愛盲時報 平成29年7月25日(火)第255号 目次  1.ー日盲連結成70年を迎えてー 70周年記念大会に向けて結束強める  2.【コラム】映画は広い世界を生きている~映画『光』、音声ガイドの世界を照らす~  3.日盲連点字図書館からのお知らせ  4.日盲連用具購買所からのお知らせ  5.ご寄付のお願いについて  6.奥付  *見出しの頭には「--(半角で2つ)」の記号が挿入されているので、検索機能を使って頭出しをする際にご利用下さい。  また検索の際、目次でご紹介した数字を続けて半角で入力すると、その項目に直接移動することができます。  (例)1をご希望のときは、「--1(すべて半角)」と入力。 (以下、本文) --1.ー日盲連結成70年を迎えてー 70周年記念大会に向けて結束強める 大会式典1500名が参加、盛大に開かる  5月26日から28日の3日間にわたり、徳島県において第70回全国盲人福祉大会が開催されました。  最終日の会場となった徳島市のアスティとくしま(徳島県立産業観光交流センター)には、 全国から視覚障害者ならびに関係者約1500名が参集し、式典と議事が執り行われました。  第1部の式典では、(公財)徳島県視覚障害者連合会 久米清美会長が歓迎の挨拶で、 日本盲人会連合 初代会長の岩橋武夫氏とヘレン・ケラー女史の交流が 現在の身体障害者福祉法の制定につながったことにふれると、 続く主催者挨拶では日盲連 竹下義樹会長が身体障害者福祉法に基づく障害認定基準を 約70年ぶりに改定しようとする動きがあり、国際基準に合わせ両眼の視力の和から良い方を基準にして 認定する方向で議論が進められていることを報告しました。  両会長挨拶の後、日盲連顕彰等被表彰者に表彰状・感謝状が贈られました。また、来賓から祝辞が述べられたほか、 多くの関係者から寄せられた祝電が紹介、一部が披露されました。 ※日盲連顕彰等被表彰者氏名(敬称略・順不同でご紹介します) 【村谷昌弘福祉賞】 久米清美(徳島県) 【礎賞】組織功労  中本満(福井県)/ 玄場義明(岡山県)/ 松岡弘(高知県) 【青い鳥賞】髙橋秀信(仙台市) 【光の泉賞】内助等功労  吉田直子(北海道)/ 坂場けい子(茨城県)/ 八代保子(相模原市)/ 後石原シノブ(石川県)/  生川やす子(三重県)/ 宮本員代(和歌山県)/ 池田シトミ(愛媛県)/ 友安はるみ(福岡市)/ 坂本良子(長崎県) 【光の泉賞】福祉貢献 相馬フミ(青森県)/ 前岡佳子(岡山県) 【永年勤続表彰】 安楽英樹(日盲連・東京都) 【感謝状】 公益財団法人 徳島県視覚障害者連合会  第2部の大会議事では、平成28年度決議処理報告、平成29年度運動方針を執行部の原案通り全会一致で可決。 さらに宣言・決議も全会一致で採択されました。  最後に、徳島県視覚障害者連合会 石山清美監事より閉会が宣言された後、 万歳三唱し、3日間にわたる大会は幕を閉じました。  なお、来年開催される第71回全国盲人福祉大会(日盲連結成70周年記念大会)は、 東京都台東区の東京文化会館で開催されます。 運動方針定まる~竹下会長の提案から~  平成29年度運動方針の提案で、登壇した竹下会長が述べた要点は以下の通りです。 第1 地域生活における安心安全の確保  「安全対策は永久の課題。歩行訓練をいつでも、どこでも、誰でも受けられるようにする。 同行援護を定着させるため、報酬改定にあたっては全国の事業所が成り立つ、 ヘルパーが確保できるよう体制づくりに全力を尽くす」 第2 情報保障と合理的配慮  「合理的配慮がどこまで進んだのか、確かめることが必要。点訳・音訳・代読・代筆の拡大。 読書バリアフリー法を形にしていきたい」 第3 職業的自立  「あはき19条をめぐる裁判は、私たちの職業的な自立を奪いかねない。私たちの仕事は、鍼灸マッサージが中心である。 裁判で伝えなければならない。一般職への進出が前進しないのはなぜか追求するとともに、 中途失明者が職場から追い出されることのない体制を作りたい」 第4 スポーツ・文化・芸術活動の促進  「2020年の東京オリパラにむけたスポーツの裾野の広がり、文化面での取り組みが必要」 第5 主な階層別(カテゴリー)の活動  「(中途失明者がさらに増えること、弱視者が視覚障害者の9割を占めることから) 中途失明者・弱視者に対する柱立てなくして、日盲連の前進はない」 第6 組織活動  「財政規模が小さくなっている。組織を支えていく財政課題が突きつけられている。結成70周年記念大会にむけ、 都盲協(公益社団法人 東京都盲人福祉協会)の笹川吉彦会長の協力を頂きながら、この一年全力で取り組みたい」 常務理事に後藤英信氏を迎える  大会初日の26日に執り行われた理事会では、役員の選任が行われました。 竹下会長をはじめ、小川幹雄副会長・及川清隆副会長・伊藤和男副会長、そして橋井正喜常務理事が続投、 そして空席となっていた常務理事1名には、後藤英信氏が選ばれました。 