皆さんこんにちは。私の声が皆さんに届く頃には、結成70周年の東京大会が終わっているかもしれません。毎回同じ事を言うようで恐縮ですが、70年という節目をどう過ごすかこの1年間を日盲連にとってどういう節目にするかを私は大事にしたいと思っております。  6月11日から13日の大会だけで「よかった、よかった」と言って終わるのではなく、1年を通して日盲連がこれまで70年歩んできた事を振り返り、我々の運動によって勝ち取ってきたものを皆さんで確認し合うと共に、これから、日々活動する中で目標を設定できるようにしたい、その目標を見えるようにしたい、というのが私の思いであります。この1年を記念行事で終わらせるのではなく、みんなが、そして加盟団体のそれぞれが、これからの事を考えるきっかけを、あるいは、材料を、提供できる1年にしたいと願っております。この70周年の節目に会長を務めさせていただく事の意義を大いに感じながら、自分自身の使命ともしたいと思っております。  さて、今日は点字ブロックについて、また、広い意味での街づくりについてお話をしたいと思います。先日休みをいただいてイタリアに出掛けました。イタリアは、ローマは、石畳が多くまさに遺跡の街ですが、その街づくりの中に、点字ブロックが用いられている事に感動しました。日本ほど広くは普及しておりませんが、空港を含め、公の部分で点字ブロックが敷設されている事に大きな喜びを感じ、また自信を持ちました。日本が進めてきた街づくりが正しかったんだという、そういう自信であります。  ただ、点字ブロックにせよ、音声によるガイドにせよ、これまで私たちが進めてきた街づくりについて、10年先、20年先を考えた時に、もっと新たに考えるべきものはないのか。例えば、点字ブロックと駅ホームの安全、また、横断歩道の安全と段差の解消が言われる中で、我々にとっては2センチの段差の確保というものが課題になってきた訳ですが、それらをひっくるめて今のまま発展させていくのか、このままで私たちの安全は大きく広がっていくのか、この70周年にあたっての街づくりというものを私は意識したいと思います。そして、点字ブロックが持つ意味、我々の単なる誘導だけにとどまるものではないということを、社会の中でも是非認識してもらい、誘導における環境整備を点字ブロックだけに頼るのかどうかも含め、皆さんと考えていきたいと思います。  もう一つ、4月20日に全国の眼科医の先生方の勉強会、総会がありました。日本眼科学会のセミナーという取り組みです。それに講師として呼ばれ、お話をさせていただきました。その中で私は、眼科を訪れた視覚障害者、ロービジョン、様々な目を患った方々が眼科から福祉に結びつく際に、眼科の先生方が福祉の窓口になってくだされば、中途視覚障害者にとって、これほどありがたいことはなく、社会復帰がスムーズにいく、あるいは、視覚障害や失明によって脱落する事がない社会が作れるのではないかという事を訴えてきました。私たちは、これから、福祉と教育、医学とが全部一体化するような運動もしていきたいと思っております。そういう新しい流れを作るためにも、この1年間、そして、70周年を価値あるものにしたいと思います。