選択の道は広がりつつある。 イ あはき法19条1項の「当分の間」とは,同項制定当時の被猶予者(あはき法制定当時の医療類似業者)が高齢ないしは死去により業が行われなくなるまでの間をいうと解すべきであるところ,その猶予期間は既に経過している。 ウ 視覚障害者の生計の維持が困難になっているのは行政の不作為やあん摩師類似行為を業とする者が蔓延していることなどによるものであり,あはき法19条に合理性はない(晴眼者のあん摩師の数や割合等の増加と視覚障害者のあん摩師の生計の維持との間には関連性がない。)。 エ あはき法19条の制限を撤廃しても,視覚障害者に対する経済活動の援護や事務の介助,保険申請の介助,障害年金の支給,生活保護による生活扶助等の社会保障がされていればよいといえる。 オ 仮に晴眼者のあん摩師の増加により視覚障害者のあん摩師の生計の維持が脅かされる可能性があるとしても,あはき法19条1項の制限は,その目的達成のために許容される限度を超えたものである(晴眼者のあん摩師の養成施設の設置要件を厳格にすることや,晴眼者のあん摩師試験の合格者を制限したり,養成施設の設置を養成施設が少ない地域に限って認めたりすることなどにより,視覚障害者の生計維持は可能である。)。   (2)被告の主張【合憲】 立法政策上の問題である本件事案において妥当する違憲審査基 準は,いわゆる明白性の基準(立法府がその裁量権を逸脱し,当該法的規制措置が著しく不合理であることが明白である場合に限って,これを違憲と判断する基準)であり,あはき法19条1項は著しく不合理であることが明白であるとはいえないため,憲法22条1項に違反しない。   具体的主張は以下のとおりである。 ア 「当分の間」とは,視覚障害者がその生計の維持をあん摩関係業務に依存する必要がなくなるまでの間をいうところ,視覚障害者が現在もあん摩師の業務に依存している状況に変わりはなく,あはき法19条1項の規定が不要となる程度に視覚障害者の雇用環境が改善しているとは到底認められない。 イ 視覚障害者の生計の維持が困難になっているのは晴眼者のあん摩師の増加が原因であるから,あはき法19条の規制の必要性が認められる。また,あはき法19条の規制は,視覚障害者の限られた職域の中でも特に重要なあん摩師という職業の過当競争による弊害が大きい場面に限定されており,その期間も「当分の間」という立法目的の達成のために必要かつ合理的な期間にとどまっている。さらに,厚生労働大臣等の裁量により学校等の新設の認可が認められる場合もある上に,不認可処分の慎重を期すための医道審議会の意見聴取という手続的な担保も設けられている。 ウ あん摩師になろうとする晴眼者の職業選択の自由を制限することを理由として本件処分の違法をいう原告の主張は,学校法人である原告の法律上の利益に関係のない違法を主張するものであって,行政事件訴訟法10条1項により失当である。また,晴眼者は,既に設立されている養成施設を利用することによりあん摩師の資格を取得できるため,晴眼者の権利は何ら侵害されていない。   2 争点2(憲法13条・31条適合性)に対する当事者の主張   (1)原告の主張【違憲】    ア 憲法31条の保障は,行政手続にも及ぶ。 イ 人の行為を規制し,処罰する法律が明確な法文構成をとるべきことは,憲法13条,31条の要請するところである(明確性の理論)。 ウ あはき法19条1項では不承認の基準が設けられておらず,その全てが文部科学大臣又は厚生労働大臣の裁量に委ねられているため,明確性の理論に反する。 (2)被告の主張【合憲】    ア 明確性の理論は,精神的自由(表現の自由,信教の自由等)を規制する立法が明確でなければならないとするものであり,職業選択の自由を規制する立法には妥当しない。 イ あはき法19条1項は,不認定の要件として「あん摩マツサージ指圧師の(中略)必要があると認めるとき」という基準を設けているから,認定基準が設けられていないということはない。 ウ 生計の維持に必要な収入は家族構成,年齢,物価等多数の不確定要素を考慮してはじめて決定しうるものであることからすれば,年収がいくら以下になれば視覚障害者のあん摩師の生計の維持が著しく困難になるという画一的な基準を示すことは立法技術上およそ不可能である。 