皆さんこんにちは。2020年がスタートしました。そして今年は、国内的には東京オリンピック・パラリンピックが開催されますし、国際的にはWBUの4年に1度の総会がスペインで開かれる年でもあります。この一年間が視覚障害者の福祉の増進にとってどういう一年になるのか。それが楽しみでもありますし、また、一年が終わる時に、日視連の活動が大きな成果を実感できる年にもしたいと思っております。 今年、私自身は、いくつかの目標を掲げているわけですけれども、その中の一つは地方というものに目を向けたいという風に思っております。 地方という言い方がある意味では、中央に対する地方という言い方で、時には差別的だという意見もあるので、地域という言い方が賢明なのかもしれません。いずれにせよ、我々にとっての各地の生活がどのように成り立っているかということにもう一度目を向けたいと思うわけです。 組織的にも日視連の61の加盟団体の活性化ということが問われる一年になるだろうと思うし、私としても61団体の活動が抱えている課題というものを、もう少し全体として取り組めるようにしたいと思っているわけです。まだ法人化していない団体もあれば、事業に取り組めていない団体もあるわけでして、その面で会員の問題、役員の問題、財政の問題など、それを各地域の団体の特性や実情に合わせて、日視連としての支援もできないかということを一年を通じて考えていきたいと思っております。 そういう意味ではこの一年間は地域、地方というものに大きな視点をおいた日視連の活動というものをやってみたいと思っております。 また、私自身がかかげるもう一つの大きな問題は、法律制度において、私たちの声をどれだけ反映させた立法や法律改正に結びつけるかということがあるわけですけども、その中では二つをあげておきたいと思います。 一つは、昨年は読書バリアフリー法が我々の願いを受けて、成立し、施行されたわけですけども、今年はもっと広い形で、情報コミュニケーションを法律の上で、確立するための立法というものに力を入れてみたいと思っております。言葉で言えば障害者情報コミュニケーション支援法ともいうべき法律の制定に向けた活動を強化したいということであります。 もう一つはすでに平成28年に施行されている障害者差別解消法の見直しの問題があります。今、内閣府で進められているわけでありますが、その中で、差別の定義をどうするのか。あるいは民間事業者に対して合理的配慮の提供というものを努力義務から法的義務に格上げできないのか。あるいは差別や合理的配慮の不提供が問題となった場合にそれを解決するための紛争解決手続き、紛争解決機関というものをどういう風に確立するのか、そういうことが今後大きな論点になっていくだろうと思っています。その中で私たちの声を十分に反映させた障害者差別解消法の改正を実現して、さらに差別のないまち作りにぜひとも結びつけていきたいと思っているわけであります。 そういう意味ではこの一年もたくさんのことを課題としながら、皆さんとともに悩み、そして知恵を出し合う一年にしなければならないと思っております。ぜひとも皆さんの声を日視連に届けてくださるようお願いしたいと思います。 最後に私の宣伝をさせていただきます。昨年12月に『全盲の弁護士竹下義樹』という本が岩波から出版されました。これは14、5年前に出版された単行本を書き改めて、その後の私の活動を小林照幸さんという作家が執筆してくれた本です。私の弁護士としての活動が中心となっておりますので、そういうことを皆さんに知っていただける本でもありますので、ぜひ機会があれば読んでいただきたいと思います。