表紙 厚生労働省平成30年度障害者総合福祉推進事業 視覚障害者への代筆・代読支援に関する調査研究事業 報告書 テキスト版 平成31年(2019年)3月 社会福祉法人 日本盲人会連合 目次 はじめに 1ページ 第1章 事業概要 3ページ 第2章 視覚障害者向け代筆・代読支援の現状 7ページ 第3章 調査1 視覚障害当事者調査 集計結果 17ページ 第4章 調査2 自治体調査 集計結果 39ページ 第5章 分析(1)視覚障害当事者調査 57ページ 第6章 分析(2)自治体調査 79ページ 第7章 考察 91ページ 第8章 まとめ 101ページ 第9章 シンポジウム 107ページ 資料集 115ページ 【報告書について】 (1)データ版の公開  本報告書のデータ版は、本連合のホームページに掲載を行う。墨字版(PDF版)の他に、テキスト版、点字版、デイジー版を掲載する予定となっている。   日本盲人会連合ホームページURL http://nichimou.org/ (2)統計データの掲載内容  掲載した統計データにおいて、割合(%)の合計は、四捨五入の都合により100.0%にならない場合がある。 (3)視覚障害者に関する名称の統一  視覚障害の状態を表現するための用語には様々な種類があるが、本報告書では、全盲、弱視、盲ろうという用語を用いた。 1ページ はじめに  視覚障害者が日常生活や社会生活を送る上で、これまでとは異なるニーズが広がりつつある。その中でも、いわゆる「代筆・代読支援」に対するニーズは大きく高まってきている。  これは、視覚障害者の社会参加の広がりの結果であり、代筆に関しては個人認証が重んじられるようになった社会の変化の結果でもある。そのため、居宅介護においてはヘルパーによる代筆・代読支援が位置付けられ、外出時における代筆・代読支援が同行援護における公的な福祉サービスとして明確に位置付けられるようになった。  また、代筆・代読支援は、障害者総合支援法の地域生活支援事業に位置付けられた意思疎通支援事業としても実施できる制度になっている。しかし、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の利用率は低い。代筆・代読に対する視覚障害者のニーズは高いにもかかわらず、利用率が低いという相反する実態がなぜ生じてしまっているのかという疑問が、調査研究の出発点であった。  意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の利用率が低い原因としては、ICTの急速な進歩によって視覚障害者の代筆・代読のニーズが低下したのではないかという意見もある。しかし、視覚障害者のICTの利用実態や契約等の読み間違いや書き間違いの致命的な場面等を考慮すると、それ以外にも考慮すべき事項があると考えられる。例えば、利用したい時に代筆・代読支援が受けられるかどうかという量の問題、支援者が正確に読み書きができるのかという質の問題、そして、その根底には、支援者を養成するための体制整備などの問題があると考えられる。しかしながら、これらの問題を議論するための実態は十分には分かっていない。  そこで、本調査により、視覚障害者の代筆・代読に対するニーズを改めて調査し、どのような場面で、どのようなサービス提供が必要とされているかを把握する必要がある。また、代筆・代読支援を障害福祉サービス事業所として実施できるようにするための条件を明らかにすることも必要である。更に、視覚障害者が求めている代筆・代読支援を担う支援員の養成の在り方も検討しなくてはならない。それらが体系的に整ってこそ、国や自治体に対し、視覚障害者のための代筆・代読支援を、自治体が実施すべき必須の事業として位置付ける要求が成り立つのである。  本調査はそうした政策提言に向け第一歩を踏み出すものである。本調査にご協力いただいた委員に心から感謝申し上げる 3ページ 第1章 事業概要 4ページ 1 事業の概要 1.事業名  厚生労働省平成30年度障害者総合福祉推進事業  「視覚障害者への代筆・代読支援に関する調査研究」 2.事業の目的  視覚障害者が日常生活を送る上で必要な支援である代筆・代読支援について、障害者総合支援法の意思疎通支援事業として代筆・代読支援の実施が自治体において積極的に行われることを目指し、以下の論点について、調査を通して課題整理を行う。   論点@ 視覚障害者に対する代筆・代読支援の提供方法・体制の在り方   論点A 自治体における代筆・代読支援の実施体制の在り方 3.事業内容 (1)検討委員会の設置  上記論点の課題整理を行うために検討委員会を設置し、以下の事項について検討を行う。  @代筆・代読支援の現状  A実態調査の実施内容  B調査結果のまとめ (2)実態調査の実施  検討委員会の検討内容をもとに、以下の調査を実施する。  @視覚障害当事者向け調査  A自治体向け調査 (3)報告書の作成  実態調査の結果と検討委員会での意見を踏まえ、本調査のとりまとめとして報告書を作成する。なお、報告書の作成後は、全国の自治体や視覚障害関係団体に報告書を配布し、調査結果の周知を行う。 5ページ 2 検討委員会の概要 1.委員名簿(順不同・敬称略)  中野 泰志  慶應義塾大学経済学部 教授【委員長】  渡辺 哲也  新潟大学工学部工学科 准教授【副委員長】  竹下 義樹  日本盲人会連合 会長  伊敷 政英  Cocktailz(カクテルズ) 代表   田中 伸明  名古屋市視覚障害者協会 会長  棚橋 公郎  視覚障害者生活情報センターぎふ 部長  原田 敦史  全国視覚障害者情報提供施設協会 常任理事  山下 正知  全国盲ろう者協会 常務理事 2.開催日程 第1回委員会 期日:平成30年7月25日 場所:日本盲人福祉センター 研修室 議事:代筆・代読支援の実態と課題に関する意見交換    調査に向けた意見交換 第2回委員会 期日:平成30年9月26日 場所:日本盲人福祉センター 研修室 議事:代筆・代読支援の実態と課題の整理    調査の方向性の検討    調査内容の検討 第3回委員会 期日:平成30年10月12日 場所:日本盲人福祉センター 研修室 議事:調査の方向性の検討    調査内容の検討 第4回委員会 期日:平成31年2月15日 場所:日本盲人福祉センター 研修室 議事:調査結果の報告と検討    調査結果のとりまとめの意見交換    シンポジウム開催に関する検討 第5回委員会 (シンポジウム) 期日:平成31年3月4日 場所:ワイム貸会議室高田馬場 ROOM C 議事:調査結果のとりまとめ内容の検討    報告書の検討    シンポジウムの開催 7ページ 第2章 視覚障害者向け代筆・代読支援の現状 8ページ 1 視覚障害当事者のニーズ 1.視覚障害者の要望  視覚による情報入手が困難である視覚障害者にとって、書類などを「読むこと」「書くこと」は困難を伴う行為であり、社会生活を送る上でこれらの読み書きに対する支援「代筆・代読支援」は必須となっている。近年では、音声パソコンなどにより視覚障害者自らが様々な書類を確認したり、記入することが可能となってきたが、実生活では紙に印刷された書類などが圧倒的に多く、読み書きの支援は必要不可欠である。  そのため、全国の視覚障害当事者が会員となる日本盲人会連合には、代筆・代読支援に関する要望が多く寄せられている。要望は、既存の制度の改善や支援内容の充実を求めるものが中心で、全国から寄せられた声は、同連合が毎年開催を行う全国盲人福祉大会(全国盲人代表者会議)において決議され、その決議内容は国や関係団体へ陳情として提出されている。これらの代筆・代読支援に関する要望を分類すると、大きく(1)国や自治体からの支援に対する要望、(2)事業者からの支援に対する要望に分けられる。  まず、(2)事業者からの支援に対する要望は、金融機関などで申し込みや契約を行う際に代筆・代読支援が受けられないことを発端にするものである。金融機関での代筆・代読支援については、平成22年8月に金融庁より各金融機関に対して「視覚障がい者に配慮した取組みの積極的な推進に係る要請について」(※1)として代筆・代読の支援を要請しているが、依然として視覚障害者に対する支援は進んでいない。これは、事業者側の視覚障害者に対する理解や配慮の問題とされている。  一方で、(1)国や自治体からの支援に対する要望については、長年にわたる要望であり、近年ではその声が強まってきている。要望は@支援の質の向上、A支援の拡大、B制度の整備に分けられる。特に、近年では、本調査の主題とも言える意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の充実を求める声が大きく、国や自治体はその要望への対応に迫られている。 【引用】 (※1)金融庁ホームページ「視覚障がい者に配慮した取組みの積極的な推進に係る要請について」https://www.fsa.go.jp/news/22/ginkou/20100826-1.html 【2−1 日本盲人会連合 陳情項目一覧】 ※原文のまま掲載 (1)国や自治体からの支援に対する要望 @平成30年 全国の自治体で、意思疎通支援事業に視覚障害者を対象とする代読・代筆サービスを早急に加えるよう、国から自治体に指導するよう要望する。 意思疎通支援事業の視覚障害者を対象とする代読・代筆サービスの充実を要望する。 意思疎通支援事業における、代読・代筆の実施と従事者養成カリキュラムを国が定め、市町村が事業を実施しやすくするとともに、点訳・音訳・拡大文字なども必ず実施することを要望する。 意思疎通支援事業としての点訳・音訳、さらには代筆・代読を地域生活支援事業の必須事業とし、支援者養成カリキュラムを策定するよう要望する。 A平成29年 全国の自治体で、意思疎通支援事業に視覚障害者を対象とする代読・代筆サービスを早急に加えるよう国から自治体に指導されたい。 B平成28年 すべての視覚障害者に対するコミュニケーションを保障するため、自宅や入院時に利用できる代読・代筆制度の確立を要望する。 C平成27年 金融機関における全ての書類に行員及びガイドヘルパーによる代筆を認めていただくよう要望する。 D平成26年 「代読」「代筆」をコミュニケーション支援として必須の事業とし、「代筆」「代読」のみの使用を可能とするよう要望する。 E平成25年 自宅において、ホームヘルパーによる「代筆・代読」ができるようホームヘルパーの研修を行うよう制度を確立していただきたい。 F平成24年 障害者自立支援法の地域生活支援事業の中でコミュニケーション支援事業に視覚障害者の代読・代筆を制度として明確に確立するよう要望する。 (2)事業者からの支援に対する要望 @平成30年 なし A平成29年 金融機関等において、各種ローンの申込、投資信託、金融債券の購入等の契約に係る書類等を作成する場合には、資格のある補助者が代筆できるよう要望する。 B平成28年 金融機関及び保険会社において、全ての書類について職員による代読代筆を認めていただくよう要望する。 C平成27年 金融機関における各種の契約などにおいて、代筆が可能になるよう制度の充実を要望する。 D平成26年 クレジットカードの契約やローン等の契約行為において、行員立ち会いの下、家族やガイドヘルパーや銀行員等による代読代筆が可能となるよう要望する。 店舗のポイントカード申込の際、代筆が認められるよう要望する。 E平成25年 全ての金融機関で代読・代筆サービスが実施されるよう、金融機関及び行員全体に再度周知を図っていただきたい。 視覚障害者が金融機関において契約行為を行う際に、行員による代筆又は代筆者がいればその身分を確認したうえで行えるよう制度化していただきたい。 F平成24年 自書と書かれている契約書等の代筆を認めるよう要望する。 10ページ 2.これまでの代筆・代読支援に関する調査   視覚障害者の代筆・代読支援を求める声を受け、これまで様々な調査などが実施されている。  例えば、平成28年度〜平成29年度には、新潟大学工学部の渡辺哲也准教授による「意思疎通が困難な人に対する人的及びICT技術による効果的な情報保障手法に関する研究」(※2)で、視覚障害者の人的支援サービス利用状況調査が行われている。この調査では、@公的な福祉サービス、A家族や友人などからの支援を調べた内容になり、視覚障害者における代筆・代読の利用率が72.3%との結果が示されている。また、利用頻度を見ると、ほぼ毎日及び週に2〜3回は利用していると回答をした視覚障害者は全体の55.1%との結果が示されている。全盲が比較的多い調査になるが、視覚障害者にとっての代筆・代読支援の必要性が示された調査となっている。  また、平成28年度には、日本盲人会連合よる「読み書きが困難な弱視(ロービジョン)者の支援の在り方に関する調査研究事業」(※3)で、弱視者の読み書きに関する調査が行われている。弱視は視覚障害者の約8割とも言われているが、見え方がそれぞれで異なることから、弱視のニーズは多様で、その実態が分かりづらいとされていた。調査結果によると、読むことに困っている弱視は約86%、書くことに困っている弱視は約77%であることが分かった。また、弱視は、対象物を読みやすく・書きやすくするための配慮や工夫を求める一方で、他者に支援を求める声も確認でき、読むことでは28.6%の弱視が代読者の利用を求めていた。  これらの調査結果により、視覚障害者が代筆・代読支援を日常的に利用し、生活になくてはならない存在であることが判明している。また、全盲と比べると代筆・代読支援の必要性が少ないと思われていた弱視においても、代筆・代読支援のニーズがあることが確認でき、視覚障害の程度によってニーズに差がないことも確認ができた。  しかし、両調査とも、アンケートを中心とした調査となること、他の調査と共に代筆・代読に関する調査を実施したことから、視覚障害者の代筆・代読支援のニーズの深層は調べ切れなかった部分もある。また、自治体の公的な福祉サービスとの関連性についても、未整理な部分があり、更なる調査が必要とされている。 【2−2 代筆・代読サービスの利用率】(※2より抜粋) 代筆・代読利用 72.3% 代読のみ利用 0.5% サービス不利用 26.7% 不明 0.5% 【2−3 代筆・代読サービスの利用頻度】(※2より抜粋) ほぼ毎日 28.3% 週に2〜3回 31.3% 週に1回 19.7% 月に2〜3回 10.2% 数か月に1回 1.4% その他 2.7% 【引用】 (※2)厚生労働科学研究費補助金(障害者政策総合研究事業(身体・知的等障害分野))平成28年度〜平成29年度「意思疎通が困難な人に対する人的及びICT技術による効果的な情報保障手法に関する研究」【研究代表者:渡辺哲也(新潟大学 工学部)/平成30年3月】 http://nichimou.org/all/news/secretariat-news/180502-jim/ (※3)「読み書きが困難な弱視(ロービジョン)者の支援の在り方に関する調査研究事業」【日本盲人会連合/平成28年12月】 http://nichimou.org/all/news/secretariat-news/170327-jimu/ 12ページ 2 公的な福祉サービスと代筆・代読支援 1.代筆・代読支援が可能となる福祉サービス  現在、視覚障害者に対する公的な福祉サービスは障害者総合支援法により実施されており、視覚障害者の代筆・代読支援については、以下の三つのサービスの中で支援を受けることができる。    A 障害福祉サービス      @居宅介護      A同行援護    B 地域生活支援事業      B意思疎通支援事業「代筆・代読支援」  @居宅介護とA同行援護は、視覚障害者の中では重要な支援であることから、利用する者が多い福祉サービスとなっている。  @居宅介護については、居宅における家事援助の一環で代筆・代読の支援が行われている。居宅内での日常生活が困難な視覚障害者は居宅介護を利用しており、この福祉サービス自体のニーズは比較的高いものとされている。  A同行援護については、移動時の情報提供として代筆・代読支援が実施されている。視覚障害者にとって移動の支援はもちろん必須だが、移動時の情報提供がなければ安全な移動はできない。そのため、同行援護においては情報提供を重要と考え、支援者の養成において代筆・代読支援を重要視している。 2.意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の課題  しかし、B意思疎通支援事業「代筆・代読支援」は、同事業のメニューに含まれているにもかかわらず、実際の実施率は低調となっている。視覚障害者の中でも、意思疎通支援事業に代筆・代読支援があることを知らない者も多く、視覚障害者の代筆・代筆に対するニーズの高さに反比例して、この支援の実施率は低いという、看過できない状況が続いている。@居宅介護、A同行援護と比べ、サービス名に「代筆・代読支援」と銘打っているにもかかわらず、なぜ、実施率は低調なのだろうか。  まず、意思疎通支援事業についての背景を整理すると、この事業は地域生活支援事業の一つになり、地域の事情を踏まえて、自治体の独自の判断でサービスが実施できるものとなっている。実際、意思疎通支援事業に含まれる手話通訳者や要約筆記者の派遣などは、各地域で活発に利用され、意思疎通支援事業自体の実施率は非常に高いとされている。  このような背景があるにもかかわらず、代筆・代読支援の実施率は低調になっている。これまでの間、低調である理由は、自治体側の問題とされることが多かった。例えば、地域生活支援事業であるが故に、視覚障害者のニーズを汲み取らず、一方的にサービスを実施しないのではないかとの指摘があった。また、支援者の養成の面では、手話奉仕員の養成は市町村の必須事業であるのに対し、代筆・代読の支援者の養成は任意事業になっていることから、自治体が前向きな実施を行わないとの指摘もあった。  一方で、自治体側からは、支援方法が明確でないことに加え、視覚障害者からのニーズが整理されておらず、ニーズが分かりづらいとの意見もある。つまり、地域生活支援事業で実施をするためには、支援体制や視覚障害者のニーズの明確化が必要とされている。  意思疎通支援事業「代筆・代読支援」が低調である理由は、自治体側の運用や実施方法に不備があるのか、視覚障害者のニーズが不明確なのか、その理由は分からない。ただし、地域生活支援事業である以上、自治体が視覚障害者のニーズを汲み取った上で必要性を理解し、明確な支援方法や整備された制度があれば、支援は実施できる。そのためにも、低調になっている理由を解き明かす必要がある。 【2−4】障害者総合支援法の給付・事業における意思疎通支援事業 図資料につき割愛 3.同行援護と居宅介護の課題  視覚障害者の代筆・代読支援は、障害福祉サービスにおける同行援護と居宅介護でも実施できることになっている。そして、実際に同行援護と居宅介護を利用して、代筆・代読支援を受ける視覚障害者は多い。  しかし、8ページの日本盲人会連合の陳情内容を見ると、同行援護と居宅介護の支援内容に満足していないため、代筆・代読支援の更なる充実を求めているとも考えらえる。同行援護と居宅介護にも何か問題があるのだろうか。以下で整理をする。 (1)同行援護  まず、視覚障害者が代筆・代読の支援を受ける際、その支援者を整理すると、公的な福祉サービスの範疇では同行援護の従事者を挙げる者が多い。前述した「意思疎通が困難な人に対する人的及びICT技術による効果的な情報保障手法に関する研究」では、73.5%の者が同行援護の従事者を挙げており、利用率の高さが伺える。特に、同行援護では、支援者側の努力や理念により、情報提供の重要性がサービスの根幹にあることから、利用者が代筆・代読支援を求めて同行援護を利用しているケースもある。  しかし、同行援護については、視覚障害者の生活にとって重要な支援であることから、様々な要望が多い。その中で、代筆・代読支援については、@支援の質の向上、A同行援護では対応できない支援の拡充を求める声をよく聞く。特にAについては、同行援護が外出時の情報提供になるため、居宅での情報提供ができないことを不満に挙げる者が多く、従来より改善を求める声が多い。 