愛盲時報 令和元年10月25日(金)第264号 目次  1.新しい時代へ…「日本視覚障害者団体連合」歩み出す  2.日本視覚障害者団体連合 出発式で決意表明  3.読書バリアフリー法が成立~読みたいときに読みたい本を~  4.あはき法19条訴訟 東京地裁口頭弁論 終結  5.第65回 全国盲女性研修大会 愛知県名古屋市で開催される  6.第65回 全国盲青年研修大会 三重県津市で開催される  7.奥付  *見出しの頭には「--(半角で2つ)」の記号が挿入されているので、検索機能を使って頭出しをする際にご利用下さい。  また検索の際、目次でご紹介した数字を続けて半角で入力すると、その項目に直接移動することができます。  (例)1をご希望のときは、「--1(すべて半角)」と入力。 (以下、本文) --1.新しい時代へ…「日本視覚障害者団体連合」歩み出す 【写真】「日視連」と書かれた額を持ち微笑む竹下義樹会長 「日本視覚障害者団体連合(にほんしかくしょうがいしゃだんたいれんごう)」に名称変更   3月28日、日本盲人会連合の平成30年度臨時評議員会が東京都新宿区のホテルグランドヒル市ヶ谷で開催されました。議事において、執行部より提案された定款変更について審議が行われ、出席評議員の賛成をもって承認され、「日本盲人会連合」を「日本視覚障害者団体連合」と名称変更することが決定されました。皆様に愛されてきた「日盲連」の略称は残しつつ、「日視連(にちしれん)」という新たな略称と合わせて用いていくこととなります。この度、手続きが完了し、10月1日より「日本視覚障害者団体連合」として歩みはじめることになりました。新たなスタートを切った今の気持ちを竹下義樹【たけしたよしき】会長に伺いました。 【写真】3月28日に開催された日本盲人会連合の平成30年度 臨時評議員会の様子 ---2019年10月1日に「日本盲人会連合」は「日本視覚障害者団体連合」へと名称を変更し、新たなスタートを切ることとなりました。今回、どういった経緯で名称を変更することになったのですか。 竹下会長(以下、竹下)  「いちばん大きなきっかけは、地域の団体から日盲連の名称を変えて欲しいという声があったことです。そして、もう1つの大きなきっかけが『盲人』という言葉が時代に遅れをとっており、もっと幅広い視覚障害者の団体であるべきだという思いから『視覚障害者団体』という名称を用いることにしました」。 ---この名称の変更にあたっての竹下会長の思いをお聞かせください。 竹下  「僕自身は、『盲人』という言葉は決して否定的に考えるべきではないと思っていますが、全盲というイメージがそこにある以上はもっと広い範囲で視覚障害者を捉えるべきだと考えています。つまり、視覚障害者というのは、障害者手帳の有無を関係なしに視覚になんらかのハンデがあるために日常生活や社会生活で困っている人を、すべて視覚障害者として捉えるべきだと考えています。なぜなら、そのことに対するなんらかの配慮が必要だからです。幅を広げて考えるためにも、福祉の在り方をもう一歩根本的に考えるためにも、『視覚障害者』という名称を用いることによって、我々の運動の在り方も変わっていくだろうと思います。今回の改名は、弱視を取り込むために視覚障害者ということに意識を置いたわけではなく、これまで私たちが意識してこなかった色覚多様性や視覚でなんらかのトラブルによって困っている人たちがこの名称の変更によって、自分たちも福祉の対象であることあるいは団体の捉えようとしている目標の範疇に入っているのだということを意識してもらおうというふうに僕自身は考えています」。 ---2013年には「将来ビジョン検討委員会」、2015年には「弱視に関する懇談会」を立ち上げるなど竹下会長は就任以来、精力的に視覚障害者の将来を見据えて活動してこられました。これからの視覚障害者の未来について会長の考えをお願いいたします。 竹下  「大きく2つを思っています。1つは、差別ということについて視覚障害者の立場からもう少し考えてみたいということ。もう1つは、合理的配慮という言葉が定着してきたわけですから、このことを強く意識した運動をやっていきたいと思っています。  すなわち、視覚障害者という世間の見方というものを我々自身が変えさせることができるか。一時的に視覚に障害がある人を含め、差別されたり、その人が困っていても社会から意識されない場面があるとまずいと思います。差別の問題も合理的配慮の問題も僕の中では、実はひとつだと言いたいわけです。差別するというのは偏見とか、あるいは自分と違うということから発生するけれども、視覚障害というものに対して、どのような配慮をすれば同じスタートラインに立てる、同じ人間なんだ、同じ社会人なんだということを意識してもらうことが必要で、これからの大きな運動の課題だと思っています。