2019年もあっという間に終わろうとしております。今年は平成から令和へという元号も変わり、国としても新しいスタートを切った雰囲気があるのではないでしょうか? 私も日視連の会長させていただいている立場で令和天皇の即位の儀式に参加させていただくこともできました。新しい気持ちでこの8か月を過ごしてきたわけでありますが、この一年間で日盲連、日視連としての活動もどこまで進展したのか、少し振り返ってみたいとも思います。 日視連は10月1日からこれまで70年間名称を日盲連としてきたものを日本視覚障害者団体連合、日視連という名称に変更しました。それなりに名称変更には反対意見もありましたけれども新しい時代を私たち自身が築いていくという思いを込めた名称変更であったという風に思っております。その一年間にそれなりの前進をした、見た面もありますし、なかなか形として前進を自覚できない場面もありました。 読書バリアフリー法という法律の制定を目指し、長年にわたり運動してきたわけでありますが、今年の6月21日に読書バリアフリー法、正確な名称は「視覚障害者等の読書環境の整備の推進に関する法律」。こういう法律ができました。この法律ができたことでこれまで以上に視覚障害者の出版物に対するアクセシビリティ、利用しやすい読書環境というものが進展するものと期待しております。 私たちの働く場面においてもそれなりの変化がありました。昨年は省庁及び地方自治体等の公的機関において障害者雇用率の水増し問題があり、それらの反省を踏まえて、障害者の公務員分野における雇用促進が図られてきたわけでありますが、我々の視覚障害者の仲間をたくさん国家公務員として受け入れていただくことになりました。これを定着させ、さらに広げていくことによって民間も含めた働く場の拡大に結び付くことを期待したいと思ってもおります。 あはきの世界で何と言いましても、私たちを苦しめてきたのはあはき法19条訴訟でありました。3年にわたる戦いのなかで、今年12月16日に、東京地裁でいよいよ判決が言い渡されます。この判決において私たちの願いを十分に受け止めた判決、すなわち19条は今なお視覚障害者のはり・灸・マッサージ、とりわけマッサージの分野を守るために必要な規定である、ということを裁判所によって認めてもらえることを大いに期待したいと思っております。 もちろん残念なこともありました。今年もたくさんの仲間が線路に転落し、命を落とすという残念な事故も続きました。そういうなかでホームドアの敷設はどんどん進んできたわけでありますが、これがどの時点で全国にもれなく設置されるのか。私たちが本当の意味で安心して電車を利用できる時代はいつ来るのか、その時代を目指し、さらなる運動を続けていきたいと思っております。 障害者差別解消法という法律が施行後、3年を経過したわけでありますが、今だ社会の変化を引き出すまでには至っておりません。何としてもこの障害者差別解消法が私たちの生活を豊かにする、すなわち合理的配慮が当たり前になる社会を作り出す。そのためにもこの障害者差別解消法の3年後見直しの議論が進む中で、私たちの声を十分に反映させることで、努力したいと思っております。 ともあれ、この一年間の活動で前進したもの。これからまだまだ力を入れなければならないものが残されましたけれども一年間の活動に皆様にお礼を申し上げ、来るべき来年に向けてのまとめをしていきたいと思います。