【2−5 代筆・代読サービスの提供者】(※2より抜粋) 同行援護 73.5% 居宅介護 36.1% 家族・同居者 63.9% 友人・知人 46.9% その他 29.3% (2)居宅介護  次に居宅介護だが、前述した「意思疎通が困難な人に対する人的及びICT技術による効果的な情報保障手法に関する研究」では、36.1%の利用率に留まり、代筆・代読の支援としては利用率が若干低くなっている。これは、居宅介護自体が「障害支援区分1以上と認定された者」を対象とし、視覚障害単体では認定されづらい背景があり、居宅介護の実際の利用率が低く出ていることが影響していると思われる。  しかし、実際の利用者の声に耳を傾けると、「居宅介護で代筆・代読支援が受けづらい」との声を聞くことがある。例えば、居宅介護では、家事援助が中心であるため、料理や洗濯、掃除など日常生活を支える支援が中心となり、代筆・代読の支援を受ける時間がないとの意見がある。また、居宅介護では、視覚障害者に特化した支援者が少ないことから、同行援護並みに情報提供ができる支援者が少なく、代筆・代読支援自体を実施しない傾向もある。 (3)既存の代筆・代読支援の現状  これらの背景をまとめると、公的な福祉サービスを受ける視覚障害者は「居宅」での代筆・代読支援が満足に受けられていないことが分かった。  同行援護では、居宅はサービスの対象外、居宅介護では実質的に支援が受けられない。つまり、この「居宅」に対する支援を充実させることが、視覚障害者のニーズを満たすために課題となっている。 【2−6 同行援護と居宅介護での代筆・代読支援の整理】 (1)同行援護 @居宅 ・サービスの対象外 A外出 ・情報提供として支援ができる ・支援の質も一定レベルはある (2)居宅介護 @居宅 ・サービスの中で代筆・代読支援ができるとされているが、実際にはあまり実施されていない。 A外出 ・サービスの対象外 16ページ 3 本年度調査の方向性  本章で示した内容は、本調査の検討委員会において整理をした代筆・代読支援の現状になる。  この整理により、代筆・代読支援は視覚障害者のニーズが高いにもかかわらず、公的な福祉サービスでは、制度面の問題や運用や実施方法の問題などにより、視覚障害者の代筆・代読のニーズを支えきれていない可能性があることが分かった。  まず、障害福祉サービスの「同行援護」と「居宅介護」では、制度上、居宅での支援が行えないため、視覚障害者からの代筆・代読支援のニーズを支えられていないことが課題となっている。一方で、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」は、そもそも自治体での実施が低調であり、その理由を探すことが急務になっている。ただし、これらの問題は、制度面の問題、運用や実施方法の問題として片づけるには実態が把握しきれていなく、全容の解明が求められる。  これらの背景を踏まえ、検討委員会では、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を、同行援護と居宅介護が補えない支援、つまり「居宅」での支援に活用するのはどうか、との意見があった。確かに、この部分の支援が行えれば、視覚障害者のニーズを充足させることができる。ただし、意思疎通支援事業でサービスを実施するには、自治体側が視覚障害者のニーズを把握することや、効果的な支援体制を明確にする必要がある。そのため、現在、不明確になっている部分を整理しなくてはならない。    ついては、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の活用を目指し、本年度の調査では、実態が不明確な「(1)視覚障害当事者」と「(2)自治体」に対する実態調査を行うことにした。両調査とも、以下の点を目的に全国規模の調査を行い、全国の実態を把握することにする。 (1)調査1 視覚障害当事者   目的:これまで確認をしてきた視覚障害当事者のニーズ、既存サービスが有する課題の裏付けを行う。 (2)調査2 自治体   目的:福祉サービスにおける代筆・代読支援の実態を把握し、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を活性化させるための要素を探求する。 17ページ 第3章 調査1 視覚障害当事者調査     集計結果 18ページ 1 調査概要 1.調査目的 ・以下の論点整理を行うために調査を実施する。   論点@ 視覚障害者に対する代筆・代読支援の提供方法・体制の在り方   論点A 自治体における代筆・代読支援の実施体制の在り方 ・調査1「視覚障害当事者調査」では、論点@を中心に、これまで確認をしてきた視覚障害当事者のニーズ、既存サービスが有する課題の裏付けを目的とする。 2.調査対象 ・全国の視覚障害者 750名   3.調査対象の選定方法 ・以下の団体に対して調査の協力要請を行い、各団体に所属する会員に対して調査票を配布してもらった。    @日本盲人会連合の加盟団体(計61団体)    A日本網膜色素変性症協会    B弱視者問題研究会 4.調査方法 ・検討委員会において検討を行った調査票(116〜117ページ)を使用してアンケート調査を実施した。 ・調査票は墨字版、点字版、テキスト版を用意し、回答者の希望する調査票を選択してもらい、回答を募った。 ・回答方法は、墨字または点字での記入、メールなどのテキストでの記入など、回答者が希望する方法で回答を受け付けた。なお、代筆者による回答も認めた。 5.調査期間 ・平成30年12月27日〜平成31年1月31日 6.回収率 ・479件/750件(63.8%) ・地域により回答率の上下はあるものの、全国の人口分布に近い回答が得られている。しかし、自治体の区分ごとでは、町と村、特別区からの回答は少なくなっている。 19ページ 2 調査結果 1.回答者について (1)回答者の居住地 @都道府県別(件数、%の順に掲載) 北海道 22 4.6 青森県 9 1.9 岩手県 9 1.9 宮城県 10 2.1 秋田県 5 1.0 山形県 10 2.1 福島県 4 0.8 茨城県 7 1.5 栃木県 7 1.5 群馬県 1 0.2 埼玉県 15 3.1 千葉県 20 4.2 東京都 9 1.9 神奈川県 34 7.1 新潟県 5 1.0 富山県 9 1.9 石川県 11 2.3 福井県 8 1.7 山梨県 9 1.9 長野県 0 0.0 岐阜県 10 2.1 静岡県 4 0.8 愛知県 19 4.0 三重県 3 0.6 滋賀県 6 1.3 京都府 10 2.1 大阪府 30 6.3 兵庫県 15 3.1 奈良県 7 1.5 和歌山県 9 1.9 鳥取県 8 1.7 島根県 10 2.1 岡山県 6 1.3 広島県 14 2.9 山口県 5 1.0 徳島県 13 2.7 香川県 6 1.3 愛媛県 4 0.8 高知県 7 1.5 福岡県 16 3.3 佐賀県 7 1.5 長崎県 3 0.6 熊本県 8 1.7 大分県 12 2.5 宮崎県 8 1.7 鹿児島県 3 0.6 沖縄県 26 5.4 無回答 6 1.3 全体 479 100.0 A市区町村別(件数、%の順に掲載) 特別区 4 0.8 政令指定都市 129 26.9 市 301 62.8 町 18 3.8 村 1 0.2 無回答 26 5.4 全体 479 100.0 (2)視覚障害の内訳(件数、%の順に掲載) 全盲 308 64.3 弱視(ロービジョン) 161 33.6 盲ろう者 5 1.0 その他(※1) 4 0.8 無回答 1 0.2 全体 479 100.0 (※1)その他 記入なし、網膜色素変性症 【注意】以降の集計結果は、全体の他に全盲・弱視の集計結果を並列して掲載する。なお、全体は全盲・弱視と少数回答(盲ろう者、その他)の合計になる。 (3)年齢(件数、%の順に掲載) 10代未満 @全体0 0.0 A全盲0 0.0 B弱視0 0.0 10代 @全体3 0.6 A全盲2 0.6 B弱視1 0.6 20代 @全体9 1.9 A全盲6 1.9 B弱視3 1.9 30代 @全体9 1.9 A全盲7 2.3 B弱視2 1.2 40代 @全体41 8.6 A全盲28 9.1 B弱視12 7.5 50代 @全体98 20.5 A全盲56 18.2 B弱視40 24.8 60代 @全体177 37.0 A全盲110 35.7 B弱視63 39.1 70代以上 @全体139 29.0 A全盲98 31.8 B弱視39 24.2 無回答 @全盲3 0.6 A全盲1 0.3 B弱視1 0.6 合計 @全盲479 100.0 A全盲308 100.0 B弱視161 100.0 (4)性別(件数、%の順に掲載) 男性 @全体280 58.5 A全盲191 62.0 B弱視84 52.2 女性 @全体195 40.7 A全盲116 37.7 B弱視75 46.6 無回答 @全体4 0.8 A全盲1 0.3 B弱視2 1.2 合計 @全体479 100.0 A全盲308 100.0 B弱視161 100.0 (5)職業(件数、%の順に掲載) 学生 @全体3 0.6 A全盲1 0.3 B弱視2 1.2 自営業 @全体158 33.0 A全盲112 36.4 B弱視44 27.3 会社員 @全体63 13.2 A全盲39 12.7 B弱視23 14.3 公務員 @全体14 2.9 A全盲8 2.6 B弱視6 3.7 主婦(夫) @全体59 12.3 A全盲32 10.4 B弱視24 14.9 無職 @全体121 25.3 A全盲77 25.0 B弱視41 25.5 その他(※1) @全体59 12.3 A全盲38 12.3 B弱視21 13.0 無回答 @全体2 0.4 A全盲1 0.3 B弱視0 0.0 合計 @全体479 100.0 A全盲308 100.0 B弱視161 100.0 (※1)その他 自営業以外の形であはき業に従事(治療所などに勤務、パートタイマーなど)、就労継続支援B型に勤務、団体職員 など (6)家族構成【複数回答】(件数、%の順に掲載) 配偶者 @全体260 54.3 A全盲164 53.2 B弱視91 56.5 子供 @全体106 22.1 A全盲63 20.5 B弱視39 24.2 親 @全体67 14.0 A全盲50 16.2 B弱視16 9.9 兄弟姉妹 @全体25 5.2 A全盲19 6.2 B弱視5 3.1 独居 @全体123 25.7 A全盲74 24.0 B弱視48 29.8 施設に入所 @全体11 2.3 A全盲8 2.6 B弱視3 1.9 その他(※1) @全体9 1.9 A全盲6 1.9 B弱視3 1.9 無回答 @全体5 1.0 A全盲2 0.6 B弱視2 1.2 母数(件数のみ) @全体479 A全盲308 B弱視161 (※1)その他 孫、甥 など (7)利用している自治体の福祉サービス【複数回答】(件数、%の順に掲載) 居宅介護(ホームヘルプ) @全体150 31.3 A全盲115 37.3 B弱視32 19.9 同行援護(移動支援) @全体358 74.7 A全盲268 87.0 B弱視84 52.2 自立訓練(機能訓練・生活訓練) @全体83 17.3 A全盲59 19.2 B弱視24 14.9 地域生活支援事業(意思疎通支援事業) @全体34 7.1 A全盲25 8.1 B弱視9 5.6 補装具費の支給 @全体301 62.8 A全盲199 64.6 B弱視96 59.6 日常生活用具の給付 @全体403 84.1 A全盲266 86.4 B弱視130 80.7 利用したことがない @全体17 3.5 A全盲2 0.6 B弱視13 8.1 その他(※1) @全体8 1.7 A全盲3 1.0 B弱視4 2.5 無回答 @全体5 1.0 A全盲2 0.6 B弱視2 1.2 母数(件数のみ) @全体479 A全盲308 B弱視161 (※1)その他 就労移行支援、移動支援、タクシー券 など 2.回答方法について (1)提出された調査票の内訳(件数、%の順に掲載) 墨字 @全体242 50.5 A全盲130 42.2 B弱視104 64.6 メール @全体94 19.6 A全盲55 17.9 B弱視38 23.6 点字 @全体143 29.9 A全盲123 39.9 B弱視19 11.8 無回答 @全体0 0.0 A全盲0 0.0 B弱視0 0.0 合計 @全体479 100.0 A全盲308 100.0 B弱視161 100.0 (2)調査票の確認方法(調査票を読むこと)(件数、%の順に掲載) 裸眼、またはメガネを用いて確認をした @全体33 6.9 A全盲1 0.3 B弱視30 18.6  ルーペや拡大読書器を用いて確認をした @全体33 6.9 A全盲1 0.3 B弱視30 18.6 点字で確認をした @全体152 31.7 A全盲137 44.5 B弱視12 7.5 パソコン等の音声読み上げ機能を用いて確認をした @全体71 14.8 A全盲47 15.3 B弱視23 14.3 パソコン等の拡大機能を用いて確認をした @全体5 1.0 A全盲0 0.0 B弱視5 3.1 自分以外の人に読み上げてもらい確認をした @全体179 37.4 A全盲118 38.3 B弱視60 37.3 その他 @全体2 0.4 A全盲2 0.6 B弱視0 0.0 無回答 @全体4 0.8 A全盲2 0.6 B弱視1 0.6 合計 @全体479 100.0 A全盲308 100.0 B弱視161 100.0 (3)調査票への記入方法(調査票を書くこと)(件数、%の順に掲載) 自分で記入をした @全体267 55.7 A全盲167 54.2 B弱視94 58.4 自分以外の人に記入してもらった @全体209 43.6 A全盲140 45.5 B弱視66 41.0 その他 @全体2 0.4 A全盲1 0.3 B弱視1 0.6 無回答 @全体1 0.2 A全盲0 0.0 B弱視0 0.0 合計 @全体479 100.0 A全盲308 100.0 B弱視161 100.0 3.読み書きについて (1)読み書きをすることに困ることがあるかどうか(件数、%の順に掲載) 困っている @全体414 86.4 A全盲278 90.3 B弱視130 80.7 困っていない @全体60 12.5 A全盲28 9.1 B弱視29 18.0 無回答 @全体5 1.0 A全盲2 0.6 B弱視2 1.2 合計 @全体479 100.0 A全盲308 100.0 B弱視161 100.0 (2)読み書きを支援する公的な福祉サービスがあることを知っているかどうか(件数、%の順に掲載) 知っている @全体348 72.7 A全盲239 77.6 B弱視106 65.8 知らない @全体124 25.9 A全盲65 21.1 B弱視53 32.9 無回答 @全体7 1.5 A全盲4 1.3 B弱視2 1.2 合計 @全体479 100.0 A全盲308 100.0 B弱視161 100.0 (3)読み書きを支援する公的な福祉サービスを使ったことがあるかどうか【対象:3−(2)公的な福祉サービスがあることを知っている348名】(件数、%の順に掲載) 使ったことがある @全体239 68.7 A全盲188 78.7 B弱視49 46.2 使ったことがない @全体106 30.5 A全盲49 20.5 B弱視56 52.8 無回答 @全体3 0.9 A全盲2 0.8 B弱視1 0.9 合計 @全体348 100.0 A全盲239 100.0 B弱視106 100.0 4.代筆・代読支援を利用したことがある者への質問 (1)読み書きを支援する公的な福祉サービスの利用状況【複数回答】【対象:3−(3)公的な福祉サービスを使ったことがある239名】(件数、%の順に掲載) 同行援護 @全体207 86.6 A全盲165 87.8 B弱視40 81.6 居宅介護(ホームヘルパー) @全体104 43.5 A全盲85 45.2 B弱視18 36.7 意思疎通支援事業(代筆・代読支援者) @全体18 7.5 A全盲12 6.4 B弱視6 12.2 その他(※1) @全体67 28.0 A全盲60 31.9 B弱視6 12.2 無回答 @全体1 0.4 A全盲1 0.5 B弱視0 0.0 母数(件数のみ) @全体239 A全盲188 B弱視49 (※1)その他 公的な福祉サービスとは異なる属性の対象者は「その他」に割り振る。   例:家族、知人、自治体や社会福祉協議会などの職員、図書館の職員、職場の同僚、ボランティア など (2)読み書きを支援する公的な福祉サービスで困ったことや不安になったことはあるか【対象:3−(3)公的な福祉サービスを使ったことがある239名】(件数、%の順に掲載) ある @全体117 49.0 A全盲95 50.5 B弱視21 42.9 ない @全体120 50.2 A全盲92 48.9 B弱視27 55.1 無回答 @全体2 0.8 A全盲1 0.5 B弱視1 2.0 合計 @全体239 100.0 A全盲188 100.0 B弱視49 100.0 ※困ったことや不安になったことの理由【複数回答】【対象:4−(2)困ったことや不安になったことがある117名】(件数、%の順に掲載) 支援を受けられる時間が希望より短い @全体36 30.8 A全盲29 30.5 B弱視7 33.3 支援を受けられない内容がある @全体53 45.3 A全盲43 45.3 B弱視10 47.6 支援を受けられない場所がある @全体25 21.4 A全盲19 20.0 B弱視6 28.6 支援を行ってくれる事業者(支援者)が少ない @全体36 30.8 A全盲34 35.8 B弱視2 9.5 誤った記入や読み上げがあった @全体53 45.3 A全盲43 45.3 B弱視10 47.6 個人情報の漏洩があった @全体18 15.4 A全盲17 17.9 B弱視1 4.8 その他(※1) @全体34 29.1 A全盲29 30.5 B弱視4 19.0 無回答 @全体3 2.6 A全盲3 3.2 B弱視0 0.0 母数(件数のみ) @全体117 A全盲95 B弱視21 (※1)その他 個人情報漏洩の詳細、依頼の条件が厳しい、支援者の対応力が低い、利用者の遠慮 など (3)公的な福祉サービスを使っている中で、読み書きの支援を断られたことがあるか【対象:3−(3)公的な福祉サービスを使ったことがある239名】(件数、%の順に掲載) ある @全体59 24.7 A全盲47 25.0 B弱視11 22.4 ない @全体177 74.1 A全盲140 74.5 B弱視36 73.5 無回答 @全体3 1.3 A全盲1 0.5 B弱視2 4.1 合計 @全体239 100.0 A全盲188 100.0 B弱視49 100.0 ※断られた場面【複数回答】【対象:4−(3)読み書きの支援を断られたことがある59名】(件数、%の順に掲載) 支援者側の条件と合わなかったから @全体15 25.4 A全盲11 23.4 B弱視4 36.4 お願いをした内容が難解で、事業者(支援者)では対応できないから @全体23 39.0 A全盲20 42.6 B弱視3 27.3 お願いをした内容が制度の対象外だったから @全体18 30.5 A全盲14 29.8 B弱視3 27.3 理由を教えてくれなかった @全体5 8.5 A全盲2 4.3 B弱視3 27.3 その他(※1) @全体15 25.4 A全盲13 27.7 B弱視2 18.2 無回答 @全体3 5.1 A全盲3 6.4 B弱視0 0.0 母数(件数のみ) @全体59 A全盲47 B弱視11 (※1)その他 支援者からの断り方、利用者の諦め など 5.