社会に視覚障害者という言葉をもっと当たり前に、ひとつのカテゴリーとして受け入れてもらえる様なそういう広がりを持たせたいと考えています」。 ---最後にですが、「日本視覚障害者団体連合」へと新しく生まれ変わり、新たなスタートを切りました。竹下会長の決意をお聞かせください。 竹下  「名前が変わった以上は中身も変わるということが大事だと思っています。名は体を表すわけですから、名前が変わった時こそ、新しい日視連のイメージを、日視連の運動をアピールできなかったら勿体ない。名称変更を大きなきっかけないしはスタートにしたい。だからこそ名称変更が出来たということで終わるのではなく、名称変更したことによって新しい日視連の活動を皆で創り出すし、僕もいっぱい打ち上げていきたいと思います」。 --2.日本視覚障害者団体連合 出発式で決意表明 【写真】出発式で決意を述べる竹下会長 10月1日、「日本視覚障害者団体連合」の門出を祝い、日本盲人福祉センターにて出発式が行われました。挨拶の中で、竹下義樹会長は「名称を変えたからというからには、この団体が今までの良さを引き継ぐということは当然ですが、新たに何をそこに付け加えるのか、何をイメージするのか、皆さんとともに考えていき、一致団結して皆さんとともに歩んでいきたいと思っています」と新たな名称での船出にあたり決意を述べました。 --3.読書バリアフリー法が成立~読みたいときに読みたい本を~  2019年6月、視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律(いわゆる読書バリアフリー法)が成立、施行されました。この法律は、2013年に国連の世界知的所有権機関が採択したマラケシュ条約に、日本も批准するため改正された著作権法の附帯決議に基づき制定されたものです。   読書バリアフリー法とは…  この法律では、視覚障害者や文字の読み書きに困難のある発達障害者、寝たきりや上肢に障害がありページをめくれない肢体不自由者など、書籍等を直接利用することが困難な人を含め、障害の有無にかかわらず全ての国民が等しく読書を通じて文字・活字文化の恵沢を享受することができる社会の実現に寄与することを目的としています。この目的を達成するため、国は視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する施策を総合的に策定・実施し、地方公共団体は、国との連携を図りつつ、地域の実情を踏まえ、施策を策定・実施していくことになります。 4団体が声明発表  読書バリアフリー法が衆議院本会議にて全会一致で可決成立した、6月21日、同法成立について、日盲連はともに運動を行ってきたDPI日本会議、全国盲ろう者協会、弱視者問題研究会と連盟で声明を発出しました。声明文は、「読書バリアフリー法成立における関係4団体声明」と題し、声明の中で、同法の成立に歓迎の意を表すとともに、成立に協力していただいた関係者に感謝の意を表しました。また、同法制定を新たなスタート地点と捉え、真に障害者の読書バリアフリーが実現する日まで、引き続き関係者とともに推進していくことが示されています。声明全文は、日視連ホームページより閲覧できます。 「読書バリアフリー法成立における関係4団体声明」 (http://nichimou.org/notice/190621-jimu/) --4.あはき法19条訴訟 東京地裁口頭弁論 終結  平成医療学園グループの横浜医療学園専門学校が国に対して、あはき法19条によるあん摩マッサージ指圧師養成施設設置の非認定処分を取り消すことを求める訴訟に関する第14回口頭弁論が9月5日、東京地裁で行われました。 【写真】東京地方裁判所 法廷傍聴には、原告側・被告側を含め180名超がつめかけました(傍聴席は98名分)。日盲連関東ブロック、日本あん摩マッサージ指圧師会、日本理療科教員連盟、全日本視覚障害者協議会などの当事者・支援者が集まりました。口頭弁論に先立ち、東京地裁に全日本鍼灸マッサージ師会42団体分、全視協97名分の署名簿を提出しました。  口頭弁論では、原告側から国の反論に対する反論を提出したいとの発言がありました。原告側の文書は裁判官が受理することが確認され、今回をもって弁論を終結することとなりました。  口頭弁論終了後、東京地裁2階記者会見室にて記者会見が開かれました。会見には主要な報道機関を中心として15社ほどが参加しました。 【写真】記者会見で裁判の経過を説明する大胡田誠【おおごだまこと】弁護士  会見で大胡田誠弁護士は、裁判の経過を説明した上で、これまで経済的自由権に関する積極目的規制には「明白性の基準」で判断されてきたこと、そして今回の判決にもこの基準が焦点となるのではないかとの見解を述べました。