第4 おわりに―今後の見通しについて―   1 平成29年3月時点で原告の基本的な主張は尽くされているところ,同年4月以降は,原告から憲法論に関する主張の補充がなされ,被告からかかる原告の主張に対する認否・反論がなされる予定である。   2 従来の判例に照らして考えると,裁判所はあはき法19条1項の憲法適合性を判断するための基準については被告が主張する緩やかな基準を採用する可能性が高いため,原告から憲法論に関する主張が追加されたとしても,優勢な状態に置かれている被告の立場が揺らぐことは考え難い。 以上 ────────────────────────────────────── ■ 地域ブロック協議会活動報告 ■ ────────────────────────────────────── 近畿19条問題対策協議会     ーー あはき法19条大阪地裁第8回口頭弁論報告 ーー  平成医療学園専門学校並びに宝塚医療大学が国に対して、あはき法19条によるあんまマッサージ指圧師養成施設設置の非認定処分を取り消すことを求める訴訟に関する第8回口頭弁論が3月23日、大阪地裁202号法廷にて行われた。  法廷傍聴には、日本盲人会連合小川幹雄副会長をはじめ、日盲連中国・四国・近畿・東海の各ブロック、全日本視覚障害者協議会、日本理療科教員連盟、日本あんまマッサージ指圧師会等の視覚障害当事者・支援者約110名がつめかけた(傍聴席は91名分)。  閉廷後、参加団体の関係者約60名が大阪北区の堂島ビルヂング1階会議室に参集し、裁判の内容確認と意見交換を行った。  各団体からの挨拶に続き、岡田康平弁護士により今回の口頭弁論の説明が行われた。それによると、今回の口頭弁論までに原告・被告双方の事実関係に関する主張はほぼ出尽くしている。次回次々回の口頭弁論においては、事実関係の主張と平行して憲法上の人権を制限する場合に必要とされる「明確性の基準」が議論されることになる。すなわち、あはき法19条が憲法22条の職業選択の自由を侵害しているかや憲法31条の手続き的保障に反しているか否かを判断するために、法律による権利制限の明確性に反しているか否かについて具体的な主張が展開される予定である。  続いて参加者からSNSを使って19条裁判の理解を深めるために一般国民への情報発信を行う事や募金活動を呼びかける事、また全国的な決起集会や街頭宣伝活動を行うことなどの発言があった。閉会後、近畿19条問題対策協議会が集めた1567筆(点字19筆を含む)の署名を大阪地裁に提出した。次回の第9回口頭弁論は、6月6日(水)15時、第10回口頭弁論は8月22日(水)の15時にいずれも大阪地裁202号法廷で行われる。 あはき法19条関東協議会     ーー あはき法19条訴訟 東京地裁第8回口頭弁論 ーー  平成医療学園グループの横浜医療学園専門学校が、国に対しあマ師養成施設設置の非認定処分を取り消すことを求める訴訟の第8回口頭弁論が、2月28日、東京地裁103号法廷で行われた。法廷傍聴には、98枚の傍聴券を求めて126名がつめかけた。  開廷前、あはき19条関東協議会(鈴木孝幸会長)は、東京地方裁判所民事第3部に署名を提出した。署名提出は3回目となるが、今回は2184筆(点字署名を含む)の署名を提出した。  口頭弁論では、国から、昭和57年に健常者向けあマ指師養成学校1校が認可された手続を説明する書面が提出され、原告からは、昭和39年のあはき等法改正に先立って開催された審議会の審議経過を踏まえた主張の補充等が行われた。  次回口頭弁論で平成医療学園の主張を完結させ、次々回の口頭弁論で、国から、平成医療学園の主張に対する全般的な反論が行われる予定である。  閉廷後、場所を東京都盲人福祉センターに移し、研修会を開催した。ここでは関係者70名が参集、活発な意見交換会となった。  挨拶に続いて口頭弁論解説、全視協、理教連、日マ会、日盲連関東ブロックの各団体から活動報告が行われた。フロアからの自由発言では、口頭弁論の内容についての突っ込んだ質問や、保険あん摩と医療あん摩についてなどの意見が出され、充実した内容となった。  次回の第9回口頭弁論は5月16日11時30分、第10回口頭弁論は7月25日11時30分から、いずれも東京地裁103号法廷で行われる。     