代筆・代読支援を利用したことがない者への質問 (1)読み書きを支援する公的な福祉サービスを使いたいと思うか【対象:3−(2)公的サービスがあることを知らない124名】(件数、%の順に掲載) 思う @全体83 66.9 A全盲43 66.2 B弱視36 67.9 思わない @全体27 21.8 A全盲10 15.4 B弱視15 28.3 無回答 @全体14 11.3 A全盲12 18.5 B弱視2 3.8 合計 @全体124 100.0 A全盲65 100.0 B弱視53 100.0 (2)読み書きを支援する公的な福祉サービスを使っていない理由、またはサービスを使いたいと思わない理由【複数回答】【対象:3−(3)公的な福祉サービスを利用したことがない106名】【対象:5−(1)公的な福祉サービスを利用したいと思わない27名】(件数、%の順に掲載) 自分で読み書きができるから @全体37 27.8 A全盲3 5.1 B弱視33 46.5 家族や知人などにお願いできるから @全体91 68.4 A全盲47 79.7 B弱視41 57.7 お願いをする事業者(支援者)がないから @全体16 12.0 A全盲8 13.6 B弱視8 11.3 支援をする人にお願いをすることが不安だから @全体11 8.3 A全盲7 11.9 B弱視4 5.6 その他(※1) @全体23 17.3 A全盲12 20.3 B弱視11 15.5 無回答 @全体5 3.8 A全盲2 3.4 B弱視3 4.2 母数(件数のみ) @全体133 A全盲59 B弱視71 (※1)その他 自由記述なし 30ページ 3 自由記述の整理  視覚障害当事者調査においては、自由記述を求めた設問が数箇所あった。そして、その自由記述では、代筆・代読に関する詳細な現状や切実な要望の記入が多く、大変興味深い内容となっている。  そのため、この自由記述については、集計結果とは別に検討委員会において項目整理を行い、主だった自由記述を掲載することにした。 1.代筆・代読支援に対する思い (1)支援を受けてよかったこと ・点字が苦手なため、代筆・代読はとても助かっています。【60代、女性、全盲】 ・弱視がある私にとっては、代筆・代読を受けることにより、生活が豊かになり、ありがたく思います。サービスを通して様々な知識も得ています。このようなサービスを更に広め、もっと弱視の方々にサービスを利用していただきたいです。【60代、女性、弱視】 (2)不安なこと ・高齢になると、公的機関の書類の代読を受けても、自分の判断・理解力が鈍くなっているので、代筆・代読支援を受けるのが不安です。【60代、女性、弱視】 (3)遠慮してしまうこと ・読んでもらう書類が多すぎると頼みづらい。【40代、女性、全盲】 ・お願いする事業所のヘルパーの中に、代筆・代読の対応ができそうな人がいないため、こちらから依頼しなかった。【50代、女性、全盲】 ・代筆や代読のガイドラインがはっきりしていないため、重要なことを依頼しにくい。【70代以上、男性、弱視】 ・読み書きだけのためにホームヘルプを利用するのは敷居が高い。【30代、女性、全盲】 2.代筆・代読支援の現状 (1)支援の質 ・代読者や代筆者の主観が入ることがある。【50代、女性、弱視】 ・代読専門の支援者ではないこともあり、漢字が読めなかったり、文書についての理解力が低い人にもお願いしなければならないことが往々にしてある。【60代、男性、全盲】 ・読み上げに時間がかかる。【60代、女性、盲ろう者】 ・漢字の読み書き能力が低い方だと、記入を間違ったり、記入漏れや読めない漢字がある。読解力のない人もいて困った。【50代、女性、全盲】 ・ガイドヘルパーを選ぶことができないので、来られたガイドの国語力によって読み上げや代筆のレベルが大きく異なることが問題。【70代以上、男性、弱視】 (2)個人情報の取り扱い ・個人情報の漏洩はなかったと思いますが、あまり気持ちの良いものではありませんでした。【50代、男性、全盲】 ・代筆については、個人情報が漏れないかが不安。そのため、積極的には利用したいと思わない。【40代、女性、弱視】 ・同行援護(居宅介護)のヘルパーに貴金属などを窃盗された。マイナンバーなどのIDやパスワードも代筆してもらっていたため、情報の漏洩が心配になった。なお、このヘルパーについては、逮捕・起訴後、有罪となった。【50代、女性、全盲】 (3)支援ができない条件 @急遽の対応 ・必要な時にすぐに頼めないことが困る。【70代以上、女性、全盲】 ・記入する書類の提出期限が短くて、事業所に頼める人がいなかった。【40代、女性、全盲】 A個人情報 ・個人的なプライバシーに関することについては頼めない場合がある。【70代以上、男性、全盲】 ・個人情報の問題により、支援者に頼みにくいものもある。家族以外には頼みづらい。【60代、男性、全盲】 B自宅での支援 ・同行援護は、自宅以外での代筆・代読しかできないのはおかしい!自宅でも気軽に代筆・代読ができるようにしてほしい。少しの時間で終わるのに、居宅介護まで必要ない!【60代、女性、全盲】 ・同行援護は外出しないと利用できない。読み書きのみの利用ができない。【30代、女性、全盲】 C契約などの代筆・代読 ・同行援護のヘルパーと歯医者に行った時、ヘルパーの所属する事業所では、同意書にサインの代筆ができない決まりになっていると言われ、書類を持ち帰り、改めて歯医者に行った。【40代、男性、全盲】 (4)想定外の断り方や支援 ・同行援護のヘルパーが眼鏡を忘れたので、代筆ができないと言われことがある。【70代以上、女性、弱視】 ・弱視であることを告げて依頼したら、「見えるなら自筆するのが決まりになっている」と言われた。【50代、女性、弱視】 ・郵便局で預金口座を作る時に、ヘルパーが「私は後ろにいるので必要な時に声をかけてね」と言われ、何も支援を受けられなかった。【60代、女性、全盲】 (5)支援体制の問題 ・ヘルパーも高齢化が進み、更に人数も少なくなり、希望の日や時間の折り合いがつかないことがある。【70代以上、男性、弱視】 (6)家族からの支援 ・家族は仕事で代筆・代読が不可能な時がある。また、家族がいると福祉の支援が受けられないことがある。【70代以上、女性、弱視】 3.代筆・代読支援に対する要望 (1)制度の確立 ・代筆・代読の専用のサービスが手軽に利用できるようにしてほしい。【70代以上、男性、全盲】 ・いつでも必要な時にお願いできる制度にしてほしい。【60代、女性、全盲】 ・代筆・代読に対する制度がきちんとあるのかどうか不安。なければ早急に整備してほしい。【70代以上、男性、全盲】 ・地域生活支援事業の意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の早期確立を強く要望します。【60代、女性、弱視】 ・同行援護だけではなく、意思疎通支援事業が実施できるようになると更に良いと思います。【60代、女性、全盲】 ・同行援護と居宅介護の持ち時間がどうしても不足するので、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を利用できると嬉しい。【60代、女性、全盲】 (2)支援の質の確保 @資質の向上 ・正確に読んでほしい。【70代以上、男性、全盲】 ・代筆・代読は、人生経験と知識があって、読み書きのできる人にお願いしたい。また、時間をかけず、すぐにお願いできる人にお願いしたい。【60代、女性、全盲】 ・同行援護では、字が下手だから書くのは苦手とか、読んで欲しい文章を、字が細かいことを理由に斜め読みすることなどがよくある。そのため、各事業所には、ガイドヘルパーの指導をお願いしたい。【60代、男性、全盲】 ・読んだ人が「これはいりませんよね」と勝手な読み方をする人がいるので、代読は仕事としてしっかりと読んでほしいと思います。【60代、女性、全盲】 A資格化 ・代筆・代読者の公的資格化を要望します。【60代、男性、全盲】 ・代筆・代読の専門職のような資格があれば、もっと代筆・代読を利用しやすくなるのかなと感じています。【50代、男性、全盲】 B専門性 ・専門書を代読する時、一般の人では知識の差により代読が大変な場合があります。専門性がある内容の代筆・代読が可能な人材を派遣できるサービスがあると良いと思います。【60代、女性、全盲】 ・日常生活に関する代筆・代読については、現状では満足しています。ただし、専門書、法律、保険、外国語などの特別な代筆・代読は、その専門家がいたらいいなと思う。【60代、女性、全盲】 (3)支援の幅の拡大 ・自宅まで代筆・代読に来てほしい。【60代、男性、全盲】 ・急な場合など、代筆・代読が必要な時にいつでも利用できるサービスになってほしい。【50代、男性、全盲】 ・代筆や代読の時間数を増やしてほしい。介護保険では、週2回1時間になるので、代読の時間がなかなかとれません。【70代以上、女性、全盲】 ・もう少し、代読の時間をサービスの時間数に多く組み込んでいただけたら良いと思う。居宅介護で代読を利用させていただくことが多いですが、回覧板や取説など、ちょっとしたものでも、1時間はあっという間に過ぎてしまう。時間のやりくりが大変です。【50代、女性、弱視】 ・聞いて忘れている漢字などを教えてほしい。【60代、男性、全盲】 ・選挙での代筆・代読ができれば良いと思う。現状では点字だけに特定されるので。【70代以上、男性、弱視】 (4)支援者の確保 ・代筆・代読にかかわらず、福祉事業全般について事業所の人手不足が否めないため、希望する時にサービスを受けられないことが多い。そのため、事業所が福祉事業に参入しやすい環境づくり(報酬など)について、国や地方自治体の行政側に働きかけをしてほしい。【50代、女性、全盲】 (5)同行援護や居宅介護の活用 ・同行援護での代筆・代読支援を自宅でも利用可となるようにしてほしい。【60代、女性、弱視】 ・ホームヘルパー利用者が家事援助の時間内ではなく、代筆・代読の時間があると良いと思います。【60代、女性、弱視】 (6)仕事での活用 ・自営業の職場での代筆・代読が可能となるよう、新たな制度を作ってほしい。【60代、男性、全盲】 ・自営業者でも、職場介助者と同等の代筆・代読が受けられるシステムの構築を望みます。【50代、男性、弱視】 ・私は雇用された現職の医療職ですが、代読、口述筆記、パソコン操作、移動時の補助、セルフサービスの給食時の介助など医療秘書に頼っています。職場介助者制度を利用しようとしたことがありますが、当時の回答としては事務職でないので適用外とされました。【60代、男性、全盲】 4.弱視者と代筆・代読支援 (1)困っていること、希望すること ・細かい字の書類や、銀行での手続きに困ることがあります。また、一人暮らしなので、宅配便の不在票の追跡番号などが分からずに困っています。【50代、女性、弱視】 ・趣味で楽器を習っていましたが、視力が悪化し楽譜が読めなくなりました。居宅介護のヘルパーに依頼しましたが、自治体では認めてもらえませんでした。カラオケの歌詞はヘルパーに読んでもらえるのに、楽譜はできないのはなぜでしょうか。何か、方法はありますか(ちなみに音訳でも、断られました)。【60代、女性、弱視】 ・見えにくそうにしている時、すぐに「代筆(代読)しましょうか」と声をかけてほしい。ルーペを使えば何とか読んだり書いたりできるが、通常の何倍もの時間がかかる。【60代、男性、弱視】 (2)今後の必要性 ・現在は視力があり、必要とはしていませんが、将来のことを考えると必要性を感じています。【60代、男性、弱視】 ・現在はルーペを使えばある程度のことができる能力は残っているが、将来全く見えなくなるかもしれないと思った時、代筆・代読の支援を受けることができるとなれば、非常にありがたいだろうなと思います。【70代以上、女性、盲ろう者】 5.代筆・代読支援を初めて知った ・今は視野損失なので、なんとか読み書きできるが、将来全盲になった時、読み書きする公的支援サービスがあるならば利用してみたい。そのような支援がどこにあるのかも知らないし、このアンケートで初めて知った。【50代、女性、弱視】 ・公的支援があることを知らなかった。【60代、女性、弱視】 ・地域生活支援事業に意思疎通支援事業があることは知っていますが、そこで視覚障害者への代筆・代読が実施できることは知りませんでした。そのような情報があればどこで入手できるのか、どのように調べたらよいのか、こちらも勉強が必要だと思いました。【60代、女性、全盲】 ・引きこもっている視覚障害者も多く、制度を知らない人が多いと思う。制度があることを、行政のほうで力を入れて周知していただけると嬉しいです。【70代以上、女性、弱視】 6.公的な福祉サービス以外の現状や要望 (1)金融機関 ・金融機関での代筆をしてもらえなかったことが何度もありました。【60代、男性、弱視】 ・金融窓口で代筆してくれない時がある。すべての窓口で対応してほしい。【70代以上、女性、弱視】 ・金融機関で入出金の代筆をしてくれない所がある。判断の基準が分からない。ルールがあれば知りたい。【50代、男性、弱視】 ・銀行や郵便局で代筆をできるようにしてほしい。【50代、男性、弱視】 (2)医療機関 ・銀行や病院の問診票など、紙の色と字のコントラストが分かりにくいものは読みづらい。【50代、女性、弱視】 ・急に入院、検査、手術の同意書などの書類に署名をする時、書類の字が細かく、署名を記載する欄が小さくて困る。【60代、女性、弱視】 ・病院でCT検査、大腸、胃カメラなどの検査を受ける時、署名が本人でないとダメと数回言われたので、病院でも代筆できるようにお願いしたいです。【50代、女性、弱視】 ・保険の証書や入院時の承諾書の代筆は難しいと聞いたことがある。【60代、女性、全盲】 ・インフルエンザ予防接種の時、市役所から厳しく言われているとのことで、代筆が認められなかった。杓子定規でない対応を行ってほしい。【60代、女性、弱視】 (3)その他 ・公共施設での代筆・代読を徹底してほしい。【60代、女性、弱視】 ・役所などにおいて、障害者が単独で訪れた場合、代筆・代読ができる人がいると良い。【60代、女性、全盲】 ・不動産の売買契約・アパートの賃貸借契約などの法律行為、また、外国為替の口座開設と取引、株式債券投資の経済取引などにおいて、誰に代筆・代読をお願いしたらいいのでしょうか。【70代以上、男性、全盲】 39ページ 第4章 調査2 自治体調査 集計結果 40ページ 1 調査概要 1.調査目的 ・以下の論点整理を行うために調査を実施する。   論点@ 視覚障害者に対する代筆・代読支援の提供方法・体制の在り方   論点A 自治体における代筆・代読支援の実施体制の在り方 ・調査2では、論点Aを中心に、福祉サービスにおける代筆・代読支援の実態の把握と、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を活性化させるための要素の探求を目的とする。 2.調査対象自治体 ・特別区(東京23区)を含む全国の市区町村 1,747団体   3.調査方法 ・検討委員会において検討を行った調査票(118ページ)を使用してアンケート調査を実施した。 ・調査対象には郵便で調査票を送付し、回答者の希望する調査票(墨字版、データ版)を選択してもらい、回答を募った。 4.調査期間 ・平成30年12月25日〜平成31年1月25日 5.回収率 ・1,134件/1,747件(64.9%) ・地域により回収率の上下はあるものの、各地域より一律に回答が得られた。なお、自治体の区分ごとに見ると、村からの回収率が平均よりも少ない。 6.調査結果の掲載方法 ・回答データは平成29年度実績を掲載する。なお、一部の自治体は平成30年度予算や実績で回答をしているが、平成29年度の実績と近いことを踏まえ、平成29年度の実績として掲載を行う。 41ページ 2 調査結果 1.回答自治体について (1)都道府県別(自治体数、件数、回収率(%)、占有率(%)の順に掲載) 北海道 185 115 62.2 10.1 青森県 40 25 62.5 2.2 岩手県 33 21 63.6 1.9 宮城県 35 25 71.4 2.2 秋田県 25 19 76.0 1.7 山形県 35 18 51.4 1.6 福島県 59 28 47.5 2.5 茨城県 44 27 61.4 2.4 栃木県 25 18 72.0 1.6 群馬県 35 22 62.9 1.9 埼玉県 63 48 76.2 4.2 千葉県 54 37 68.5 3.3 東京都(特別区を含む) 62 37 59.7 3.3 神奈川県 33 28 84.8 2.5 新潟県 30 18 60.0 1.6 富山県 15 13 86.7 1.1 石川県 19 14 73.7 1.2 福井県 17 12 70.6 1.1 山梨県 27 17 63.0 1.5 長野県 77 45 58.4 4.0 岐阜県 42 34 81.0 3.0 静岡県 35 28 80.0 2.5 愛知県 54 45 83.3 4.0 三重県 29 13 44.8 1.1 滋賀県 19 14 73.7 1.2 京都府 26 18 69.2 1.6 大阪府 43 32 74.4 2.8 兵庫県 41 30 73.2 2.6 奈良県 39 16 41.0 1.4 和歌山県 30 19 63.3 1.7 鳥取県 19 10 52.6 0.9 島根県 19 13 68.4 1.1 岡山県 27 19 70.4 1.7 広島県 23 16 69.6 1.4 山口県 19 15 78.9 1.3 徳島県 24 13 54.2 1.1 香川県 17 12 70.6 1.1 愛媛県 20 13 65.0 1.1 高知県 34 10 29.4 0.9 福岡県 60 38 63.3 3.4 佐賀県 20 15 75.0 1.3 長崎県 21 17 81.0 1.5 熊本県 45 24 53.3 2.1 大分県 18 15 83.3 1.3 宮崎県 26 20 76.9 1.8 鹿児島県 43 26 60.5 2.3 沖縄県 41 22 53.7 1.9 無回答   0 0.0 0.0 全体 1,747 1,134 64.9 100.0 (2)市区町村別(自治体数、件数、回収率(%)、占有率(%)の順に掲載) 特別区(東京23区) 23 15 65.2 1.3 政令指定都市 20 17 85.0 1.5 市 772 566 73.3 49.9 町 743 451 60.7 39.8 村 189 85 45.0 7.5 無回答   0 0.0 0.0 全体 1,747 1,134 64.9 100.0 (3)住民数と障害者数(@住民数(平均)(単位:人)、A身体障害者手帳の交付数(平均)(単位:人)、B視覚障害者数(平均)(単位:人)の順に掲載) 特別区(東京23区) 359,039.1 9,939.9 1,024.9 政令指定都市 1,394,301.7 47,408.0 3,125.2 市 109,018.0 4,720.6 265.5 町 15,059.4 666.3 39.1 村 4,145.3 181.7 10.4 全体 86,733.4 3,486.2 209.7 ※上記平均から割り出した割合(A住民数に占める身体障害者の割合(%)A手帳÷@人口、B身体障害者に占める視覚障害者の割合(%)B視覚÷A手帳、C住民数に占める視覚障害者の割合(%)B視覚÷@人口の順に掲載) 特別区(東京23区) 2.77 10.31 0.29 政令指定都市 3.40 6.59 0.22 市 4.33 5.62 0.24 町 4.42 5.87 0.26 村 4.38 5.70 0.25 全体 4.02 6.01 0.24 【参考:全国平均】(※1) 3.09 7.95 0.18 (※1)平成29年度の@日本の総人口(12,670.6万人)、A身体障害者手帳数(392.2万)、B視覚障害者数(31.2万人)より計算する。 2.意思疎通支援事業の実施状況 (1)意思疎通支援事業の実施の有無(件数、%の順に掲載)   実施している 実施していない 無回答 合計 特別区(東京23区)@実施している 15 100.0 A実施していない 0 0.0 B無回答 0 0.0 C合計 15 100.0 政令指定都市 @実施している 17 100.0 A実施していない 0 0.0 B無回答 0 0.0 C合計 17 100.0 市 @実施している 538 95.1 A実施していない 7 1.2 B無回答 21 3.7 C合計 566 100.0 町 @実施している 393 87.1 A実施していない 42 9.3 B無回答 16 3.5 C合計 451 100.0 村 @実施している 41 48.2 A実施していない 40 47.1 B無回答 4 4.7 C合計 85 100.0 全体 @実施している 1004 88.5 A実施していない 89 7.8 B無回答 41 3.6 C合計 1134 100.0 (2)意思疎通支援事業の予算額(平均)(単位:円)【参考値】(※1) 特別区(東京23区) 12,455,251.2 政令指定都市 58,301,354.4 市 4,732,988.7 町 546,678.7 村 193,906.9 全体 3,950,844.5 (※1)【参考値】  回答者によって@記載した年度が異なること、A他事業の予算も計上していること、Bサービスを実施していない場合は0円で回答など、平均値に信ぴょう性がないため、この結果は参考値として公開する。 (3)意思疎通支援事業の実施内容【複数回答】【対象:2−(1)意思疎通支援事業を実施している自治体1,004団体】(件数、%の順に掲載) 代筆・代読による支援【A】 @特別区3 20.0 A政令指定都市0 0.0 B市9 1.7 点訳・音訳による支援 @特別区3 20.0 A政令指定都市6 35.3 B市89 16.5 手話通訳者の派遣・設置 @特別区15 100.0 A政令指定都市17 100.0 B市525 97.6 要約筆記者の派遣・設置 @特別区14 93.3 A政令指定都市17 100.0 B市395 73.4 盲ろう者向け通訳・介助員の派遣 @特別区0 0.0 A政令指定都市16 94.1 B市42 7.8 その他 @特別区1 6.7 A政令指定都市6 35.3 B市25 4.6 実施していない @特別区0 0.0 A政令指定都市0 0.0 B市3 0.6 無回答 @特別区0 0.0 A政令指定都市0 0.0 B市8 1.5 母数(件数のみ) @特別区15 A政令指定都市17 B市538 代筆・代読による支援【A】 C町2 0.5 D村0 0.0 E全体14 1.4 点訳・音訳による支援 C町10 2.5 D村0 0.0 E全体108 10.8 手話通訳者の派遣・設置 C町290 73.8 D村19 46.3 E全体866 86.3 要約筆記者の派遣・設置 C町116 29.5 D村10 24.4 E全体552 55.0 盲ろう者向け通訳・介助員の派遣 C町3 0.8 D村0 0.0 E全体61 6.1 その他 C町9 2.3 D村2 4.9 E全体43 4.3 実施していない C町28 7.1 D村7 17.1 E全体38 3.8 無回答 C町63 16.0 D村13 31.7 E全体84 8.4 母数 C町393 D村41 E全体1,004 (4)代筆・代読支援の詳細  支援を実施している14団体(前ページ【A】)より以下の内容を調査したが、平均値を示すことのできない回答件数であったため、調査結果の掲載は割愛する。  ・受給者証の発行数  ・年間利用者数(累計)  ・月額の上限支給量  ・予算規模 (5)代筆・代読支援者の養成【対象:2−(1)意思疎通支援事業を実施している自治体1,004団体】(件数、%の順に掲載) 特別区(東京23区) @養成している1 6.7 A養成していない14 93.3 B無回答0 0.0 C合計15 100.0 政令指定都市 @養成している0 0.0 A養成していない17 100.0 B無回答0 0.0 C合計17 100.0 市 @養成している10 1.9 A養成していない517 96.1 B無回答11 2.0 C合計538 100.0  町 @養成している5 1.3 A養成していない384 97.7 B無回答4 1.0 C合計393 100.0 村 @養成している1 2.4 A養成していない38 92.7 B無回答2 4.9 C合計41 100.0 全体 @養成している17 1.7 A養成していない970 96.6 B無回答17 1.7 C合計1004 100.0 3.他の福祉サービスでの代筆・代読支援 (1)同行援護での代筆・代読支援(件数、%の順に掲載) 特別区(東京23区) @実施している10 66.7 A実施していない2 13.3 B分からない3 20.0 C無回答0 0.0 D合計15 100.0 政令指定都市 @実施している15 88.2 A実施していない0 0.0 B分からない2 11.8 C無回答0 0.0 D合計17 100.0 市 @実施している352 62.2 A実施していない49 8.7 B分からない164 29.0 C無回答1 0.2 D合計566 100.0 町 @実施している124 27.5 A実施していない143 31.7 B分からない175 38.8 C無回答9 2.0 D合計451 100.0 村 @実施している7 8.2 A実施していない54 63.5 B分からない21 24.7 C無回答3 3.5 D合計85 100.0 全体 @実施している508 44.8 A実施していない248 21.9 B分からない365 32.2 C無回答13 1.1 D合計1134 100.0 (2)居宅介護での代筆・代読支援(件数、%の順に掲載) 特別区(東京23区) @実施している8 53.3 A実施していない2 13.3 B分からない5 33.3 C無回答0 0.0 D合計15 100.0 政令指定都市 @実施している12 70.6 A実施していない1 5.9 B分からない4 23.5 C無回答0 0.0 D合計17 100.0 市 @実施している301 53.2 A実施していない65 11.5 B分からない199 35.2 C無回答1 0.2 D合計566 100.0 町 @実施している110 24.4 A実施していない135 29.9 B分からない301 44.6 C無回答5 1.1 D合計451 100.0 村 @実施している8 9.4 A実施していない50 58.8 B分からない25 29.4 C無回答2 2.4 D合計85 100.0 全体 @実施している439 38.7 A実施していない253 22.3 B分からない434 38.3 C無回答8 0.7 D合計1134 100.0 (3)その他のサービスでの代筆・代読支援(件数、%の順に掲載) 特別区(東京23区) @実施している5 33.3 A実施していない10 66.7 B分からない0 0.0 C無回答0 0.0 D合計15 100.0 政令指定都市 @実施している9 52.9 A実施していない8 47.1 B分からない0 0.0 C無回答0 0.0 D合計17 100.0 市 @実施している69 12.2 A実施していない445 78.6 B分からない0 0.0 C無回答52 9.2 D合計566 100.0 町 @実施している26 5.8 A実施していない379 84.0 B分からない0 0.0 C無回答46 10.6 D合計451 100.0 村 @実施している2 2.4 A実施していない76 89.4 B分からない0 0.0 C無回答7 8.2 D合計85 100.0 全体 @実施している111 9.8 A実施していない918 81.0 B分からない0 0.0 C無回答105 9.3 D合計1134 100.0 ※その他の内容 @実施をしているサービス   移動支援、重度訪問看護、生活看護(短期入所)、相談支援事業、施設入所支援、就労移行支援(就労継続支援) など Aサービス以外の対応   自治体の窓口で職員が対応する、自治体が発行する広報などでの支援 など 4.意思疎通支援事業で代筆・代読支援を行うために必要な条件 【複数回答】(件数、%の順に掲載) 支援者の確保 @特別区12 80.0 A政令指定都市9 52.9 B市412 72.8 支援者の養成方法(カリキュラム)の確立 @特別区6 40.0 A政令指定都市8 47.1 B市267 47.2 実施をする上での明確な支援体制の確立 @特別区8 53.3 A政令指定都市14 82.4 B市364 64.3 支援を行うことでの情報漏洩対策の確立 @特別区3 20.0 A政令指定都市1 5.9 B市114 20.1 難しい支援への対応策の確立 @特別区2 13.3 A政令指定都市3 17.6 B市91 16.1 分からない @特別区1 6.7 A政令指定都市1 5.9 B市38 6.7 その他(※1) @特別区0 0.0 A政令指定都市1 5.9 B市30 5.3 無回答 @特別区1 6.7 A政令指定都市0 0.0 B市12 2.1 母数(件数のみ) @特別区15 A政令指定都市17 B市566 支援者の確保 C町359 79.6 D村69 81.2 E全体861 75.9 支援者の養成方法(カリキュラム)の確立 C町165 36.6 D村24 28.2 E全体470 41.4 実施をする上での明確な支援体制の確立 C町259 57.4 D村51 60.0 E全体696 61.4 支援を行うことでの情報漏洩対策の確立 C町60 13.3 D村8 9.4 E全体186 16.4 難しい支援への対応策の確立 C町62 13.7 D村6 7.1 E全体164 14.5 分からない C町26 5.8 D村7 8.2 E全体73 6.4 その他(※1) C町20 4.4 D村1 1.2 E全体52 4.6 無回答 C町4 0.9 D村2 2.4 E全体19 1.7 母数(件数のみ) C町451 D村85 E全体1,134 (※1)その他 主な回答  予算の確保、制度面の整理、当事者のニーズの把握、サービスの周知、啓発、当事者からの声がない など 50ページ 3 自由記述の整理  自治体調査においては、自由記述を求めた項目が数箇所あり、自治体での支援の現状や要望などの記入が多く、大変興味深い内容となっている。  そのため、この自由記述については、集計結果とは別に検討委員会において項目整理を行い、主だった自由記述を掲載することにした。 1.ニーズの把握について (1)視覚障害者が居住していない ・視覚障害者がいないため、サービスを実施していないが、意思疎通支援事業を必要とする者があれば、代筆・代読による支援を行う予定である。【沖縄県/村】 (2)利用者からのニーズがない ・本市では、視覚障害者の当事者団体から、代筆・代読支援を意思疎通支援事業として実施してほしいといった要望を聞いていない。【大阪府/市】 (3)ニーズの把握ができていない ・地域でのニーズ把握ができていないので、必要かどうか分からない。【長野県/町】 ・代筆・代読支援に対するニーズが具体的にどの程度あるのかが分からない。ニーズについての具体的なデータや、ニーズを把握するための有効な手法があればご教示をお願いしたい。【茨城県/市】 ・高齢者が多く、代筆・代読の支援がない状態での生活に慣れてしまい、不自由と感じつつもニーズとして表面化していない。【青森県/町】 ・視覚障害者は情報を得る機会が少ないため、なかなか声をあげられないという現状があります。【沖縄県/町】 2.視覚障害者への代筆・代読支援の現状 (1)家族〜知り合いが対応 ・当事者が自分の個人情報が漏れることなどを懸念し、旧知の仲の者に支援を任せていることが多く、事業として立ち上げるニーズがないのが現状である。【福岡県/町】 (2)自治体側の職員などが対応 ・現状として、視覚障害者に対する代筆・代読支援の在り方や技法について明確ではなく、各窓口での手続きの際は担当職員により実施されている。【北海道/市】 ・行政での手続きでは、口頭で説明をしている。署名などについては、自筆か代筆かを確認し、代筆を希望した時は、担当が記入する旨を了承いただき対応している。【福島県/町】 (3)他の福祉サービス(同行援護、居宅介護)での対応 ・同行援護の事業所は寛容に対応している。また、ある事業所(ヘルパー事業所)に聞いたところ、規則などの定めはなく、視覚障害者への必要な支援として対応している様子である。【大分県/市】 ・視覚障害者の代筆・代読支援については同行援護においても、居宅介護においても、日常的に行われている支援だと考えている。【千葉県/市】 ・意思疎通支援事業としての実績はないが、居宅介護や移動支援などのサービスの中で必要な方に対して代筆・代読を行っている。【北海道/町】 ・市としては同行援護以外での代筆・代読は、介護保険の訪問介護などと同様の取り扱いとしているが、実際には一連の支援の中で代筆・代読にあたる支援が必要に応じて行われている状況である。【富山県/市】 (4)その他 ・相談支援専門員、ヘルパー、社協職員などが、それぞれのサービス・支援の一環として代筆・代読を行っているようです。【福島県/町】 ・村内に視覚障害者が少なく、代筆・代読支援が必要な場合でも、地域のつながりの強さから、ボランティアで対応を行っている。【沖縄県/村】 3.視覚障害者への代筆・代読支援の問題点 (1)個人情報の守秘義務 ・支援者は代筆には抵抗があるようです。支援者側と本人の理解に違いがあったことから、支援者が善意で行ったことがトラブルになったケースもありました。相互の信頼関係、責任が発生するのかなど、不明瞭な状況下の実施は支援側の負担になります。【福島県/町】 ・必要に応じて、代筆・代読支援を行っている事業所が多いようだが、中にはトラブルになったことから、代筆は相談員のみが行っているというケースや、事前に同意書を記入した利用者のみ対応しているといったケースもあった。【佐賀県/市】 (2)支援の質 ・ヘルパーの質の向上が必要。漢字が読めない、文字を読みたがらない、自己判断で全部を読まないなどのクレームがあった。【沖縄県/市】 (3)公的な福祉サービスでは対応できない支援 @意思の表明(入院など) ・入院時の同意書や契約書の署名など、意思決定を伴う事項の代筆については支援が困難。【山口県/市】 ・代筆については自署に限るなど認められていない場合もあり、すべての書類について対応できるものではないため、一律に実施することは困難な面もある。【岐阜県/市】 A契約(銀行など) ・同行援護の中で代筆・代読支援を行う時、事業所から「金融機関での現金の出し入れなど、利用者の財産に関する代筆をしてもよいのか」という問い合わせがあった。同行援護では、外出時の移動に必要な代筆・代読は可能ですが、この問い合わせは、目的を明確にせず金融機関に行くことを依頼され、支援ができない自署を求められて困った例であった。他市町は、どういう対応をとられているのか教えてほしいです。【兵庫県/町】 4.実施をする上での明確な支援体制の確立 (1)法整備〜支援体制の確立 ・支援を実施する事業所の確保と具体的な制度概要についての国からの明示が、支援事業の開始に必要と思われる。【茨城県/市】 ・支援をしっかり行っていくには、法の整備により支援体制を確立していく必要があると思います。【愛知県/市】 ・健常者と同様に情報を取得でき、社会参加に結びつくよう、支援制度や法が確立されることを期待します。【岡山県/市】 ・支援の性質上、その時その時に必要・発生するものなので、手話通訳や要約筆記派遣のような単独派遣支援にはなりにくいと思う。【岡山県/市】 ・地域性によりニーズが異なるとは考えにくく、個別給付にて対応すべき。【大阪府/市】 (2)財政面の措置 ・市町村間での格差が生じないよう、国の財政面・体制面での支援をお願いしたい。【宮崎県/市】 ・現状、意思疎通支援事業に係る財源は大変限られており、例年様々な調整を行い、必要な財源を確保し、事業を実施している状況である。そのような状況下において、視覚障害者への代筆・代読支援に関する事業を今後どのように取り扱っていくかという問題については、その他の福祉サービスとのバランスも鑑みつつ検討を進めていく必要がある。【政令指定都市】 (3)他の公的な福祉サービスとの差別化 ・同行援護において代筆・代読の支援が行われている場合、地域生活支援事業で同じような支援を行う事業をすることは難しく感じます。意思疎通支援事業で実施するには、「障害福祉サービスにはないが必要な支援である」ことを明確にする必要があると思います。【香川県/町】 ・代筆・代読については、居宅介護にあっては家事援助、外出時には同行援護で対応するものと認識している。意思疎通支援事業での対応については、まずは制度的な整理を行うことが必要で、普及についてはその後の課題であると考える。【神奈川県/市】 ・公的な福祉サービスの一つとして認められている以上、支援内容が重複するため、事業としての実施は考えにくい。【宮崎県/市】 (4)先進的な取り組み事例を参考にする ・全国において、先進的な取り組み事例があれば参考にさせていただきたい。【政令指定都市】 ・ニーズについての具体的なデータや、ニーズを把握するための有効な手法があればご教示をお願いしたいと考える。市町村事業として実施している事例についての情報があれば、ご教示をお願いしたい。【茨城県/市】 (5)その他 ・通訳・介助員が代筆するかどうかは個人の判断に委ねざるを得ない部分もあるが、契約書や手術の同意書などへの署名を行った場合、トラブルが起きてしまうとその責任を問われることになりかねないので、法整備の対応が必要ではないか。【政令指定都市】 5.支援者の確保や養成方法(カリキュラム)の確立 (1)確保の必要性(支援者不足、同行援護の活用) ・ヘルパーや事業所が慢性的に不足しており、サービスの提供体制にも課題がある。【鹿児島県/市】 ・視覚障害者の代筆・代読支援については、同行援護においても、居宅介護においても、日常的に行われている支援だと考えている。従って、代筆・代読に特化せず、まずは支援者の確保が大切なのかなと感じる。【福井県/市】 (2)養成方法(カリキュラム) ・同行援護の事業所やヘルパーの数は限られており、一定の数を確保するため、県下統一のカリキュラム作成などの取り組みも必要だと思います。【香川県/町】 (3)地域の問題 ・小規模自治体単独での養成講座開催は難しいので、近隣自治体との共同開催を考えています。【埼玉県/村】 ・市町村単位でなく、郡単位などでニーズに応えるための支援者の養成が必要だと思う。【千葉県/町】 6.周知の必要性 ・視覚障害者が不便に感じることなどを一般の方に広く知ってもらう必要があると思う(マスメディアなどを通じて支援を呼びかけるなど)。【山口県/町】 ・障害の特性に応じたコミュニケーション促進条例(仮)の検討を進めており、今後制定後には市民(事業者)へも代筆や代読も含むその人の状況や求めにあったサポートへの理解を進める予定である。【京都府/市】 7.先駆的な取り組み(意思疎通支援事業以外の試み) ・点訳奉仕員が代筆・代読も担えるよう、養成講座カリキュラムに組み込んでいる。【石川県/市】 ・移動支援事業内で視覚障害者(児)のコミュニケーションのための代筆・代読などに係る支援を実施している。【特別区(東京23区)】 57ページ 第5章 分析(1) 視覚障害当事者調査 注意 本章に掲載をした一部の図やグラフ資料は、テキスト版では割愛する。 58ページ 1 回答者について 1.居住地域  本調査は、全国の750名の視覚障害者を対象に調査を行い、479名より回答があり、回収率は63.8%であった。  回答者の居住地域は「市(62.8%)」、「政令指定都市(26.9%)」が多く、「町(3.8%)」と「村(0.2%)」、そして「特別区(0.8%)」からは回答が少なかった。  まず、視覚障害当事者調査は、全国の都道府県や政令指定都市に点在する視覚障害当事者団体などに依頼し、その団体から会員に調査票を配布した。そのため、市や政令指定都市に住んでいる視覚障害者を中心に配布された傾向が見られる。ただし、地域での視覚障害者のニーズや利用状況を知る上では、全国各地から回答が寄せられており、全国の平均像が読み取れる回答が得られたと考える。  しかし、回答が少なかった町や村、特別区については、それぞれの地域特性があるため、アンケート調査以外の方法で実態を掴む必要がある。 2.視覚障害の内訳  回答者は、「全盲(64.3%)」、「弱視者(33.6%)」となり、視覚障害の割合からすると、全盲からの回答が多くなっている。これは、明らかに代筆・代読支援を必要とする者が回答者の中心となったことが理由と思われる。しかし、代筆・代読支援を必要とする視覚障害者は「重度の視覚障害」が中心であることを考えると、この全盲と弱視の回答の比率は、代筆・代読支援を必要とする視覚障害者の実態に近い内容を示しているとも考えられる。  なお、本章の分析においては、全盲と弱視では、ニーズや行動様式が異なることから、全体に加え、全盲と弱視の集計結果を踏まえながら分析を行う。  また、少数ではあったが「盲ろう者(5名、1.0%)」からも回答があった。盲ろう者については、別途、77ページで調査結果の紹介を行う。 3.年齢  全体では「60代(37.0%)」、「70代以上(29.0%)」、「50代(20.5%)」が多く、60代以上の視覚障害者だけで約66%を占めている。視覚障害者の年齢構成としては全国平均に近いと言える。