大胡田弁護士に続いて、各団体の代表者からの発言もありました。また、記者会見と平行し、東京地裁前で集会が行われました。集会では、判決の日まで街頭宣伝活動の協力を求めるとともに、19条を守るために共に頑張っていくことをあらためて確認しました。 【写真】東京地裁前で行われた集会では、「視覚障害者はマッサージの仕事で社会に貢献したい!視覚障害者の社会参加を拒む訴えは棄却してください!」との横断幕を参加者が掲げた  なお、判決は12月16日(月)11時30分から東京地裁103号法廷にて行われます。 --5.第65回 全国盲女性研修大会 愛知県名古屋市で開催される  第65回全国盲女性研修大会(北信越・東海ブロック名古屋大会)が、8月27日から29日の3日間にわたり、愛知県産業労働センター ウインク愛知およびCASTLE PLAZAを会場に女性協議会会員ほか、付き添い関係者700名超が集い、開催されました。 【写真】第65回全国盲女性研修大会(北信越・東海ブロック名古屋大会)式典で挨拶する竹下義樹会長  大会1日目は、常任委員会と全国委員会が開かれました。大会2日目は、午前に代表者会議、午後に研修会として、第1部講演会、第2部レポート発表・意見交換会が行われました。代表者会議では新常任委員として、安達けい子さん(島根県)・宇都木泰代【うつぎやすよ】さん(相模原市)・小山田恵子【おやまだけいこ】さん(福岡市)が承認され、日盲連の改名に伴い、大会名を「日視連全国視覚障害女性研修大会」とすること、会期を1泊2日とすること(2日間の内容を検討後、近い大会から実施)、ほか5つの議事すべてが採択されました。続いて、宗次德二【むねつぐとくじ】氏(カレーハウスCoCo壱番屋創業者)の「私のカレーなる人生」と題する講演が行われました。  第2部のレポート発表・意見交換会では、「わたしの健康法」というテーマで6ブロックより6名の発表が行われました。会場からの意見も含め、多くのスポーツに取り組み、まんべんなく栄養を摂ることの工夫をしている方々の発表は大きな声できっぱりとしたものでした。助言者の名古屋市立大学看護学部教授 門間晶子【かどまあきこ】氏、愛知県立名古屋盲学校教頭 前田政治【まえだせいじ】氏、日盲連 竹下義樹会長の3氏は、助言の余地なしといった感じもありましたが、できることから楽しく続けていきましょうとまとめられました。  交流会は、女性協顧問のひとりである石田昌宏【いしだまさひろ】参議院議員も駆け付け、名古屋市議会議員をはじめオール女性の来賓の挨拶、アトラクションでは会員による「瞽女【ごぜ】うた」の披露、お楽しみゲームと和やかなひとときとなりました。 【写真】交流会での「瞽女うた」披露  第3日目は、前厚生労働副大臣であり、女性協のもうひとりの顧問である髙階恵美子【たかがいえみこ】氏、名古屋市長はじめ多くのご来賓の方々よりご挨拶をいただき、式典が行われました。続く大会議事では、代表者会議・研修会報告、宣言、11項目の決議を採択されました。決議項目は、1.出産・子育て等、視覚障害女性に対する二重の差別解消を。2.障害基礎年金の増額を。3.晴眼者との同居の有無にかかわらず代筆・代読サービスが受けられるよう居宅介護サービスの見直しを。4.入院時医療機関等から求められる署名を代筆等による対応で。5.入院時でもホームヘルプサービスの利用を。6.セルフレジは音声や拡大画面で利用できるよう改良を。7.食品の賞味期限・消費期限は文字を大きく、バーコード・QRコード位置の統一を。8.らくらくフォン(ガラケー)の製造販売の継続を。9.電車のドアの開閉が押しボタン式の場合、視覚障害者の乗降には乗務員が開閉を。10.過疎地に住む視覚障害者の移動を保障するため、福祉有償運送事業の充実を。11.高速道路の通行料金割引は、身障手帳所持者が同乗する車両で。 【写真】レポート発表・意見交換会では、「わたしの健康法」をテーマに6名の発表があった  閉会式では次期大会開催地の神戸市視覚障害者福祉協会の会長、女性部長から挨拶が行われました。次回、第66回は令和2年9月17日(木)から19日(土)、新神戸ANAクラウンプラザホテルで開催されます。 --6.第65回 全国盲青年研修大会 三重県津市で開催される  9月22日・23日の両日、日盲連・同青年協議会ならびに三重県視覚障害者協会・同スポーツ・青年部主催の第65回全国盲青年研修大会が三重県津市のアスト津を会場に、全国の盲青年ならびに関係者240名が参集し開催されました。 