愛盲時報 平成30年01月25日(木)第257号 目次  1.謹賀新年2018正副会長挨拶  2.日盲連が新春挨拶のため議員会館を訪問  3.日本盲人会連合結成70周年記念第71回全国盲人福祉大会  4.サイトワールド2017開幕 3900名が来場する  5.日盲連、シンポジウムで補装具・日生具調査事業の中間報告行う!!  6.あん摩師等法19条訴訟について  7.ご寄付のお願いについて  8.奥付  *見出しの頭には「--(半角で2つ)」の記号が挿入されているので、検索機能を使って頭出しをする際にご利用下さい。  また検索の際、目次でご紹介した数字を続けて半角で入力すると、その項目に直接移動することができます。  (例)1をご希望のときは、「--1(すべて半角)」と入力。 (以下、本文) --1.謹賀新年2018正副会長挨拶 年頭の挨拶 会長 竹下(たけした) 義樹(よしき)  皆様に新年の挨拶を申し上げます。私自身、日本盲人会連合の会長となって6年目の新年を迎えました。この1年が、皆さんにとって素晴らしい1年となることを祈念し、また、日盲連にとっても大きな前進となる1年にしたいと思っております。  ご存知の通り、2018年は私たちの組織が結成されて70周年を迎える年であります。従って、6月11日から13日に予定されている東京大会では、結成70周年の記念大会として、秋篠宮殿下・妃殿下をお迎えし、私たちの喜びの時を迎えたいと思います。そうした年にふさわしい、日盲連の活動を組み立てることが、私に課せられた大きな宿題だと思っております。  残念ながら、去年1年を見ますと、私たちにとっては悲しい出来事が立て続けに起こっています。特に、我々の仲間が線路に転落し、たくさん犠牲になっています。そうした一人一人の命の犠牲が、私たちの声の裏付けとなり、ホームの安全対策に結びついていかなければならない訳ですけれども、この問題は、何度、日盲連が声明を出しても、国交省との話し合いをしても、鉄道事業者との話し合いをしても、要求を繰り返し、国や関係者に提出しても、解決できない問題として横たわっています。犠牲者の声が、次の安全に結びついていないのかと思うと、非常に残念でなりません。ホームドアが5年、10年かかって全国に広がるというのでは、私たちの犠牲はなくなりません。日盲連として模索し、1日も早く、私たちの鉄道利用が安全なものになることを願って、この1年、今できる対策を打ち出したいと思っております。  さて、国の動きも去年から今年にかけて、大いに活発なものがあると思います。ご存知の通り、2018年の4月には診療報酬、介護報酬、障害福祉サービス、そうした社会保障の改定が予定されています。その中で、障害福祉サービスの報酬改定が、私たちの声を反映したものになるかどうかが注目されるところです。  二つだけ申し上げておきたいと思います。一つは、同行援護事業の中で、身体介護を伴う、伴わないという、これまでの2類型を廃止し、私たちの生活実態に合う形で、同行援護の実態が私たちの手引きにふさわしい報酬になるよう改定されることを、今お願いしておりまして、これが数字としてはまだ分かりませんが、前進することは間違いないと信じております。さらにもう一つだけこの点で申し上げれば、盲ろう者に対するサービスも同行援護事業の中で行うことになりそうです。このように、一つ一つの制度改正が、報酬改定と結びついて進められますので、私たちの声が、さらに制度に反映するよう、この1年全力を尽くしたいと思います。 年頭所感 副会長 小川(おがわ) 幹雄(みきお)  あけましておめでとうございます。  障害者差別解消法が施行されて2年が経過しようとしています。政府はこの法律の広報、啓発につとめるとのことですが、内閣府の調査ではこの法律を80数%の人が知らないということです。市民に理解されるためにはすべての都道府県と市町村で市民や障害者が参加して障害者差別解消条例を策定することが必要だと思います。そのことによって障害者に対する市民の意識が変わり、各分野での差別が解消されて合理的配慮がなされるようになると思います。条例の策定に向けて運動を進めていきたいと思います。  平成医療学園グループが提訴したあはき法19条を巡る裁判は三つの裁判とも、5回から6回の口答弁論を終えています。この間各裁判とも常に傍聴席を埋めていただき、又はがき陳情、署名活動、募金にも組織をあげて協力していただきましたことに深く感謝を申し上げます。  地方裁判所の判決は年内にもおりるのではないかと思いますが四囲の状況からみて、決して余談を許さないものがあります。