なお、60代を基準とすると、全盲の場合は60代より上の回答が多くなり、弱視は下の回答が増えており、全盲と弱視の特徴が表れた回答結果となっている。  また、視覚障害者向けの調査においては、50代以下の若年層の回答が集まりづらい傾向があり、本調査でも同様の傾向がみられた。これらの層は就業・就学に係わる層になり、代筆・代読支援が必要と思われる層でもある。これらの層は公的な福祉サービスの対象外とされているが、そのニーズや現状については改めて調べる必要がある。 4.性別  全体では「男性(58.5%)」、「女性(40.7%)」となり、男性の方が多い結果となった。また、全盲と弱視とでは、全盲の方が男性率が高くなり、弱視の場合は男性率が低くなる結果だった。  男女比については、概ね平均の範囲と言える。男性が多かった理由は、次ページで紹介する「5.職業」において「あはき」に関する従事者が多かったことが理由の一つとして考えられる。 5.職業  全体では「自営業(33.0%)」、「無職(25.3%)」が多く、その次に「会社員(13.2%)」、「主婦・主夫(12.3%)」となっていた。  まず、今回の調査では「あはき業の従事者」からの回答が目立っている。前述した自営業で約3割、そして自営業ではない形態のあはき業(治療院に勤務など)に就く者の一部は「その他(12.3%)」に回答する者もおり、やはり「あはき」からの回答が目立った結果になっている。この背景には、あはき業において、施術者が患者に代わって療養費の支給申請を行う「受領委任制度」がアンケート開始前後で導入されたことの影響が考えられる。同制度では、施術者に求められる提出書類が多く、あはき業を営む視覚障害者は、その提出書類の代筆・代読支援を求めており、今回の調査に協力的になったと推測される。  職務上の代筆・代読支援は公的な福祉サービスに該当しないとされているが、この結果は、視覚障害者が様々なニーズをもとに代筆・代読支援の充実を求めている結果とも言える。 6.家族構成  全体では、「配偶者(54.3%)」、「独居(25.7%)」、「子供(22.1%)」、「親(14.0%)」の順になっていた。この結果に従うと、おおよそで「家族と同居:7割」「独居:3割」の割合で回答があったことが分かる。  同居する家族の存在は、視覚障害者の日常生活にとって大きな存在だと言われている。例えば、外出の支援であれば、家族がいれば外出の際の同行をお願いがすることできるが、独居の場合はそのお願いを必然的に外部の支援者にお願いするしかない。そのため、全盲と弱視との間でニーズや行動様式が異なることと同様に、同居と独居のニーズや行動様式は違う可能性があり、この違いについても調査すべき項目となっている。  しかし、本年度の調査では、同居と独居の違いを深く追及することを避けた。理由は、家族構成の違いによる差異や、それらを単純に平均するだけの比較が難しい可能性があるからである。また、代筆・代読支援については、家族がいれば公的な支援が必要ないと誤って考えられている部分もあり、慎重に調査・分析を行わなくてはならない。いずれにせよ、同居と独居によるニーズなどの違いは継続して調査する必要がある。 7.利用をしている公的な福祉サービス  全体では、「日常生活用具の給付(84.1%)」、「同行援護(74.7%)」、「補装具費の支給(62.8%)」の順となり、公的な福祉サービスを日常的に利用している視覚障害者が多いことが分かる。代筆・代読支援に関連する部分では、「居宅介護(31.3%)」と「意思疎通支援事業(7.1%)」となっている。  なお、全盲と弱視においては、同行援護と居宅介護で差が出ており、弱視の利用率は極端に下がっている。同行援護においては全盲は87.0%、弱視は52.2%となっている。弱視においては、自分の目で見えている間は、支援者を必要とする公的な福祉サービスに頼りづらい部分を反映しているのかもしれない。  また、「公的な福祉サービスを利用したことがない」と回答した者は全体で3.5%、弱視では8.1%であった。今回の調査では、多くの重度の視覚障害者から回答を得ているが、3.5%の視覚障害者が「公的な支援を利用したことがない」という事実は見逃すことができない。 8.読むことについて  読むことについては、全盲と弱視で用いる方法が異なっているものの、「自分以外の人に読んでもらった」は37.4%であった。そのため、読むことでは「(何らかの方法で)一般的な文字を自分で読むことができる:6割」「自分では読むことができない:4割」という調査結果になっている。  ただし、本調査では代筆・代読支援を必要とする重度の視覚障害者が中心であったことから、注意すべき点もある。まず、点字で確認した者は、他調査と比べると多いように思える。回答の提出方法においても、点字で回答した者は29.9%になり、点字の利用者からの回答は非常に多かった。また、弱視においては、「パソコンの音声読み上げ(14.3%)」は全盲と変わらず、「点字で確認(7.5%)」した弱視が存在するなど、弱視でも重度の視覚障害者が多かったことが伺える。  点字の利用、弱視者の読み方など、視覚障害者の多様な生活スタイルによるニーズの違いについては、更なる整理が必要と思われる。 9.書くことについて  書くことについては、より調査結果を明確にする目的で、設問の時点で「自分で記入」「自分以外の人に記入」とした。  その結果、全体では「自分で記入(55.7%)」、「自分以外の人に記入(43.6%)」となった。なお、全盲と弱視との差は確認できなかった。  前ページでは、読むことにおいて「自分でできる/できない」の比率は6:4としたが、書くことについては5.5:4.5となり、読むことと同様に、約4割程度の視覚障害者が他の者の支援が必要であることが分かった。  ただし、本調査においては、点字版やテキスト版など、視覚障害者が確認できる調査票を用意した上で調査を実施している。そのため、一般的な文字を読むこと・書くことはできないが、点字やテキストであれば読み書きができる者も回答者として含まれており、自分で「読み書きができる」の回答率は高かったと思われる。この点を踏まえると、上記の結果においては、最低でも約4割の視覚障害者が「一般的な文字の読み書きは、自分では対応できない」と考えるべきである。 67ページ 2 読み書き(代筆・代読)について 1.読み書きの状況  まず、回答者には読み書きに困っているかどうかを尋ねてみたところ、全体で86.4%が「困っている」と回答した。全盲では90.3%と高くなり、弱視では80.7%と低くなる。代筆・代読支援が必要とする重度の視覚障害者が中心となった調査において、86.4%の視覚障害者が読み書きに困っていることが判明したことは価値がある。  ただし、一定数は「困っていない」と回答した者もおり、全体では12.5%となっていた。この回答者をクロス集計で分析をすると、74ページで示した「家族などからの支援がある」ことを理由に挙げている者が多かった。 2.読み書きを支援する公的な福祉サービスの認知度  本報告書の12ページでは、公的な福祉サービスにおいて、視覚障害者向けの代筆・代読支援として@同行援護、A居宅介護、B意思疎通支援事業「代筆・代読支援」があることを整理した。  その上で、これらの@ABを含めた公的な福祉サービスで、視覚障害者の代筆・代読支援があることを知っているかを尋ねたところ、25.9%の視覚障害者が「知らない」と回答をしている。この結果は、弱視では32.9%、全盲では21.1%と上下があるものの、代筆・代読支援を必要とする視覚障害者の中で、この結果は注目すべきものとなっている。  そして、この結果を分析すると、視覚障害当事者には以下の背景があると考えられる。 A 同行援護や居宅介護を利用しているが、代筆・代読支援をしてくれることを知らない、または支援を受けたことがない。 B そもそも公的な福祉サービスで、代筆・代読支援があることを知らない。  いずれにせよ、情報障害である視覚障害者に、これらの支援に関する情報が行き渡らなかったことは問題である。 3.読み書きを支援する公的な福祉サービスの利用状況  この設問は、前ページの「公的な福祉サービスがあることを知っている視覚障害者(348名)」を対象に、読み書きを支援する公的な福祉サービスを使ったことがあるかどうかを尋ねた。その結果、68.7%の者が「使ったことがある」という回答であった。この結果については、全盲と弱視との差が大きく、全盲が78.7%、弱視が46.2%となっていた。  公的な福祉サービスで代筆・代読支援があることを知っているにもかかわらず、実際に利用したことがある者は7割以下にとどまっている。この背景には何があるのだろうか。  弱視については、まだ見えるので支援が不要だったり、支援を受けることに遠慮があったりするのだろうか。全盲については、家族の支援があるからだろうか。更に、支援の質の低さや提供時間が短いなど、利用者にとって満足な支援が受けられないため、利用していないのだろうか。この背景については、更なる調査が必要になる。  なお、サービスがあることを知っているが利用していない理由については、74ページにおいて詳細を分析する。 70ページ 3 代筆・代読支援を受けている視覚障害者 1.読み書きの支援の担い手  この設問は、前ページの「公的な福祉サービスを利用したことがある者(239名)」に対して、実際にどのサービスを利用したかどうかを尋ねた。その結果、「同行援護(86.8%)」、「居宅介護(43.5%)」、「意思疎通支援事業(7.5%)」の順であった。  まず、既存の福祉サービスである同行援護と居宅介護については、10ページで確認した過去の調査結果とほぼ同じ結果であった。この結果により、視覚障害者の中では、同行援護で代筆・代読の支援を受けている傾向が強いことが示された。  なお、意思疎通支援事業の回答(7.5%)については、疑問が残る部分がある。設問の時点では項目に「(代筆・代読支援者)」と記載をしたが、全ての者が代筆・代読支援を利用したかどうかは断定できない部分がある。意思疎通支援事業は他の事業が含まれていること、視覚障害者の中であまり知られてなかったこと、更に82ページの自治体での実施率の低さを踏まえると、誤って回答をした可能性があることは否定できない。 2.読み書きの支援で困ったり不安になったこと  実際に代筆・代読の支援を受けている者には、支援を受けていて困ったことや不安になったことはないかを尋ねた。つまり、現在活用されている支援である同行援護と居宅介護での代筆・代読支援に関する満足度を尋ねる内容となっている。  その結果、49.0%の者が「困ったことがある、不安になったことがある」と回答しており、支援を受けている半分の人が困った経験があることが分かった。なお、弱視と全盲との比較では、弱視は「困っている」が少し低くなっていた。  この「困ったことがある、不安になったことがある」と回答した者に、その理由を尋ねたところ、「支援を受けられない内容がある(45.3%)」、「誤った記入や読み上げがあった(45.3%)」「支援を受けられる時間が短い(30.8%)」が多く、全般的に「制度面の問題」「支援の質の問題」を挙げる者が多かった。また、「個人情報の漏洩があった」は15.4%になっており、結果の見方によっては、7人のうち1人は情報漏洩を経験したことがあるという、恐ろしい状況になっている。  つまり、現状の支援では、視覚障害者が支援を必要とする時に、安心・安全に支援を受けることができない状況になっている。 3.読み書きの支援を断られたこと  代筆・代読の支援を受けている者には、支援自体を断られたことがあるかどうかも尋ねた。  結果、全体で24.7%の人が「断られたことがある」と回答をした。断られた理由を分析すると、「公的な福祉サービスでは対応できない支援(30.5%)」や、「支援者では対応できない難解な内容(39.0%)」などが挙げられた。一方で、「理由を教えてくれなかった(8.5%)」や、自由記述では「眼鏡を忘れたから代筆ができない」と言われ断られたなど、支援者側の無理解ともとれる理由で断れられたケースも確認できた。  これらの結果を踏まえ、検討委員会からは公的な福祉サービスで代筆・代読支援を行うためには「できない支援」の線引きが必要で、更にその「できない支援」の引継ぎ方が重要と指摘があった。つまり、線引きの整理をすることで、支援者は利用者に対して的確な支援が行えるようになり、利用者の安心度も高くなると思われる。公的な福祉サービスで代筆・代読支援を実施するにあたっては、公的な支援を超えた、代筆・代読支援に係わる様々な周辺課題も整理する必要がある。 73ページ 4 代筆・代読支援を受けていない視覚障害者 1.読み書きの支援を受けていない者のニーズ  68ページで代筆・代読の公的な福祉サービスがあることを「知らない」と答えた124名に対して、代筆・代読支援を受けたいかと尋ねたところ、全体で66.9%の者が「支援を受けたい」と回答した。これにより、代筆・代読の支援を受けたことがない者でも、ニーズがあることが分かった。  なお、本調査の自由記述では、「視覚障害者に対する代筆・代読の支援」自体があることを知らず、今回のアンケート調査で初めてその存在を知ったという者もいた。また、検討委員会では、同じ地域に住む視覚障害者でも、代筆・代読支援を利用している者もいれば、その支援があることを知らなかった者もいることが指摘された。  視覚障害者は情報障害とも言われ、特に福祉に関する情報はなかなか伝わりづらいとされている。つまり、視覚障害者に対しての情報の周知にも課題があると言え、代筆・代読支援の普及においては留意しなくてはならない。 2.読み書きの支援を利用しない理由  そして、公的な福祉サービスを利用したことがない者(106名)、利用したいと思わない者(27名)に対しては、代筆・代読支援を利用をしない理由を尋ねた。  その結果、68.4%は「家族や知人などにお願いできるから」と回答をした。この結果は注意が必要である。  まず、検討委員会において、代筆・代読支援の現状の整理を行った際、家族や友人からの支援には様々な問題や制約があることが指摘された。例えば、個人情報や資産に関する情報はなかなか家族や友人に見せることはできない、家族が仕事などで外出している際は支援が受けられずに困っているという意見があった。また、公的な福祉サービスにおいては、家族からの支援があることを理由に、公的な福祉サービスの給付を与えないという誤った判断を下す自治体もあることが指摘された。  家族などから代筆・代読の支援を受けている視覚障害者は、はたしてこの現状に満足してよいのだろうか。家族などがいなくなった場合のことを考えたことがあるのだろうか。公的な福祉サービスとして代筆・代読支援を考えた場合、このような視覚障害者にもサービスが届くようにすることが求められる。 75ページ 5 自由記述からみる代筆・代読支援  本調査では、代筆・代読支援の普及を熱望する視覚障害者からの回答が多かったことから、調査票の自由記述に様々な意見が寄せられていた。意見の多くは、厳しい現実を訴える内容や支援の拡充を求める要望など、多岐に渡っている。  寄せられた意見は30〜37ページに整理した内容を掲載したが、ここでは、その整理した内容から読み取れた要点をまとめてみたい。特に、アンケートの集計結果では読み取れなかった内容は、ここで分析を行った。 1.代筆・代読支援に対する思い  支援を受けたことで日常生活が豊かになったという意見があった。また、制度や支援の質の拡充を求める声の背景には、どの視覚障害者も代筆・代読支援が必要と考え、更なる拡充を求めていることが分かった。  一方で、少数意見だが「支援を依頼することを遠慮してしまう」との意見もあった。遠慮せずに支援がお願いできる状況になることが理想のゴールとも言える。 2.代筆・代読支援への不満  この点は、非常に多くの者から意見があり、現状の支援に対する不満の意見が多かった。具体的な内容では、支援の質の問題、個人情報の取り扱い、支援ができない条件など、視覚障害当事者のニーズに見合わない状況を不満と思う意見が多かった。意見の中には、想像以上の誤った支援が実施されていること、支援者や自治体の無理解による対応なども確認でき、アンケート調査だけでは掴めなかった背景も確認することができた。  今後、代筆・代読支援を具体的に進める過程では、現実に起こっている問題を深く追求し、問題解決も同時に進める必要がある。 3.代筆・代読支援に対する要望  回答者の多くは代筆・代読支援が必要と感じていることから、支援の拡充に向けた要望が多く寄せられていた。制度面の要望では公的な福祉サービスでの充実を求め、支援の質に関する要望では支援者の資質の向上を求める意見が多った。また、視覚障害者のニーズに即して、支援自体の幅を広げて欲しいとの要望もあった。現状の支援では満足できない状況がこれらの要望につながっていることが読み取れる。 4.弱視者と代筆・代読支援  本調査において、注目していたことの一つに「弱視者がどれほど代筆・代読支援を求めているか」があった。検討委員会での意見では、弱視者も代筆・代読支援を求めているとの意見があり、この点を踏まえてアンケート調査を実施した。その結果、自由記述で様々な意見が寄せられ、アンケートの集計結果では確認できなかった現状や要望が確認できた。例えば、弱視者においては「今後の自分の視力や視野の悪化を考えると、今は必要がないが今後は必要になるかもしれない」との意見があった。つまり、代筆・代読支援が全盲・弱視に関係なく必要とされていることが分かった。 5.代筆・代読支援を初めて知った  同行援護や居宅介護などでの支援を含め、視覚障害当事者が公的な福祉サービスで代筆・代読支援があることを知らない場合があることは、検討委員会での指摘で確認していた。そして、実際、自由記述においても「知らなかった」との意見が寄せられ、視覚障害者に対する情報の周知の難しさを改めて痛感した結果だった。  ただし、寄せられた意見は、好意的に捉えられる意見もあり、「視覚障害者自身がもっと制度のことを勉強する必要がある」との意見も寄せられていた。 6.公的な福祉サービス以外の現状やニーズ  自由記述では、本調査では対象外とした契約の自署などの代筆・代読支援に関する様々な意見が寄せられていた。主に金融機関・病院などに関する内容で、切実な内容も多かった。  この公的な福祉サービスを超えた代筆・代読支援については、どのような対応が必要なのだろうか。  この課題に対して、検討委員会では、その事業者が合理的配慮のもとで行うものとの指摘があった。また、事業者側で支援を行うためには、代筆・代読支援の線引きが必要で、その線引きに応じて事業者が対応すべきとの意見もあった。  いずれにせよ、公的な福祉サービスでの支援と係わる部分だけに、民間レベルでの代筆・代読支援の拡充を期待したい。 77ページ 6 参考 盲ろう者と代筆・代読支援  本調査では、盲ろう者からの回答が5名(1・0%)寄せられた。  この盲ろう者の調査結果は、回答数が少数であったこと、盲ろう者の詳細な障害状況を確認しなかったため正しい分析ができないことを理由に、詳細な分析は避けることにした。そのため、参考資料として、その調査結果の一部を紹介する。 1.読み書きの現状  まず、読み書きに困っているかどうかを尋ねたところ、3名が「困っている」、2名が「困っていない」と回答をした。また、読み書きに対する公的な支援があることを知っているかどうかを尋ねたところ、2名が「知っている」、3名が「知らない」と回答をした。視覚障害単体では、86.4%の者は読み書きに困っていて、72.7%の者は公的な支援があることを知っている。この結果を盲ろう者と比べると、盲ろうは40〜60%になり、視覚障害単体よりも低い数字だった。 2.代筆・代読の支援を受けている者  公的な支援があることを知っている2名は、実際の支援も受けていたが、同行援護の支援は受けているものの、意思疎通支援事業の支援は受けてなかった。意思疎通支援事業には手話通訳者の派遣などがサービスとして提供されているが、このサービスを利用していないことになる。回答者が視覚障害寄りの盲ろう者である可能性が高い。また、支援を受けている2名に、現状の支援に不満や不安があるかを尋ねたところ、1名は「不満」、1名は「不満ではない」との回答だった。 3.代筆・代読の支援を受けていない者  代筆・代読の支援があることを知らなかった3名に対して、支援を受けたいかどうかを尋ねたところ、2名は「受けたい」、1名は「受けたくない」と回答をした。