ーー あはき法19条訴訟 東京地裁第9回口頭弁論 ーー  平成医療学園グループの横浜医療学園専門学校が、国に対しあマ師養成施設設置の非認定処分を取り消すことを求める訴訟の第9回口頭弁論が、5月16日、東京地裁103号法廷で行われた。法廷傍聴には、98枚の傍聴券を求めておよそ120名がつめかけた。  口頭弁論では、これまでの平成医療学園側の主張を整理した書面が提出された。  要点は、1.違憲審査基準として、従来最高裁がとってきた「明白性の基準」ではなく、「厳格な合理性の基準」を採用し、より慎重に判断すべきであるとの原告独自の考え方が示されたこと 2.あはき法19条制定当時からは、視覚障害者を取り巻く経済状況が大きく変化し、現在では健常者向け養成学校の新設を制限して視覚障害者の生計の維持を図るという同条の規制目的は妥当しなくなったこと 3.マッサージ師の総数に占める健常者の割合と、視覚障害を持つマッサージ師の生計の困難さには関係がなく、マッサージ師全体に占める健常者の割合を斟酌して健常者向け養成学校の新設の可否を判断する法の基準は不合理であること 4.原告は、法令違憲の主張に加え、他の専門学校では昭和57年に定員増加が認められたのに、平成医療学園で認められないことは、憲法14条の平等原則に反するという適用違憲の主張も行うとしたことなどである。  次回口頭弁論で、国から、平成医療学園の主張に対する全般的な反論が行われる予定である。  閉廷後、場所を東京都盲人福祉センターに移し、研修会を開催した。ここでは関係者およそ70名が参集、活発な意見交換会となった。  挨拶に続いて口頭弁論解説、全日本視覚障害者協議会、日本理療科教員連盟、日本あん摩マッサージ指圧師会、日本盲人会連合の各団体から活動報告が行われた。  その後、口頭弁論の内容についての突っ込んだ質疑応答があり、会の終わりには、今後、さらに裁判官に対して視覚障害者の意思を示すことが重要になるため、はがき陳情などを積極的に行っていくべきだとの方針が確認された。  次回の第10回口頭弁論は7月25日(水)11時30分から、東京地裁103号法廷で行われる。それ以降の進行予定は未だ決まっておらず、次回、裁判所がどのような考え方を示すかが注目される。 あはき等法19条を守る東北協議会     ーー あはき19条違憲訴訟 仙台地裁第7回口頭弁論 ーー  平成医療学園グループの学校法人福寿会福島医療専門学校があん摩師 の養成校を国に申請した事に対し、国はあん摩師等法19条を理由に申 請を却下した。これを不服として学園側が仙台地裁に提起した裁判の第 7回口頭弁論が、4月19日、仙台地裁101号法廷にて開かれた。  裁判傍聴には、日本盲人会連合、全日本視覚障害者協議会、日本理療 科教員連盟、日本あん摩マッサージ指圧師会、盲学校同窓会の会員な ど、東北の各県と東京・北関東から、関係者75名が参集した。  裁判では、はじめに裁判長が小川理佳氏、右陪席が小津亮太氏に変 わったことが報告された。  続いて準備書面の確認が行われ、裁判長は「2月1日に任意で被告が 用意する書面はどうなっているか」と問い、国は「検討して開示する」 と述べた。原告は「憲法論を補充したいと考えている」と発言。国は 「その主張を待って準備書面を作成したい」とした。さらに「東京の進 行状況に合わせて、進めてほしい」という発言があった。  閉廷後、仙台市戦災復興記念館5階会議室に場所を移し、第6回集会 を行った。参加者は、50名。開会の挨拶の後、及川清隆協議会長から 「国の勝訴を勝ち取るためにご協力と更なる支援をお願いしたい」旨が 話された。次に安田和正日マ会会長から東北への激励の言葉が述べられ た。  その後、大胡田誠弁護士から、これまでの口頭弁論の論点整理が行わ れた。「今日の口頭弁論では、原告より、あはき法19条は、37年か ら行われた医道審議会の審議結果を十分に踏まえずに作られたものであ る旨の主張がされたものと思われる。原告によれば、立法前の審議会で は、保健マッサージ師と医療マッサージ師を分けて考え、保健マッサー ジは視覚障害者優先、医療マッサージは健常者、視覚障害者平等と考え ていたようだが、立法過程でこの区別がなくなってしまったとのことで ある。全国の裁判の中では東京が先行しており、東京では、7月で双方 の主張を出し切り、9月以降、必要な反論や証人尋問が行われるのでは ないか」と説明した。また「判決は、年度内に出るかどうかはわからな い。