国が敗訴すれば視覚障害者の職業的自立、経済的基盤が失われることになります。一致団結し勝訴しなければなりません。引き続きご支援をよろしくお願いします。みなさま方のご多幸をお祈りします。 年頭のご挨拶 副会長 及川(おいかわ) 清隆(きよたか)  謹賀新年。全国の視覚障害者の皆様にはお健やかで初春をお迎えになられたこととお喜び申し上げます。昨年中は公私共々大変お世話になりました。本年も昨年同様ご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。  昨年は、平成医療学園によるあはき19条違憲訴訟対応活動、社会福祉法人制度改革に伴う社会福祉法人改革、鉄道駅ホーム転落事故対応、九州豪雨、台風21号などによる風水害等々、多くの出来事があった1年でした。さまざまな活動にご協力いただいた日盲連加盟団体会員の皆様に心より感謝と御礼を申し上げます。  先に羅列した項目には、大きく、視覚障害者の命と安全と、自然災害の対応等の課題が内在しています。いずれの課題も、進展しているように見えますが、振り返って考えるとわずかしか好転していないように感じるのは私だけでしょうか。  本年の抱負ですが、一つはあはき19条違憲訴訟仙台地裁での国、勝訴支援活動に関係団体と強く連携して歩みたいと考えております。二つ目は、法人改革後の日盲連組織が円滑に機能して、日本の視覚障害者に於ける日々の生活の福祉向上が一歩でも、二歩でも、前進するよう、竹下会長を支えて、微力ではありますが努力させていただきたいと思っています。  結びに、読者の皆様方の、本年のご多幸を祈念申し上げ年頭に当たっての挨拶とさせていただきます。 年頭のご挨拶 副会長 伊藤(いとう) 和男(かずお)  謹んで新春のお慶びを申し上げます。本年もどうぞよろしくお願いいたします。  さて、わが国は久しぶりに好景気が続いていると言います。しかし、政府の宣伝にもかかわらず、私たち庶民はそのように感じていないのが現状です。特に視覚障害者の生活となると、就労はもとより、雇用の実態は最悪と言ってよいようです。  一昨年、いわゆる「障害者差別解消法」が施行され、2014年「障害者権利条約」の批准も行われて、私たち障害当事者は大きな慶びに包まれました。しかし、日々の生活を振り返ると何も変わっていないように感じるのは私だけでしょうか。2020年のオリンピック・パラリンピックに向けた準備の取り組みが進むのは歓迎すべきことですが、やはり庶民は、日々の暮らしが大切です。  あん摩師等法19条違憲訴訟やホーム転落事故等、視覚障害者にとって厳しい社会のあり様を改善するため、今年も日盲連活動を全国の団体一丸となって推進していきましょう。私も、微力ですが、役員の一人として頑張って参ります。よろしくお願いいたします。 --2.日盲連が新春挨拶のため議員会館を訪問  1月10日、日本盲人会連合の会長・副会長・役員が、新年挨拶のため東京・霞が関の衆議院議員会館・参議院議員会館を訪問しました。  日盲連顧問 衛藤(えとう)晟一(せいいち)参議院議員・橋本(はしもと)岳(がく)衆議院議員や日盲連女性協議会顧問の髙階(たかがい)恵美子(えみこ)参議院議員・石田(いしだ)昌宏(まさひろ)参議院議員をはじめとする衆参議員の各事務室を訪ね、昨年一年間の本連合の運動へのご助力について感謝の意を伝えました。  また11日には、竹下会長と三宅(みやけ)隆(たかし)情報部長が厚生労働省の大臣室を訪問し、加藤(かとう)勝信(かつのぶ)厚生労働大臣と面談を行いました。こちらにつきましては、次号(4月発行・第258号)で詳しくご報告する予定です。 --3.日本盲人会連合結成70周年記念第71回全国盲人福祉大会  70周年の節目となる記念の第71回全国盲人福祉大会は、東京・西浅草の浅草ビューホテルと上野公園の東京文化会館を会場に、6月11日(月)から6月13日(水)にかけて開催されます。詳しい情報は、地元の加盟団体にお問い合わせ下さい。 --4.サイトワールド2017開幕3900名が来場!  11月1日から3日にかけて日本最大級の視覚障害者福祉機器展サイトワールド2017が、JR錦糸町駅前にある丸井錦糸町店8・9階すみだ産業会館サンライズホールを会場に開催され、3日間で延べ3900名の方が来場されました。  8階のメーカー出展ブースでは多くの補装具や日常生活用具などが並び、商品を説明するスタッフたちの声に、熱心に聞き入る来場者の姿が散見されました。 --5.日盲連、シンポジウムで補装具・日生具調査事業の中間報告行う!!  