視覚障害単体でも66.9%の者は支援を受けたいとしていることから、ほぼ同じ結果となっている。なお、受けたくないと回答した1名は、家族からの支援があることをその理由としている。 79ページ 第6章 分析(2) 自治体調査 注意 本章に掲載をした一部の図やグラフ資料は、テキスト版では割愛する。 80ページ 1 回答自治体について  本調査では特別区(東京23区)を含む、全国の市区町村1,747団体に調査を依頼し、1,134件(64.9%)の回答を得た。回答に関しては、地域により回答率の上下はあるものの、各地域より一律に回答が得られた。市区町村別の内訳では、「政令指定都市(85.0%)」、「市(73.8%)」、「特別区(65.2%)」、「町(60.7%)」、「村(45.0%)」の順になっていた。村の回答率が低い点は、自由記述において「村内に視覚障害者はいない」といった回答があることから、視覚障害者が少ない(住んでいない)村は回答を行わなかった可能性がある。  また、身体障害者・視覚障害者の住民の割合は、全体平均にすると多少のズレはあるものの、全国平均に近い数字になっている。  これらの結果を踏まえると、本調査が、全国の自治体から障害者向けの公的な福祉サービスの実態を図る上で、信頼できる調査になったと言える。 81ページ 2 意思疎通支援事業の実施状況 1.意思疎通支援事業の実施率  意思疎通支援事業は、12ページで整理したとおり、手話通訳者や要約筆記者の派遣などを行う事業として、自治体の公的な福祉サービスの一つとして認知されている。しかし、この意思疎通支援事業自体は地域生活支援事業の枠組みに入ることから、実施については自治体の判断に委ねられている。そのため、自治体は、地域に住む障害者からのニーズなどに応じて意思疎通支援事業を実施している。  これらの背景を踏まえ、実際の意思疎通支援事業の実施率を尋ねたところ、全体では88.5%という高い実施率であった。ただし、特別区、政令指定都市、市、町はこの平均に近い値の実施率だったものの、村に関しては48.2%と低い値になっている。前ページで示したとおり、村レベルでは障害者の数がそもそも少なく、事業を実施していないことの表れだと考えられる。 2.意思疎通支援事業の実施内容  意思疎通支援事業を「実施している」と回答した1,004の自治体には、実施しているサービスの内容を尋ねた。その結果、「代筆・代読による支援」の実施率は1.4%、全国で14の自治体のみが「実施している」と回答をした。全国の自治体数(1,747)で実施率を計算すると0.8%になり、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の実施が、改めて低調であることが浮き彫りになった。  一方で、「手話通訳者の派遣・設置」は全体平均で86.3%、「要約筆記者の派遣・設置」は全体平均では55.0%の実施率であった。聴覚障害者向けのサービスの実施率がここまで高いことを考えると、代筆・代読支援を含む視覚障害者向けの意思疎通支援事業の実施率はなぜ低調なのだろうか。検討委員会では、聴覚障害者は、地域の当事者団体を中心に、これらの支援の実施に向けて要望活動を行っていたとの指摘があった。この限りでは、視覚障害者の声が自治体に届いていないのか、それとも、自治体が視覚障害者の声を把握できていないのか、または、視覚障害者自身が声を出していなかったのか。実態は分からない。  いずれにせよ、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の実施率は、もっと全国で上げていかなければならない。 3.意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の実施自治体の詳細 【6−5 意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の実施自治体の詳細】(人口規模、住民に占める視覚障害者の割合(%)の順に掲載) 01 岩手県 A市 1万人〜10万人 0.3 02 宮城県 B市 1万人〜10万人 不明 03 茨城県 C市 10万人〜50万人 0.2 04 千葉県 D市 10万人〜50万人 0.2 05 東京都 E区 50万人〜100万人 0.2 06 東京都 F区 10万人〜50万人 0.2 07 東京都 G区 1万人〜10万人 0.1 08 長野県 H市 10万人〜50万人 0.2 09 長野県 I町 1人〜1万人 0.3 10 和歌山県 J市 1万人〜10万人 0.3 11 和歌山県 K市 10万人〜50万人 0.3 12 島根県 L市 10万人〜50万人 0.3 13 徳島県 M市 1万人〜10万人 0.3 14 徳島県 N町 1人〜1万人 0.4 (※お断り)実施自治体の自治体名については、回答者名を公開することを前提としたアンケート調査ではないため、公表を差し控えることにした。  意思疎通支援事業として「代筆・代読支援」を行っている14の自治体の詳細を確認すると、様々な規模の自治体であることが分かった。特別区は3区、市は9市、町は2町になり、それぞれの人口規模や視覚障害者の数、そして地域性も異なっている。これらの自治体は、福祉サービスが比較的充実しているとされている都市部に偏ってはおらず、人口規模1万人以下の町レベルでも実施をしていることは注目をしたい。  なぜ、これらの自治体が意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を実施しているのだろうか。理由の一つは、この意思疎通支援事業が「地域生活支援事業」になり、自治体の独自の判断で実施ができる点が大きいのではないか。地域の視覚障害者からの要望があり、その要望を元に実施をした可能性はある。  なお、今回の調査では、代筆・代読支援における受給者証の発行数や年間利用者数なども尋ねたが、明確な回答が得られず、どのような内容でサービスを実施しているかが不透明になっている。未実施の自治体に効果的な支援体制を提案するためにも、実施自治体の提供体制などを更に解明する必要がある。 4.代筆・代読支援者の養成  今回、代筆・代読支援の実施状況の確認と共に、支援者の養成についても自治体に尋ねた。  意思疎通支援事業における代筆・代読支援の支援者(奉仕員)の養成は市町村の任意事業になり、必須事業でないものの、各自治体で独自に養成ができるとされている。  調査の結果は、全体平均では、代筆・代読支援の実施率と同程度の1.7%となり、養成についても低調な状況が確認できた。代筆・代読支援の実施率1.4%より僅かに割合が高いのは、他の公的な福祉サービス(同行援護、居宅介護など)に向けた、独自の支援員の養成を行っている自治体(55ページ、自由意見)があることが理由の一つと思われる。  なお、代筆・代読支援を実施している14の自治体に限って養成の実施率を確認すると、35.7%(5自治体)であった。こちらも、自治体の独自の判断で養成を行っているものと考えられるが、実施理由などはアンケート調査では掴めなかったため、更なる調査が必要になる。  自治体が公的な福祉サービスを実施するかどうかの判断においては、そのサービスを利用者に提供する「支援者の確保」が重要とされ、支援者の養成も併せて準備することが重要とされている。そのため、代筆・代読支援についても、支援を広めるためには支援者の養成が必要という声も多く聞かれる。  一方で、代筆・代読支援の支援者の養成が、地域生活支援事業における自治体の任意事業である限り、自治体に対して強制力を生まず、地域での支援が進まないとの意見もある。  今後、意思疎通支援事業において、代筆・代読支援を広めるためには、支援員の養成も念頭に置く必要がある。そのためには、養成を行うための統一カリキュラムの作成などを行い、更に、自治体での実施を促すため、支援者の養成自体を任意事業から必須事業に格上げさせることが求められる。 85ページ 3 他の公的な福祉サービスでの代筆・代読支援 1.同行援護での代筆・代読支援  視覚障害者向けの代筆・代読支援は、障害福祉サービスにおける「同行援護」と「居宅介護」でも実施されている。そして、当事者調査においては、これらのサービスを利用して代筆・代読の支援を受けている者が多いことが判明している。  そこで、自治体に対しては、これらのサービスで実際に代筆・代読支援が行われているかどうかを尋ねることにした。  まず、同行援護で代筆・代読支援を行っているかどうかについては、全体平均では「実施している」が44.8%であった。ただし、「実施している」を市区町村別で分析をすると、大きな開きがあることが分かった。上記表でAと示した特別区・政令指定都市・市は全体平均より高くなるが、Bと示した町・村は平均を大幅に下回っている。また、町・村は「実施していない」「分からない」の回答が多くなっている。  この限りでは、町や村は視覚障害者が少ないことから、同行援護のサービス自体が実施されていないとも読み取れるが、AとBの差異にはもっと深い背景があることが分かった。 2.居宅介護での代筆・代読支援  前ページでは、同行援護での代筆・代読支援の実施状況を尋ねた結果を示したが、居宅介護でも同内容を尋ねている。  その結果、同行援護と同じ傾向がみられ、特別区・政令指定都市・市と町・村での差異が確認できた。更に、同行援護と比べると、全体的に「実施している」の割合が落ちており、全体平均では38.7%(同行援護は44.8%)となっている。この点は、視覚障害者の代筆・代読支援が居宅介護より同行援護での実施率が高いことを踏まえると、あながち間違ってはいない。  ただし、ここで指摘をしたいのは、自治体担当者の「サービスに対する理解度」に差があることである。  検討委員会からは、同行援護は外出時の支援、居宅介護は居宅の中の支援というイメージがあり、これらのサービスで代筆・代読支援が実施可能ということがあまり認識されていないとの指摘があった。特に、町や村は視覚障害者が少ないため、そのサービスの利用度合いが少ないからか、この結果になった可能性が高い。  今回の結果から、自治体担当者の理解度に問題があるとは言い切れないが、この結果を踏まえると、自治体に視覚障害者のニーズが届かない一端を感じてしまう。 3.その他の公的な福祉サービスでの代筆・代読支援  公的な福祉サービスで行われる視覚障害者向けの代筆・代読支援は、@同行援護、A居宅介護、B意思疎通支援事業の3つだけだろうか。実は他の公的な福祉サービスでの実施も行われている。  検討委員会では、様々な形態で視覚障害者への代筆・代読支援が行われていることが指摘された。例えば、移動支援事業として視覚障害者向けの代筆・代読支援を実施している自治体(東京都/区)や、入院時の意思疎通支援として代筆・代読者を派遣する自治体(京都府/市)がある。つまり、上記@AB以外の方法でも、自治体の独自の判断で視覚障害者への代筆・代読支援を行うことは可能となっている。  この背景を踏まえ、その他の公的な福祉サービスでの代筆・代読支援を尋ねたところ、全体では9.8%が「実施している」と回答をした。回答の詳細では、移動支援や重度訪問看護などを挙げる一方で、回答したサービスの中でボランティア的に対応しているという意味が含まれた回答も確認できた。  今回の調査では、@AB以外の他の福祉サービスでの利用実態の詳細までは判明しなかったが、視覚障害者向けの代筆・代読支援の在り方を考える際、比較対象にすることは有効かもしれない。特に、先駆的に代筆・代読支援を行っている自治体の支援方法は、未実施の自治体にとっては参考になるはずだ。これらの実態把握も必要である。 88ページ 4 代筆・代読支援を行うには何が必要か 1.意思疎通支援事業で代筆・代読支援を行うために必要な条件 【6−10 意思疎通支援事業で代筆・代読支援を行うために必要な条件(再整理)】(単位:%) 支援者の確保 75.9 実施をする上での明確な支援体制の確立 61.4 A 支援者の養成方法(カリキュラム)の確立 41.4 B 支援を行うことでの情報漏洩対策の確立 16.4 B 難しい支援への対応策の確立 14.5 「その他」制度面の整理、予算の確保 1.4 「その他」当事者のニーズの把握 0.7 「その他」サービスの周知、啓発 0.7 「その他」当事者からの声がない 0.7 「その他」支援者・事業所の支援体制の整備 0.4 「その他」既存のサービスで足りている 0.3 その他 0.4 分からない 6.4 無回答 1.7  調査の最後では、意思疎通支援事業で代筆・代読支援を行うために必要な条件について尋ねてみた。上記表は、設定した選択肢に加え、「その他」で記入された内容を整理した集計結果になる。  まず、際立った回答は「支援者の確保(75.9%)」と「支援をする上での明確な支援体制の確立(61.4%)」である。また、その次には、84ページで指摘した「支援者の養成方法(カリキュラム)の確立(41.4%)」を挙げた自治体が多い。  次ページで紹介する自由記述も含め、今回の調査では、障害者に対する支援を前向きに考えている自治体が多かったように思える。その意味では、上記の「A 受け皿の用意(支援者の確保)」「B 明確な支援体制」の条件が揃っていれば、自治体で意思疎通支援事業「代筆・代読支援」が実施できる可能性を感じる。 2.自由記述から分かった代筆・代読支援に必要な条件  自治体のアンケート調査では、当事者調査と同様に、自由記述欄において様々な意見が寄せられ、貴重な意見が多かった。例えば、代筆・代読支援を実施する上で必要な条件において、想定していなかった意見が確認できた。また、前ページの必要な条件で挙げられていた条件については、詳細な説明や要望を記入した自由記述も多く、必要な条件の「その他」に連動する意見もあった。  以下では、自由記述に寄せられた意見について、注目すべき点を整理し、分析を行った。 (1)国レベルでの制度面の整理、予算の確保  必要な条件における「支援をする上での明確な支援体制の確立」の追加説明にあたる意見が多く、国に対して制度面・財政面の拡充、法整備などに期待を寄せる意見が目立った。この点は、裏を返すと自治体の判断でサービスを提供をする地域生活支援事業の限界、つまり自治体の力だけではサービスの提供に限界があること意味しているのかもしれない。 (2)他の公的な福祉サービスとの差別化  意思疎通支援事業で代筆・代読支援を行う場合、既存の同行援護や居宅介護との違いが明確に示されないと、自治体では実施しづらいとの意見があった。これは的確な意見で、制度面の整理の中で留意すべき事項になる。 (3)先駆的な事例や成功例を参考にする  独自に新たな事業を立ち上げるには、自治体側の労力は多いため、先駆的な事例や成功例を参考にすることは、自治体側のメリットが大きい。そのため、これらの事例などを求める声が目立った。この点については、本調査がその一助になることを目指し、報告書の発行及び周知を行う必要がある。 (4)当事者のニーズの把握  自治体は、住民からの声(ニーズ)があって、はじめてサービスを実施するとされている。そのため、自治体からはニーズに関する意見も多く寄せられていた。その中では、自治体が視覚障害者のニーズを上手く把握できないという課題があることが分かった。この点については、本調査で全国平均のニーズを示すことが重要だと思われる。 (5)視覚障害当事者が自治体にニーズを伝える  (4)の関連として、視覚障害者の住民から代筆・代読支援を求める声(ニーズ)が少ないとの意見もあった。これも的確な意見で、地域レベルでは代筆・代読支援を求める声が上がっていない可能性を示唆している。視覚障害当事者から声を上げることも重要である。 (6)代筆・代読支援の問題点の共有  自治体からの自由記述においては、代筆・代読支援の問題点や現状を記入した自治体も多かった。記入された内容は、視覚障害当事者から寄せられた問題点や現状と同じ内容が多く、自治体側も代筆・代読支援の問題点を実は把握していたことが伺える。視覚障害者のニーズを具現化する上で、問題点を理解している点は重要と感じる。 (7)代筆・代読支援に関する誤った理解  自治体における代筆・代読支援の認識については、前向きな姿勢があった一方で、明らかに誤った理解を自由記述として記入した自治体も少なくはなかった。その多くは、視覚障害者の代筆・代読支援が何らかの方法で充足されている内容になり、自治体の窓口やボランティアで対応していることから福祉サービスでの支援は必要がないとの意見もあった。これは明らかな誤解で、視覚障害者の情報保障を脅かす考えとも言える。このような誤った理解を改善することも必要である。 91ページ 第7章 考察 92ページ 1 視覚障害当事者の実態やニーズについて  第5章で示した視覚障害者調査の分析、検討委員会から指摘された意見を元に、代筆・代読支援に関わる視覚障害当事者の実態やニーズについて考えてみる。 1.視覚障害者は「読み書き」に困っている  まず、全国の視覚障害者に対してアンケート調査を行った結果、86.4%の者が「読み書きをすることに困っている」と回答した。全盲では90.3%、弱視では80.7%の者が読み書きに困っており、全盲・弱視を問わず、重度の視覚障害者は読み書きが困難であることが判明した。  視覚障害者の読み書きが困難であることは、これまでの寄せられた要望、過去の実態調査でも明らかになっているが、今回の調査でより詳細な実態を掴むことができた。特に、アンケートの自由記述では、読み書きが困難であるために支援の充実を求める声が多く、早急な改善が求められていることが分かった。  障害があるために意思疎通や情報の獲得に差別があってはならない。視覚障害者が困っている「読み書き」をいかに改善するかは社会の責務である。 2.現状の代筆・代読支援への不満  視覚障害者の代筆・代読支援は、公的な福祉サービスとしては、障害福祉サービスの「同行援護」「居宅介護」、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」で提供ができるとされている。今回の調査では、68.7%の者が公的な福祉サービスで代筆・代読の支援を受けたことがあると回答し、サービス別の利用率は同行援護が86.6%、居宅介護が43.5%となっていた。特に、同行援護については、移動時の情報提供を重要視していることから、支援者が代筆・代読の技術をある程度は持ち合わせており、視覚障害者にとって価値のある代筆・代読支援の一つとなっている。  しかし、現状の「同行援護」「居宅介護」での代筆・代読支援については、今回の調査により、視覚障害当事者からは不満の声が多いことが改めて判明した。これらの既存のサービスを利用して困ったことや不安になった者は全体で49.0%になり、半数以上の視覚障害者が何らかの不満をもっていると言える。  そして、その不満については、(1)支援の質の問題、(2)制度面の問題を挙げる者が多かった。 (1)支援の質の問題  従来から聞かれる代読の読み上げレベルが低いこと、代筆で記入の間違いがあることなど、支援者のスキル不足を指摘する声が多かった。また、情報漏洩があることや、サービスの無理解による誤った対応があることなど、支援者の職務意識や理解度について問題視する声も確認できた。いずれにせよ、現状の支援者からは、代筆・代読の支援を満足に受けることができないと考える視覚障害者が多い。 (2)制度面の問題  代筆・代読支援を求めても、制度の壁により支援が受けられなかったことに対する不満は多かった。例えば、同行援護であれば、自宅での代筆・代読支援が受けられないこと、居宅介護では、与えられる時間が短いことや、他の重要な支援があることから実質的に居宅で代筆・代読支援が受けられないことが不満になっている。更に、仕事での利用、金融機関などでの利用、専門的な内容の利用など、公的な福祉サービスではカバーできない部分でも代筆・代読支援を求める声は多く、視覚障害者のニーズの幅が広いことから、制度面に不満を訴える視覚障害者も多い。 3.代筆・代読支援の拡充を求める声  視覚障害者にとって代筆・代読支援が必要なこと、そして、現状の代筆・代読支援には不満があることから、その拡充を求める声も大変多かった。  調査では、自由記述欄において様々な意見が寄せられ、主に上記の(1)支援の質の問題、(2)制度面の問題に対する改善を求める内容が多かった。