出ない可能性が高い。傍聴や署名は視覚障害者全体が関心を持って いるというアピールである。引き続き協力してほしい」ということで あった。  幹事会報告では、昨年度の活動報告と決算報告・30年度の活動計画 案・予算案が示され全て承認された。及川会長・武藤永治総務担当より 葉書署名、特に点字署名に力を入れていきたいというコメントもあっ た。フロアからも活発な意見が出され、最後に宮城県の柿沼正良理事長 のがんばろう!コールで閉会となった。  第8回口頭弁論は、7月19日(木)15時から、第9回口頭弁論 は、9月27日(木)15時から、いずれも仙台地裁101号法廷にて 行われる。     ーー シンポジウムを開催 ーー  2月12日、あはき等法19条を守る東北協議会主催、日本あん摩マッサージ指圧師会共催の、 「マッサージ師の将来を考えるシンポジウム」が、仙台市青葉区の福祉プラザで行われた。 参加を予定していた100余名は、前日夕方から降り始めた雪の影響もあり、70名の参加となった。 ────────────────────────────────────── ■ 日盲連加盟団体活動報告 ■ ────────────────────────────────────── 19条裁判連絡会沖縄の活動状況報告 ・平成29年11月5日 連絡会会議 ・平成29年12月13日 連絡会会議 ・平成30年1月10日 連絡会会議 ・平成30年1月28日  「あはき法19条裁判問題学習交流集会」 講師: 東郷 進 氏(全視協あはき委員会担当理事・理教連 前法制部長)   場所: 沖縄盲学校 ・3月28日現在 墨字署名筆数 東京345名 (点字署名 6名)                 大阪372名 (点字署名 6名)                仙台355名  (点字署名 6名) ・ハガキ 105部依頼 ・カンパ 92,886円   ────────────────────────────────────── ■ 記録(予定) ■ ────────────────────────────────────── ■ 口頭弁論の記録(予定) 仙台地裁は 101法廷 79席 抽選 東京地裁は 103法廷 98席 抽選 大阪地裁は 202法廷 93席 先着順   2016年 9月9日(金) 大阪地裁(第1回) 9月28日(水) 東京地裁(第1回) 9月29日(木) 仙台地裁(第1回) 11月9日(水) 大阪地裁(第2回) 12月12日(月) 仙台地裁(第2回) 12月14日(水) 東京地裁(第2回)   2017年 1月12日(木) 大阪地裁(第3回) 2月13日(月) 仙台地裁(第3回) 2月15日(水) 東京地裁(第3回) 4月17日(月) 大阪地裁(第4回) 4月19日(水) 東京地裁(第4回) 5月22日(月) 仙台地裁(第4回) 6月14日(水) 東京地裁(第5回) 7月5日(水) 大阪地裁(第5回) 8月21日(月) 仙台地裁(第5回) 9月13日(水) 東京地裁(第6回) 10月2日(月) 大阪地裁(第6回) 12月4日(月) 仙台地裁(第6回) 12月6日(水) 東京地裁(第7回)   2018年 1月19日(金) 大阪地裁(第7回) 15時開廷 2月28日(水) 東京地裁(第8回) 3月23日(金) 大阪地裁(第8回) 4月19日(木) 仙台地裁(第7回) 5月16日(水) 東京地裁(第9回) 6月6日(水) 大阪地裁(第9回) 7月19日(木) 仙台地裁(第8回) 15時開廷 7月25日(水) 東京地裁(第10回)11時30分開廷 8月22日(水) 大阪地裁(第10回) 15時開廷 9月27日(木) 仙台地裁(第9回) 15時開廷 ■ 幹事会等の記録(予定)   2016年 10月14日(金) あん摩師等法19条連絡会結成 11月3日(木) 幹事会(第1回) 12月17日(土) 幹事会(第2回)   2017年 2月11日(土) 幹事会(第3回) 5月13日(土) 幹事会(第4回) 7月29日(土) 幹事会(第5回) 11月4日(土) 幹事会(第6回)   2018年 1月27日(土) 幹事会(第7回) 4月28日(土) 幹事会(第8回) 10時から12時 日本盲人福祉センター 6月30日(土) 幹事会(第9回) 10時30分から12時30分 日本盲人福祉センター