社会生活や日常生活など、当事者が自立した生活を送るために必要不可欠な補装具・日常生活用具ですが、制度の周知不足や自治体間で給付品目が異なるなど、多くの不満の声が上がっています。  この現状を改善すべく国に提言を行う際に、論拠となる統計資料の必要性を感じた日盲連は、平成29年度調査事業として「視覚障害者のための日常生活用具と補装具の給付及び貸与の実態調査事業」を実施しています。  そして迎えたサイトワールド最終日、日盲連は本調査事業の中間報告の場として、「視覚障害者のための日常生活用具と補装具の現状と課題に関するシンポジウム」を開催しました。サイトワールド内で補装具・日生具をテーマにしたシンポジウムとあって来場者の関心も高く、当日の参加者は120名にものぼりました。  シンポジウムではどのような報告がされ、どのような議論が交わされたのでしょうか?ダイジェスト編集でお届けします。 中間報告(掲載する数値は中間報告を抜粋したもの) 1.アンケート回答率(現在集計中) 当事者(日盲連会員・JRPS・弱視者問題研究会・盲学校生徒):786件(回答率48.1%) 自治体:984件(回答率56.5%)/販売店:28件(回答率60.9%)/メーカー:26件(回答率57.8%) 回答者の傾向は、60代が3割ともっとも多い。男女比は、6:4。弱視が6割と半数を超える。 2.当事者関係 福祉制度に出会うまでに調査に協力した人の25%が「5年以上かかった」と回答している。 補装具:「情報提供が不十分」が48%。白杖の耐用年数も問題 日生具:「耐用年数」や「対象品目の追加」の要望が多く50%を超える 3.販売店・メーカー関係 (販売店)補装具:部品代の高騰により「上限額に収まらない」が46% (販売店)日生具:「自治体への提出書類の異なりと複雑さ」「耐用年数の長さ」が67%でトップ (メーカー)補装具:部品代の高騰により「製造費を抑えることが困難」が34% (メーカー)日生具:「給付上限額が変更されない」が50% 4.自治体関係 福祉制度について「身体障害者手帳の交付時に本人に説明している」と回答した自治体が70%超。 補装具:職員の定期的な異動のため「知識の習得が困難」が88% 補装具:正しく運用するための「詳細なマニュアルを希望」が65% 日生具:品目・給付上限額・対象など「見直しをしていない」が44%、「どちらともいえない」が38%。また「している」と回答した自治体においても、当事者のニーズ調査については「行っていない」と回答する自治体が80%前後を占めた。 パネルディスカッション  シンポジウムは、パネルディスカッションへと移ります。  コーディネーターに三宅(みやけ)隆(たかし)情報部長、パネリストとして基調報告に続き慶應義塾大学教授の中野(なかの)泰志(やすし)さんが加わります。さらに、補装具・日生具の制度に精通していることからテクノエイド協会の五島(ごしま)清国(きよくに)さんが登壇。また本調査事業の4つの視点(当事者・販売店・メーカー・自治体)を重視し、“当事者”の立場から視覚障がい者ライフサポート機構“viwa”奈良(なら)里紗(りさ)さん、“販売店”の立場から株式会社トラストメディカルの小泉(こいずみ)大介(だいすけ)さん、日盲社協用具部会長・株式会社ラビットの荒川(あらかわ)明宏(あきひろ)さんは“当事者”と“販売店”の立場から発言を行い、メーカーの立場として籠宮(かごみや)純(じゅん)さんを迎え、計5名のパネリストそれぞれの経験から制度の問題点などを指摘しました。  なお、本調査事業は平成29年度内に報告書としてまとめ、日盲連WEBサイトなどで公開する予定です。詳しくは、日盲連組織部団体事務局までお問い合わせください。 【お問い合わせ】日盲連組織部団体事務局  電話:03-3200-0011(代表) FAX:03-3200-7755 E-mail:jim@jfb.j --6.あん摩師等法19条訴訟について  日本盲人会連合では、この度、あん摩師等法19条訴訟についてのパンフレットとちらしを作成しました。内容は、視覚障害者の職業としてのあん摩師等の現状とあん摩師等法19条訴訟についての概要をわかりやすくまとめたものです。 あん摩師等法19条訴訟をご存知ですか?あん摩やはり・きゅうに関する様々な制度(資格、教育、業など)について定めている法律「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律(この紙面では「あん摩師等法」とします)」があります。今この法律の第19条をめぐって裁判が起きています。 