実例を交えながらの切実な改善要望が多く、公的な福祉サービスにおける代筆・代読支援の在り方を問う内容になっている。更に、自由記述の中では、既存のサービスで代筆・代読支援があるにもかかわらず、支援を遠慮してしまうと回答した者がいた。遠慮をする理由は様々であったが、明らかに支援体制の不備による影響と思われる。  はたして、このような現状でよいのだろうか。多くの視覚障害者は、代筆・代読の支援を公的な福祉サービスに期待している。しかし、現状は、視覚障害者のニーズや利便性に寄り添った支援体制にはなっていない。やはり、国や自治体は、視覚障害者が安心・安全に代筆・代読支援が受けられる支援体制を、改めて検討しなくてはならない。 4.代筆・代読支援の潜在的なニーズ  今回の調査においては、読み書きに困っていながら、公的な福祉サービスによる代筆・代読支援を「利用したことがない」と回答した者は全体の30.5%だった。主な理由は家族の支援があるからや、弱視でまだ見ることができるからといった内容だった。  しかし、調査結果を深く分析すると、これらのサービスを利用したことがない者にも潜在的なニーズがあることが分かった。公的な福祉サービスで代筆・代読支援があることを知らなかった者の内、66.9%の者は公的な福祉サービスで代筆・代読支援を受けたいと回答している。また、弱視においては、その者の視力や視野が悪化することを考えると、視覚障害者への代筆・代読支援は必要だと感じる者も少なくはなかった。更に、今回の調査を受けたことで公的な福祉サービスで代筆・代読支援が受けられることを初めて知ったという者さえいた。  今後、視覚障害者の潜在的なニーズの掘り起こしも課題となり、公的な福祉サービスの利用率を高めていく必要がある。 5.代筆・代読支援が「必要」と声を上げる  公的な福祉サービスで代筆・代読支援を利用したことがない者を深く分析すると、これらの代筆・代読支援の必要性に気付いてない視覚障害者も少なくはなかった。  例えば、家族から代筆・代読支援を受けている者は、家族からの支援に満足している傾向があった。しかし、家族がいなくなった場合、誰から支援を受けることを考えているのだろうか。  また、自治体調査に目を向けると、地域の視覚障害の住民から代筆・代読支援を求める声があまり聞こえないとの意見があった。自治体としては、地域からの要望を受けてサービスを実施するという側面があることを踏まえると、この意見は重要だ。確かに、全国の声として代筆・代読支援を求める要望はかなり大きいものとなっているが、その声が、地域のレベルで上がっているかどうかには疑問が残る。特に、地域レベルでは、代筆・代読支援を遠慮してしまう者もいるため、地域で声を出したくても、声を出せない者が存在するかもしれない。  視覚障害者の読み書きの支援が必要不可欠であることは明白である。そのため、その読み書きを公的な福祉サービスの代筆・代読支援で受けられる必要性を、視覚障害者自身が気付き、更にはその必要性を声に出すことが求められる。 6.代筆・代読支援が「利用できること」をいかにして伝えるか  視覚障害者は情報障害とも言われ、公的な福祉サービスの情報などが上手く届かないことがある。例えば、平成28年に日本盲人会連合が行った調査(11ページ ※3)では、中途視覚障害者が公的な福祉サービスを知るまでに5年以上かかったという調査結果がある。また、今回の調査においては、他地域に先駆け、10年近く前より視覚障害者に特化した代筆・代読支援を公的な福祉サービスで実施している地域において、同じ地域に住む視覚障害者の中でその支援を知っている者と知らない者がいることが分かった。  つまり、代筆・代読支援を視覚障害者に広めるためには、視覚障害者への情報提供についても留意する必要がある。 7.実態やニーズの更なる解明  今回の視覚障害当事者調査は、アンケート調査で実施したことにより、代筆・代読支援に関わる視覚障害当事者の実態において明らかにならなかった実態やニーズが多かった。  例えば、既に意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を受けている視覚障害者の実態は明確には掴めておらず、更なる調査が必要となっている。また、視覚障害者は、障害の状況や家族構成により、代筆・代読の支援に関するニーズは異なることは分かっていたが、その差異を明確に調べることはできなかった。特に、家族と同居する者と一人で暮らす者との間で、どのようなニーズの差があるかは整理する必要がある。  また、自治体調査に目を向けると、自治体が意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を実施するには、視覚障害者のニーズを把握することが重要との意見があった。そのため、今回の調査で確認ができなかった視覚障害者の実態やニーズは、更なる調査が必要である。 96ページ 2 自治体の実態やニーズについて  第6章で示した自治体調査の分析、検討委員会から指摘された意見を元に、代筆・代読支援に関わる自治体の実態やニーズについて考えてみる。 1.意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の実施率  調査では、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を実施していると回答した自治体は14自治体、全国平均で1.4%の自治体のみしか実施していないことが分かった。意思疎通支援事業自体は、全国平均で88.5%の自治体が実施しているにもかかわらず、この低調な結果だった。  なぜ自治体は「代筆・代読支援」を実施しないのだろうか。  意思疎通支援事業は地域生活支援事業に含まれ、自治体の判断により設定されたサービスを実施できることになっている。実際に「代筆・代読支援」を実施している14の自治体は、地域性や人口の規模、視覚障害者の数に関係なく、独自の判断で事業を実施している。つまり、自治体の判断次第では「代筆・代読支援」が実施できるのである。  当事者調査から、視覚障害者のニーズが大きいことは分かった。つまり、意思疎通支援事業で実施されないのは、ニーズの低さではなく、制度面に問題があるのだろう。視覚障害者のニーズが届く制度にしなくてはならない。 2.視覚障害者への代筆・代読支援に対する理解の差  視覚障害者の代筆・代読支援は、障害福祉サービスの「同行援護」と「居宅介護」で実施できることになっている。実際にも、視覚障害当事者調査でも示されたとおり、代筆・代読支援を目的としたと思われる視覚障害者の利用率も一定数はある。  しかし、調査では、「同行援護」と「居宅介護」で代筆・代読の支援を行っているかどうかを確認したところ、その支援を「実施していない」や「分からない」といった回答が少なくはなかった。もちろん、実際に代筆・代読支援を行っていなかったことを理由にした可能性はある。しかし、調査を分析する限りでは、同行援護と居宅介護において代筆・代読支援が含まれていることを、自治体側が理解していなかった傾向が読み取れる。更に、自由記述の中では、視覚障害者に対する代筆・代読支援を補完するものとして、自治体の窓口職員や地域のボランティアで対応しているため、その支援が満ち足りているとの回答もあった。これは、公的な代筆・代読支援の意味合いを全く理解していない。つまり、一部の自治体は、視覚障害者が代筆・代読支援を求めているニーズを把握する以前に、その支援の必要性を理解していない。  一方で、視覚障害者の代筆・代読支援のニーズや必要性を理解し、既存の支援に対する問題意識をもつ自治体も少なくはなかった。実際に、視覚障害者からの要望を元に、独自の取り組みとして、前述した地域生活支援事業での実施や、他の福祉サービスでの代筆・代読支援を実施している自治体もある。調査の限りでは、代筆・代読支援について前向きに考えている自治体も多いだけに、更なる支援の拡大を期待したい。  全国の自治体が、視覚障害者への代筆・代読支援に対する理解が不足していると断言することはできないが、自治体間での理解度の差はあることは明白だ。そして、理解度が低い自治体ほど、視覚障害者の代筆・代読支援のニーズを把握しきれていない。 3.意思疎通支援事業で「代筆・代読支援」を行う条件  調査によって、今後、自治体が意思疎通支援事業で「代筆・代読支援」を行うためには、次の条件が必要であることが分かった。 (1)支援を行うための受け皿   ・支援者の確保   ・支援手法の整理(的確な支援、情報漏洩対策など)   ・支援者の養成(養成カリキュラムの確立) (2)明確な支援体制   ・支援体制の整備   ・他の福祉サービスとの差別化   ・法制度の整理や予算の確保 (3)その他   ・利用者からのニーズの把握   ・サービスの周知  これらの条件に加え、既に実施している自治体の実例などは、支援を実施する上で参考になるため、成功例を整理して資料化することも重要になっている。 4.実態の更なる解明  当事者調査と同様に、本調査がアンケート調査になるため、自治体の実態について不明確な部分は多い。特に3で示した意思疎通支援事業で代筆・代読支援を実施するための条件面は、具体的な内容の整理が必要となっている。 98ページ 3 その他の実態やニーズについて  本年度の調査は、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」をいかにして自治体で実施するかの課題整理が目的となっている。そのため、調査の範囲は公的な福祉サービスを対象とし、改善要望が多い金融機関などでの代筆・代読支援など、公的な福祉サービスでは対応できないものは調査の対象外とした。  また、調査対象は、そのサービスの受け手である視覚障害当事者と、そのサービスを給付する自治体を対象とし、実際のサービスを提供する支援者(事業所)は調査の対象外とした。  しかし、本調査においては、これらを対象外としたものの、視覚障害者や自治体の実態解明に関係する部分もあることから、その一部は課題の整理や分析を行った。  以下では、公的な福祉サービスでは対応できない代筆・代読支援、実際のサービスを提供する支援者(事業所)について考えてみる。 1.公的な福祉サービスでは対応できない代筆・代読支援の「線引き」  調査では、公的な福祉サービスでは支援が難しい金融機関や医療機関などでの代筆・代読の支援に関する意見もあり、特に視覚障害当事者からは、これらに対する不満や要望が多く寄せられた。  これらの支援は、本来、金融機関や医療機関などの事業者側で対応すべきことではあるが、実際に代筆・代読のお願いをしても満足な状況にならないため、様々な不満や要望が寄せられている。そのため、関係する事業者の理解、更には一般社会への理解を向上させる必要がある。  しかし、代筆・代読支援を受ける視覚障害者においては、どこまでが公的な福祉サービスで支援が受けられ、どこまでが公的な福祉サービスで支援が受けられないかを明確に理解しておらず、この理解不足が原因でトラブルになることもある。  この理解不足を解消するため、公的な福祉サービスができること・できないことの線引きが必要となっている。特に、支援を受ける視覚障害者自身が理解しやすい線引きが必要だと思われる。 2.安全に代筆・代読支援を利用すための「共通ルール」  同行援護や居宅介護での代筆・代読支援の実施方法を見ると、実際には全国統一のルールはなく、支援者と視覚障害者がお互い手探りでベストな支援方法を探しながら、支援を行っていると言われている。そのため、ベストな支援方法が見つからない場合は、結果的に、支援者への不満につながっている部分もある。  そのため、一部の支援者や視覚障害の利用者からは、視覚障害者向け代筆・代読支援に関する「共通ルール」のようなものが必要ではないかとの意見があった。例えば、個人情報保護の対応、意思を示す自署の対応、代筆・代読の責任の所在など、後でトラブルに発展しないために、支援を行う前に支援者と利用者が確認すべき事項についてはルール化を求めている傾向がある。これらの確認事項をルール化し、支援者と利用者の共通理解にすることは、支援を安心・安全に利用するためにも、必要なことである。また、この共通ルールを通して、支援者の資質向上にもつながることが期待できる。  今後、公的な福祉サービスで代筆・代読支援を円滑に実施するためには、視覚障害者自身が理解できる「共通ルール」の検討も必要となっている。 3.実際のサービスを提供する支援者(事業所)の実態やニーズ  視覚障害当事者への調査だけを見ると、代筆・代読支援を行う支援者に対する不満が多く散見されるため、支援者側の整備が進んでいないと思われてしまう。  しかし、支援者側の声に耳を傾けると、視覚障害者に対する代筆・代読支援を熱心に取り組んでいる支援者(事業所)は、目的意識をもって支援を行っている。例えば、代筆・代読支援に熱心な事業所では、独自に支援者への代筆・代読の養成を行っている所もある。また、個人情報などを扱い、トラブルも多い代筆・代読支援を可視化する目的で、作業内容を記録することを支援者に求める事業所もある。  一方で、支援者側からは、現状の同行援護や居宅介護の中で代筆・代読支援を行うことに限界があるとの意見もある。主な理由は、同行援護は居宅でのサービス提供ができないなどの制度面での課題に加え、報酬面での課題などもあり、支援者側からも支援体制の拡充を求める声は大きい。  意思疎通支援事業で代筆・代読支援を行うことを考えると、支援者側の実態についても整理が必要である。特に、例示をした先駆的な取り組みをする事業所の実例や、支援者となり得る人材に関する調査は必要で、支援者側の実態やニーズも整理すべきである。 101ページ 第8章 まとめ 注意 本章に掲載をした一部の図やグラフ資料は、テキスト版では割愛する。 102ページ 1 代筆・代読支援に関わる実態とニーズの整理  調査結果や検討委員会での意見などを踏まえ、第7章では代筆・代読支援に関する実態やニーズについて多角的な考察を行った。本章では、その実態やニーズを改めてまとめ、全体像について考えてみたい。  まず、視覚障害当事者は、日常生活での読み書きに困っており、代筆・代読支援は生活になくてはならない存在となっている。そして、その困っている状況を少しでも改善させるため、利用しやすい公的な福祉サービスの充実した支援を求めている。つまり、視覚障害者の代筆・代読支援のニーズは非常に高いと言える。  しかし、現在、公的な福祉サービスとして代筆・代読支援を実施している同行援護と居宅介護は、支援の質や制度面に問題があり、結果的に十分な支援を提供していない状況にある。そのため、視覚障害当事者からは、支援の質や支援を支える制度を改善してほしいとの要望が出ており、もっと代筆・代読支援を安心・安全に利用したいというニーズに直結している。  一方で、自治体では、視覚障害者のニーズに応えるため、公的な福祉サービスの中で代筆・代読の支援が用意されている。しかし、実態は、そのニーズに対応した支援が実施されていない。  まず、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」については、全国での実施率は1.4%と低調になっている。視覚障害者からのニーズが高いことを踏まえると、自治体に対してそのニーズが届いていない現状がある。また、同行援護・居宅介護での代筆・代読支援については、前述した制度面の問題により支援自体に限界があること、自治体自体が視覚障害者のニーズを上手く把握できていないことが現状の課題である。つまり、公的な代筆・代読支援の問題点の解決、自治体がニーズを上手く吸収できない問題の解決が求められている。  しかし、自治体自体は、障害者に対する支援は前向きに考えている部分もある。そのため、もし、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を新たに開始するのであれば、円滑にサービスを実施するための支援体制などの条件面の整理を求めている。  このような背景があり、視覚障害者が公的な福祉サービスでの代筆・代読支援に満足をしていない状況が生まれている。 104ページ 2 目指すべき代筆・代読の支援体制  前ページでは、実態調査で見えてきた代筆・代読支援に関わる実態とニーズを整理した。そして、改めて、現在の視覚障害者が置かれている現実に戻った上で、どのようにしたら全国の自治体で意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を活発に取り組ませることができるかをまとめてみたい。  まず、視覚障害者が代筆・代読支援を利用する「場所」において、最も利用の要望が高いのは「自宅(居宅)」である。そして、現状の公的な福祉サービスで代筆・代読支援が受けられる同行援護や居宅介護は、この自宅(居宅)での代筆・代読支援が実施しづらい。つまり、この「自宅(居宅)」での代筆・代読支援が、公的な福祉サービスの中で大きな穴になっており、この穴を埋めることが自治体の支援に求められている。  その穴を埋める方策の一つとして、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を、居宅専門のサービスとして実施することが有効と考える。この点は、視覚障害当事者、自治体、そして支援者にとってメリットがある。 (1)視覚障害当事者のメリット  自宅での代筆・代読支援が行われれば、既存の同行援護や居宅介護の一部で実施していた代筆・代読支援を、専門的に受けることができ、ある程度は支援に与えられる時間と質が担保される。  また、意思疎通支援事業であれば、他のサービスとの組み合わせも可能となり、同行援護を利用して買い物をした場合、帰宅後に購入した商品の表示などの読み上げも可能となる。これは視覚障害者にとっては、切れ目のない支援を受けることができ、大きなメリットがある。 (2)自治体のメリット  自治体は、福祉サービスを実施するにあたり、受け皿となる支援者の確保が大事だと考えている。もし、居宅で意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を行うのであれば、その支援者は同行援護の従事者を即効性のある支援者として活用できる。また、同行援護の従事者は、ある程度、情報提供の技術があることから、支援の質を保つことができる。また、意思疎通支援事業は他の障害福祉サービスとの組み合わせも可能としていることから、自治体が求める条件面が揃えば、すぐにでも意思疎通支援事業で「代筆・代読支援」が実施できる可能性は高い。 (3)支援者のメリット  居宅で代筆・代読支援ができるのであれば、同行援護や居宅介護の追加サービスとして支援が実施できるので、仕事の効率が良い。特に同行援護においては、支援者の確保が重要な課題となっていることから、仕事の幅を広げ、収入の確保につながる特効薬になる可能性もある。  これらのメリットを踏まえると、居宅で意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を行うことは、視覚障害者のニーズを満たす効果がある。そして、自治体でも比較的条件が揃っていることから、サービスは開始しやすく、代筆・代読支援の実施率の改善につながることが期待できる。 【8−2 居宅で意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を行うメリット】 1.同行援護 (1)居宅 【現状】サービスの対象外 【メリット】利用者にとってシームレスな支援が可能となる (2)その他のメリット 情報提供としての代筆・代読支援を既に実施しており、一定の支援の質もある 2.居宅介護 (1)居宅 【現状】他の支援があり、代筆・代読支援が実施しずらい 【メリット】追加になるため、代筆・代読の時間が確保できる 3.対象別のメリット (1)利用者(視覚障害当事者)   ・居宅での代筆・代読支援が専門的に受けることができる。   ・同行援護の従業者からの支援であれば、外出後に居宅内で発生した代筆・代読支援も受けることができる。 (2)自治体   ・既存の地域資源(同行援護・居宅介護)が活用できる。   ・意思疎通支援事業は他のサービスとの併用も可能。 (3)支援者   ・同行援護や居宅介護との抱き合わせで仕事ができるため効率がよい。 