【写真】挨拶を述べる日盲連 野口豊副会長  1日目午後から行われた代表者会議では、平成30年度事業報告・決算報告・会計監査報告、平成31年度(令和元年度)事業計画案・予算案が審議され、いずれも承認されました。その他、(1)日盲連の名称変更に伴い、次回全国盲青年研修大会の名称を全国視覚障害青年研修大会とすること、(2)視覚障害のある児童・生徒の基礎データを作成することを目的としたアンケート結果の公表について、(3)青年協議会ホームページリニューアルなどについて報告がありました。なお、今年度の団体青年部活動助成金については、福島県、静岡県、富山県、堺市、大阪府、群馬県に配分することも報告されました。続いて、青年協議会の会長と会計監査委員の改選選挙が行われ、静岡県視覚障害者協会の片平考美【かたひらちかみ】氏が会長に、東京都盲人福祉協会の伊敷政英【いしきまさひで】氏と神奈川県視覚障害者福祉協会の齋藤健二【さいとうけんじ】氏が会計監査委員に選任され、令和2年4月1日付で就任することになりました。  続いて、来年度宮城県で開催される第73回全国視覚障害者福祉大会に向けて、移動・交通・生活、消費生活・職業・教育・その他、組織改革の各分科会で協議され、次の3つの議案を提出することが決議されました。(1)道路横断中の視覚障害者の安全を確保するため、視覚障害者団体等の声を十分反映し、音響式信号機の設置箇所を増やすとともに、夜間・早朝にも押しボタンやシグナルエイドが使われた際には音響が鳴動するようにするなどの音響の設定変更を行うよう求める。(2)視覚障害者が公務員や自営業者として働く際にも、ジョブコーチや職場介助者など、民間雇用類似の支援を受けられるよう、制度の整備と十分な予算の確保を求める。(3)視覚障害者が単独で電子マネーや各種端末を用いた買い物や自営業における決済ができるよう、システム開発を進めると同時に、店舗の無人化によるさまざまな困難を生じないための制度改善を求める。  2日目は、国立大学法人 三重大学医学部非常勤講師で医療法人(社団)大和会【やまとかい】 日下【くさか】病院眼科医師の一尾多佳子【いちおたかこ】氏による「三重県版ロービジョンケア」の講演と、三重県視覚障害者協会STT部によるサウンドテーブルテニスを基に障害の有無に関係なく誰もが楽しめる「三重県発 生涯(一生涯の意)スポーツSSピンポン」という2つの研修会と、大会式典が行われました。大会式典では、三重県視覚障害者協会 児玉千春【こだまちはる】会長の歓迎挨拶、日盲連 野口豊【のぐちゆたか】副会長、同青年協議会 伊藤丈人【いとうたけひと】会長の主催者挨拶、鈴木英敬【すずきえいけい】三重県知事・前葉泰幸【まえばやすゆき】津市長などから来賓祝辞などがありました。 【写真】式典で主催者挨拶をする日盲連 青年協議会 伊藤丈人会長  最後に次年度9月26日・27日に開催される広島市の地で再会することを約束し、盛会のうちに幕を閉じました。 --7.ご寄付のお願いについて  日本視覚障害者団体連合は視覚障害者自身の手で、<自立と社会参加>を実現しようと組織された視覚障害者の全国組織です。  1948年(昭和23年)に全国の視覚障害者団体(現在は、都道府県・政令指定都市61団体が加盟)で結成され、国や地方自治体の視覚障害者政策の立案・決定に際し、当事者のニーズを反映させるため、陳情や要求運動を行っています。  活動内容は多岐にわたりますが、そのために必要な経費の確保は、厳しい財政の中困難を極めています。  視覚障害者福祉の向上を目指し、組織的な活動を維持していくため、皆様からの特段のご厚志を賜りますよう、何とぞ宜しくお願い申し上げます。 ■ゆうちょ銀行 記号番号 00160-5-536104 加入者名 社会福祉法人日本視覚障害者団体連合 ■みずほ銀行 店名 高田馬場支店 預金種目 普通  口座番号 2868101 カナ氏名(受取人名)フク)ニホンシカクショウガイシャダンタイレンゴウ ※領収証が必要な方、本連合が振り込み手数料を負担する専用の振込用紙をご希望の方は、日本視覚障害者団体連合までご連絡ください。(電話:03-3200-0011) --9.奥付 愛盲時報 令和元年10月25日(金)第264号 ※この愛盲時報は鉄道弘済会の不動産賃貸事業などの益金等、日本盲人福祉委員会の愛盲シール維持会費の中から贈られた寄付金などで作られたものです。 発行所:社会福祉法人 日本視覚障害者団体連合  〒169-8664東京都新宿区西早稲田2-18-2 発行人:竹下 義樹 / 編集人:三宅 隆 電話:03-3200-0011/FAX:03-3200-7755 URL:http://nichimou.org/ Eメール:jouhou@jfb.jp(情報部) 以上で、愛盲時報 令和元年10月25日(金)第264号を終わります。