《あん摩師等法19条とは》 第十九条第一項 当分の間、文部科学大臣又は厚生労働大臣は、あん摩マッサージ指圧師の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合、あん摩マッサージ指圧師に係る学校又は養成施設において教育し、又は養成している生徒の総数のうちに視覚障害者以外の者が占める割合その他の事情を勘案して、視覚障害者であるあん摩マッサージ指圧師の生計の維持が著しく困難とならないようにするため必要があると認めるときは、あん摩マッサージ指圧師に係る学校又は養成施設で視覚障害者以外の者を教育し、又は養成するものについての第二条第一項の認定又はその生徒の定員の増加についての同条第三項の承認をしないことができる。  学校法人平成医療学園は、平成27年9月、同法人の傘下である福島医療専門学校(福島)、横浜医療専門学校(神奈川)、平成医療学園専門学校(大阪)、宝塚医療大学(兵庫)の4校に「あん摩マッサージ指圧師国家試験の受験資格の得られる養成課程」の新設を国に申請しました。 しかし国は、翌年の2月に医道審議会あはき柔整分科会の審議をふまえ、あん摩師等法19条を理由に同課程の設置申請を却下しましたが、法人側は、これを不服として仙台地裁、東京地裁及び大阪地裁に申請却下処分の取り消しを求める訴訟を提起しました。 訴状には、「法第19条が盛り込まれた昭和39年から50年が経過し視覚障害者を取り巻く雇用環境や生活水準は大きく改善し、あはき以外の道は開けている」「国が新設を認めないのは開設希望者の職業選択の自由を制限している」として憲法第22条第1項違反などを訴えています。  一方、国は視覚障害あんま師の職域優先を図るというあん摩師等法19条の目的は正当であり、制限の範囲及び期間が限定されているため、規制手段も必要かつ合理的なものとして、あん摩師等法19条は憲法22条第1項に違反していないと主張しています。  もし国が敗訴した場合、あん摩マッサージ指圧師を養成する学校の新設ラッシュが起こり、教育の質と養成あん摩師の技能の低下をまねくことが予想されます。ひいては粗悪な業による国民の健康危害が増える危険性をはらんでいます。  また、増え続ける接骨院や無免許業者の影響もあり、結果として、あん摩マッサージ指圧師が増えた分、市場の競争が激化し、競争力の乏しい視覚障害者の経営は一段と厳しさを増すことが懸念されます。 日盲連は、この運動を視覚障害関係団体の結集によって「オール視覚障害者」の体制で運動を進めています。これからも、幅広い運動によってこの訴訟の不当性、視覚障害あん摩師が置かれた現状を力強く訴えていきたいと思います。この取り組みに対し多くの皆さんに賛同していただき、署名、葉書活動にご協力いただきますようをお願い申し上げます。 --7.ご寄付のお願いについて  日本盲人会連合は視覚障害者自身の手で、<自立と社会参加>を実現しようと組織された視覚障害者の全国組織です。  1948年(昭和23年)に全国の視覚障害者団体(現在は、都道府県・政令指定都市61団体が加盟)で結成され、国や地方自治体の視覚障害者政策の立案・決定に際し、当事者のニーズを反映させるため、陳情や要求運動を行っています。 活動内容は多岐にわたりますが、そのために必要な経費の確保は、厳しい財政の中困難を極めています。 視覚障害者福祉の向上を目指し、組織的な活動を維持していくため、皆様からの特段のご厚志を賜りますよう、何とぞ宜しくお願い申し上げます。 ■ゆうちょ銀行 記号番号 00160-5-536104 加入者名 社会福祉法人日本盲人会連合 ■みずほ銀行 店名 高田馬場支店 預金種目 普通  口座番号 2868101 カナ氏名(受取人名)フク)ニホンモウジンカイレンゴウ ※領収証が必要な方、本連合が振り込み手数料を負担する専用の振込用紙をご希望の方は、日本盲人会連合までご連絡ください。(電話:03-3200-0011) --8.奥付 愛盲時報 平成30年01月25日(木)第257号 ※この愛盲時報は鉄道弘済会の不動産賃貸事業などの益金等、日本盲人福祉委員会の愛盲シール維持会費の中から贈られた寄付金などで作られたものです。 発行所:社会福祉法人 日本盲人会連合  〒169-8664東京都新宿区西早稲田2-18-2 発行人:竹下 義樹 / 編集人:三宅 隆 電話:03-3200-0011/FAX:03-3200-7755 URL:http://nichimou.org/ Eメール:jouhou@jfb.jp(情報部) 以上で、愛盲時報 平成30年01月25日(木)第257号を終わります。