106ページ 3 調査目的の確認、今後の目標  本調査は、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の実施が自治体において積極的に行われることを目指し、予め設定した論点について、調査を通して課題整理を行うものであった。  論点@とした「視覚障害者に対する代筆・代読支援の提供方法・体制の在り方」については、実態やニーズの確認を行い、現状の提供方法・体制には不満があり、支援の抜け穴になっている居宅での代筆・代読支援の実現、更には支援の質の向上が課題となっていることが整理できた。ただし、多様な見え方や行動がある視覚障害者の個別特性については、未整理な部分が多く、今後の課題となっている。また、視覚障害者自身が、代筆・代読支援のニーズを自治体に的確に伝えることも課題となっている。  そして、論点Aとした「自治体における代筆・代読支援の実施体制の在り方」については、更なる調査や課題整理が必要と考えている。特に、今回の調査で分かった自治体がサービスを開始するための条件については、まだまだ不明確な点が多い。更に、自治体の実施体制を考えると、今年度調査ができなかった支援者側の実態やニーズなどの課題整理も必要になっている。  今年度は、代筆・代読支援の実態やニーズの課題整理はできたものの、支援の実施に向けた課題整理はまだまだ多い。今後は、視覚障害者の実態やニーズの更なる整理、自治体が実施するために必要な条件の整理を行い、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を活性化させるための明確な支援体制などを立案することが必要である。  近い将来に、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」が、どこでも、誰でも受けられることを、社会全体で目指す必要がある。 【8−3 意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を開始するための条件】 (1)支援を行うための受け皿   ・支援者の確保     ・支援手法の整理(的確な支援、情報漏洩対策など)   ・支援者の養成(養成カリキュラムの確立) (2)明確な支援体制   ・支援体制の整備     ・他の福祉サービスとの差別化   ・法制度の整理や予算の確保 (3)その他   ・利用者からのニーズの把握  ・サービスの周知 107ページ 第9章 シンポジウム 108ページ 1 シンポジウムの概要  本調査研究事業においては、判明した調査結果を効果的に周知するため、以下の概要で関係者を交えたシンポジウムを開催した。  当日は、代筆・代読支援に関心のある視覚障害当事者を中心に約100名の参加者が集い、盛大にシンポジウムを開催することができた。参加者からは、調査結果やシンポジウムの内容が勉強になった、視覚障害者自身が代筆・代読支援の必要性を世間に訴える必要があることを知った、今後の支援拡大に向けて研究事業の継続を要望するなど、様々な意見が寄せられた。 1.開催名  視覚障害者向け代筆・代読支援の普及に向けたシンポジウム 2.開催日  平成31年3月4日 13時30分〜16時30分 3.会 場  ワイム貸会議室高田馬場 ROOM C 4.参加者  約100名    ※主な参加者      ・視覚障害当事者団体の役員、会員      ・視覚障害リハビリーテーション施設の担当者      ・視覚障害者向け情報提供施設の担当者      ・同行援護事業所の担当者      ・自治体の担当者      ・視覚障害者向けマスコミの記者 など 5.日 程  13時30分〜  開会  13時40分〜  意思疎通支援(代筆・代読)について  14時00分〜  調査結果の報告  14時30分〜  パネルディスカッション  16時30分   閉会 110ページ 2 パネルディスカッション  パネルディスカッションでは、様々な立場の有識者6名が登壇し、視覚障害者向け代筆・代読支援を普及させることをテーマとした、報告や議論が行われた。  登壇した有識者は、代筆・代読支援を求める全盲と弱視の視覚障害当事者、支援を行う事業所の担当者、自治体の担当者、更には個人情報保護などの権利問題に詳しい弁護士、代筆・代読支援に関する調査を行った研究者であった。  当日に報告や議論された内容は、本調査において参考となる貴重な意見が多かった。そのため、次ページより主だった意見などを掲載する。 【登壇者一覧】  コーディネーター   慶応義塾大学経済学部        教授 中野泰志  パネリスト(50音順)   Cocktailz         代表 伊敷政英   神奈川県視覚障害者福祉協会    理事長 鈴木孝幸   我孫子市健康福祉部障害福祉支援課 主査長 竹井智人   名城法律事務所豊田事務所     弁護士 田中伸明   視覚障害者生活情報センターぎふ   部長 棚橋公郎   新潟大学工学部工学科       准教授 渡辺哲也 1.パネリストからの意見 (1)神奈川県視覚障害者福祉協会 理事長 鈴木孝幸 ・全盲の視覚障害者。当事者団体の代表を務める。 ・代筆・代読支援は、視覚障害者にとって重要な支援である。 ・日常的に様々な支援のお願いをしていて、日々の生活に役立つことが多い。(例:役所の文書、通帳、チラシ、回覧板、処方箋など) ・ただ、視覚障害者から求める代筆・代読支援は多様性に富んでいて、時には高度で難しいお願いをすることもある。(例:フリーズしたパソコンの画面の読み上げなど) ・代筆・代読支援は、視覚障害者自身が「必要だ!」と声を上げなければ、自治体でのサービス開始につながらない。 ・支援者の養成も大切で、共通のカリキュラムを作り、資質を高めていくことも重要ではないか。また、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の支援者(奉仕員)の養成は、任意事業から必須事業に格上げする必要があると思う。 (2)Cocktailz 代表 伊敷政英 ・弱視の視覚障害者。ICT関連に詳しい。 ・弱視は福祉サービスのことを詳しく知らない者が多い。このような者に、どうやって情報を周知するかが課題だと思う。 ・個人情報の保護は大切。調査結果で「個人情報の漏洩があった」と回答した当事者は15.6%だった。つまり、7人に1人は漏洩を経験したとも言える。これは問題である。 (3)視覚障害者生活情報センターぎふ 部長 棚橋公郎 ・視覚障害者向け支援事業所(同行援護、居宅介護など)の担当者。利用者や支援者の実態やニーズに詳しい。 ・支援者側の効果的な支援手法として、代筆・代読の実施内容を記録に残すことが効果的とされている。記録を残すことで利用者と支援者の間でのトラブルを軽減させることができる。また、記録を積み重ねることで、仕事の問題点・課題・成功例の資料としても活用ができる。 ・生前遺言書など、どうしても支援できない内容の依頼もあり、支援ができないものは正直に断っている。ただ、そのまま断るのではなく、支援ができる所を探して提案することも行っている。それが、支援者側の信頼・安心につながると思う。 (4)我孫子市健康福祉部障害福祉支援課 主査長 竹井智人 ・意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を実施している自治体の担当者。同市での取り組み状況や現状、課題などを報告した。 ・支援を始めたきっかけは、視覚障害者からの要望に加え、現場のヘルパーから、視覚障害者からの支援のお願いに困っているという声を受け、約10年前から実施をしている。 ・居宅介護だと支援区分が低い人は、事業者が決まりにくいなど、支援を受けづらい場合があり、視覚障害者が居宅介護などの既存サービスで代筆・代読支援を受けられないことも課題としてあった。 ・同行援護や居宅介護だけで視覚障害者の代筆・代読支援が充足されているという認識は誤解である。視覚障害者には、視覚障害者に特化した代筆・代読支援が必要だと感じている。 (5)名城法律事務所豊田事務所 弁護士 田中伸明 ・全盲の弁護士。個人情報の保護や障害者の権利問題に詳しい。 ・代筆・代読支援については「個人情報とどう向き合うか」が大きな課題だと思う。個人情報を守るためには、@共通のルールを作って対応、A支援者に守秘義務を課すことが必要ではないか。 ・支援に関する共通ルールは、内容を厳しくすればするほど、支援者が集まらない可能性がある。そのため、ルール作りはしっかりとした議論が必要だと思う。 ・金融機関の窓口などでの代筆・代読支援は、事業者側の問題である。そのため、事業者側の体制づくり、ルール作りが必要である。ただし、上記と同じく内容を厳しくすればするほど、支援ができなくなる可能性がある。 (6)新潟大学工学部工学科 准教授 渡辺哲也 ・視覚障害者の情報取得やICTの活用に詳しい研究者。10ページで紹介した研究により、視覚障害者の代筆・代読支援に関する調査を実施した。 ・本調査と以前の調査を比較した結果、調査結果に大きな差はなく、やはり視覚障害者は読むこと・書くことに困難があり、その支援を求めていることを裏付けることができた。 ・代筆・代読支援が人的に受けられない場合は、ICTの活用も重要ではないか。特に、なかなか代筆・代読支援ができない自署などは、ICTなどを活用して、自分で書けるようにすることができれば、日常生活の支えになるのではないか。 2.参加者からの意見 ・視覚障害者は7割が高齢者と言われている。そのため、障害福祉サービスなどだけでなく、介護保険も利用している。介護の分野でも代筆・代読支援の重要性を理解してもらう必要があるのではないか。 ・銀行や公証人役場で自署を求められたことがある。これは視覚障害者の実情を理解していない。これらの業界全体に対して、視覚障害者への「代筆・代読」の理解を促す試みが必要ではないか。 ・視覚障害者の中には「これに困っている」ということを明確に言えない者が多く、困っていることへの相談に対応できないことがある。代筆・代読支援も、本当は困っていると言えない視覚障害者が、もっと多いのではないか。 3.コーディネーターのまとめ ・地域生活支援事業の意思疎通支援事業「代筆・代読支援」の実施率(1.4%)は極めて低い。同じ意思疎通支援事業「手話通訳」は86.3%、「要約筆記」は55.0%であるのに対して、代筆・代読支援の実施率がなぜ低いのか。これは、私達が考えていくべき重要な課題である。 ・今回の調査の結果、代筆・代読のニーズは、全盲で90.3%、弱視で80.7%と高いことが分かった。また、公的サービスを使って代筆・代読支援を受けられることを知っている視覚障害者の割合も7割を超えていた。つまり、代筆・代読のニーズも高く、公的サービスを知っている視覚障害者が多いにもかかわらず、支援の実施率は低いことが分かった。 ・シンポジウムでの議論の結果、当事者団体に所属していない視覚障害者に対する情報の周知、代筆・代読サービスの安全性とサービスの量・質の向上、自治体への働きかけなどが必要であることが分かった。 ・今後、意思疎通支援事業「代筆・代読支援」を普及させ、地域によるサービスの差を埋めていくためには、当事者や自治体への普及・啓発、サービス従業者養成のための研修カリキュラムの整備、生命や財産などに関係する高度な代筆・代読の実施体制の確立などが必要不可欠であることが議論された。 ・視覚障害者が支援制度を有効活用し、生活の質を向上させるための事例の集約と、普及・啓発を各地域の当事者団体で行うことの大切さが確認された。 115ページ 資料集 116ページ 1 調査1 視覚障害当事者調査 調査票 注意 以下は調査時に使用したテキスト版の調査票を掲載する 社会福祉法人日本盲人会連合 視覚障害者への代筆・代読支援に関する調査研究事業 『調査1 代筆・代読支援に関する実態調査 (視覚障害当事者)』調査票 回答送信先 FAX:03−3200−7755 メール:chousa@jfb.jp テキストでの回答について ・該当する項目番号の前に「○(まるじるし)」を記入して下さい。 ・また、該当する項目だけ残す方法(該当しない項目は削除する方法)でも構いません。 ・( )は必要事項を記入して下さい。 注意:本調査における代筆・代読支援の範囲は、障害福祉サービスで対応できる日常的な読み書きを対象とし、契約等の自署等については対象外とします。ご留意の上、ご回答ください。 1.読み書き(代筆・代読)についての質問 問1 読み書きをすることに困ることがありますか。(1つのみ回答) 1.困っている 2.困っていない 問2 読み書きを支援する公的なサービスがあることはご存じですか。(1つのみ回答) 1.知っている   → 問3に進む   2.知らない    → 問4に進む   問3 読み書きを支援する公的なサービスを使ったことがありますか。(1つのみ回答) 1.使ったことがある   → 問5に進む   2.使ったことがない   → 問8に進む   問4 読み書きを支援する公的なサービスを使いたいと思いますか。(1つのみ回答) 1.思う     → 問9に進む 2.思わない  → 問8に進む  【以下の問5から問7は、問3で読み書きを支援する公的なサービスを使ったことがあると答えた方への質問になります】 問5 読み書きを支援する公的なサービスをどなたにお願いしていますか。(複数回答可) 1.同行援護の従事者    2.居宅介護の従事者(ホームヘルパー) 3.意思疎通支援事業の従事者(代筆代読支援者) 4.その他(具体名: ) 問6 読み書きを支援する公的なサービスを使っていて、困ったことや不安になったことはありますか(1つのみ回答) 1.ある 2.ない ↓ ある場合は理由もお答えください(複数回答可) 1.支援を受けられる時間が希望より短い 2.支援を受けられない内容がある 3.支援を受けられない場所がある 4.支援を行ってくれる事業者(支援者)が少ない 5.誤った記入や読み上げがあった 6.個人情報の漏洩があった 7.その他( ) 問7 公的なサービスを使っている中で、読み書きの支援を断られたことがありますか。(1つのみ回答) 1.ある 2.ない ↓ ある場合は理由もお答えください(複数回答可) 1.支援者側の条件と合わなかったから 2.お願いをした内容が難解で、事業者(支援者)では対応できないから 3.お願いをした内容が制度の対象外だったから 4.理由を教えてくれなかった 5.その他(  ) →次は問9へお進み下さい。 【以下の問8は、問3で読み書きを支援する公的なサービスを使ったことがないと答えた方、及び、問4でサービスを使いたいと思わないと答えた方への質問になります】 問8 読み書きを支援する公的なサービスを使っていない理由、またはサービスを使いたいと思わない理由を教えてください。(複数回答可) 1.自分で読み書きができるから 2.家族や知人などにお願いできるから 3.お願いをする事業者(支援者)がないから 4.支援をする人にお願いをすることが不安だから 5.その他( ) →次は問9へお進み下さい。 2.回答者についての質問 問9 この調査票をどのような方法で確認しましたか。(1つのみ回答) 1.裸眼、またはメガネを用いて確認をした            2.ルーペや拡大読書器を用いて確認をした 3.点字で確認をした 4.パソコン等の音声読み上げ機能を用いて確認をした 5.パソコン等の拡大機能を用いて確認をした 6.自分以外の人に読み上げてもらい確認をした 7.その他( ) 問10 この調査票をどのような方法で回答しましたか。(1つのみ回答) 1.自分で記入をした 2.自分以外の人に記入してもらった 3.その他( ) 問11 あなたの年代を教えてください。(1つのみ回答) 1.10代未満 2.10代   3.20代   4.30代  5.40代   6.50代   7.60代   8.70代以上   問12 あなたの性別を教えてください。(1つのみ回答) 1.男性 2.女性 問13 あなたのお住まいを教えてください。(自由記述) ( )都・道・府・県      ()区・市・町・村 問14 あなたの視覚障害程度を教えてください。(1つのみ回答)※症状の記載は不要です。 1.全盲 2.ロービジョン(弱視) 3.盲ろう 4.その他( ) 問15 あなたの職業を教えてください。(1つのみ回答) 1.学生   2.自営業  3.会社員  4.公務員  5.主婦(夫)  6.無職  7.その他( ) 問16 同居している家族の構成を教えてください。(複数回答可) 1.配偶者   2.子供  3.親   4.兄弟姉妹 5.なし(独居) 6.なし(施設に入所) 7.その他( ) 問17 自治体の障害福祉サービスで利用したことがあるものを教えてください。(複数回答可) 1.居宅介護(ホームヘルプ) 2.同行援護(移動支援) 3.自立訓練(機能訓練・生活訓練)  4.地域生活支援事業(意思疎通支援事業) 5.補装具費の支給 6.日常生活用具の給付 7.利用したことがない 8.その他( ) 3.ご意見 問18 代筆・代読に関する要望や意見があればご記入ください。 質問は以上です。ありがとうございました。 118ページ 2 調査2 自治体調査 調査票 社会福祉法人日本盲人会連合  視覚障害者への代筆・代読支援に関する調査研究事業 『調査2 代筆・代読支援に関する実態調査(自治体)』調査票 回答送信先 FAX:03−3200−7755 メール:chousa@jfb.jp 1.回答者について 問1 自治体名をご記入ください。 ( )都・道・府・県 ( )区・市・町・村 問2 住民数をご記入ください。  ※平成29年度の人数 ( )人 問3 身体障害者手帳の交付数をご記入ください。  ※平成29年度の人数 ( )人  内 視覚障害者( )人 2.意思疎通支援事業の実施状況について 問4 意思疎通支援事業を実施していますか。(1つのみ回答) 1.実施している    →問5へお進みください 2.実施していない   →問9へお進みください 問5 意思疎通支援事業の予算規模を教えて下さい。(自由記述) 予算規模 (  )円 問6 平成29年度に意思疎通支援事業で実績のある事業を教えて下さい。(複数回答可) 1.代筆・代読による支援    →記入をした場合は問7もお答えください 2.点訳・音訳による支援 3.手話通訳者の派遣・設置 4.要約筆記者の派遣・設置 5.盲ろう者向け通訳・介助員の派遣 6.その他( ) 問7 代筆・代読支援のみの実績数(平成29年度実績)を教えて下さい。(自由記述) ・受給者証の発行数    ( )人   ・年間利用者数(累計)  ( )人 ・月間の上限支給量    ( )時間 ・予算規模( )円 問8 代筆・代読支援者の養成を行っていますか。(1つのみ回答) 1.養成している 2.養成していない 3.他の障害福祉サービスでの代筆・代読支援について 問9 視覚障害者の代筆・代読支援は、一部の障害福祉サービスの中で実施可能とされています。以下の障害福祉サービスにおいて、代筆・代読の支援が行われているかを教えて下さい。(1つのみ回答) (1)同行援護での代筆・代読 1.実施している 2.実施していない 3.分からない (2)居宅介護での代筆・代読 1.実施している 2.実施していない 3.分からない (3)その他のサービスでの代筆・代読 1.実施している(具体的な名称: ) 2.実施していない 4.その他 問10 視覚障害者向け代筆・代読支援は、当事者からニーズが多いにもかかわらず、障害福祉サービスでの実施状況は少ないと言われています。意思疎通支援事業で代筆・代読支援を行うためには何が必要だと思いますか。(複数回答可) 1.支援者の確保 2.支援者の養成方法(カリキュラム)の確立 3.実施をする上での明確な支援体制の確立 4.支援を行うことでの情報漏洩対策の確立 5.難しい支援への対応策の確立 6.分からない    7.その他( ) 問11 視覚障害者への代筆・代読支援に関してご意見等があればご記入ください。(自由記述) 質問は以上です。ありがとうございました。 裏表紙 発行               社会福祉法人日本盲人会連合  〒169−8664       東京都新宿区西早稲田2−18−2 TEL 03−3200−0011 FAX 03−3200−7755