『一意専心の覚悟で』 常務理事 後藤英信 挨拶  この度、5月26日の第2回理事会におきまして、日本盲人会連合の常務理事に就任しました後藤英信と申します。  定年退職を迎えるまで37年間、全国の視力障害センターで視覚に障害がある方々の自立や社会 参加に向けての訓練や相談等に携わっておりましたが、この伝統ある日盲連で勤務することになり、 強い「縁(えにし)」があることを感じております。  日々不慣れな業務に悪戦苦闘中ですが、皆様のご指導とご鞭撻を頂けますよう宜しくお願いいたします。 関係府省庁に陳情を行う  日本盲人会連合は、第70回全国盲人福祉大会で採択された要望事項をまとめ、 6月30日に関係府省庁等に一斉陳情を行いました。全文は日盲連のWEBサイト(URL:http://nichimou.org/)に掲載しています。 --2.【コラム】映画は広い世界を生きている~映画『光』、音声ガイドの世界を照らす~ キャスト・ストーリー -やがて見えなくなるあなたが沢山のものを見せてくれた-  監督・脚本: 河瀨直美  主演:永瀬正敏 水崎綾女  製作:『光』製作委員会  配給:キノフィルムズ  映画の音声ガイドの制作に関わる尾崎美佐子(水崎綾女)は、 視覚障害者を迎えてのモニター上映会で弱視の男性 中森雅哉(永瀬正敏)と出会います。  かつては天才カメラマンと称賛を浴びていた雅哉は、愛機のローライフレックスを大切に抱え、 ファインダーを覗き込みシャッターを切ります。わずかに残った視力を頼りに。  出会った当初は雅哉の無愛想な態度に苛立つ美佐子でしたが、彼が過去に撮影した夕日の写真を見て心を突き動かされます。  衝突を繰り返しながらも歩み寄る二人、しかし雅哉の目は少しずつ、そして確実に光を失っていきます。  言葉でイメージを伝えるということは、どういうことなのか。雅哉と過ごす時間の中で、美佐子の何かが変わりはじめます。 河瀨監督と音声ガイド  河瀨直美監督の最新作『光』が、5月27日(土)より全国の劇場で上映されています。 カンヌ国際映画祭で高い評価を得たという前評判と関心の高さとが相まって、 すでに劇場に足を運ばれた方も多いのではないでしょうか。  コラムのタイトルは、本作に出演されているバリアフリー映画鑑賞推進団体シティ・ライツ会員で 全盲の田中正子さんの台詞から拝借しました。  視覚障害者は映画をどのように観ているのかについて、 田中さんは「いつの間にか映画の世界にいて、同じ空気を吸っている」と、とても綺麗に表現しています。 そして音声ガイドについては、「大きな世界を、言葉が小さくしてしまうほど残念なことはない」と 質の重要性を訴えています。  そう、映画『光』は映画の音声ガイドにフォーカスをあてた作品です。ガイドの制作過程で、 言葉でイメージを伝えることの難しさに行き詰まる女性と、 世間に評価されながらも失われていく視力に苦悩するカメラマンの姿が描かれています。  今作が誕生したきっかけとして河瀨監督は、前作『あん』で音声ガイド用の原稿を読む機会があり、 映画に真摯に向き合う制作者たちの姿に感銘を受けたためと述べています。 永瀬正敏さん、役を生きる  「今回のガイド、今のままなら邪魔なだけです」  当事者を迎えてのモニター上映会で、水崎綾女さん演じる美佐子と永瀬正敏さん演じる雅哉が出会う場面です。  永瀬さんが河瀨監督の作品に出演するのは、前作に続き2度目です。 河瀨監督の現場は、演じるのではなく役を生きるという独特なもので、永瀬さんは慣れるのに時間がかかったと笑います。  今作では、弱視という難しい役に挑戦した永瀬さん。撮影の前に徹底的な役作りを行いました。複数の当事者から話を聞き、 嘘偽ることなくそのまま役に投影したため、雅哉について「多くの人に作ってもらった」という意識を強く持っているようです。  それでは、失明するカメラマンの姿を通して河瀨監督は何を伝えようとしたのでしょうか。  『光』-映画のタイトルですが、ここにヒントがありそうです。 とてもシンプルですが、河瀨監督は「勇気を出してつけた」と容易な決断ではなかったと述懐しました。 永瀬さんは「失わざるをえなかった、それでも抱えていた闇を捨てたとき、 光はそばにあるのだということを描きたかったのだと思う」と、監督の胸の内を推し量ります。  ラストを飾る≪光≫。漢字一文字で、これほど強く観客の胸を打つ言葉が他にあるでしょうか。 これから映画をご覧になる皆様は、ぜひエンドクレジットまでお付き合い頂き、その余韻に浸ってみてください。 詳しくは公式WEBサイトでご確認ください! 映画『光』公式WEBサイト http://hikari-movie.com/  ※本作品は、スマートフォンなどからイヤホンを通して音声ガイドを聞くことができる無料アプリ「UDCast」に対応しています。 UDCastについて、詳しくは http://udcast.net/をご覧ください。 --3.日盲連点字図書館からのお知らせ ■「桜井政太郎」顕彰記念誌が寄贈されました  4月26日、社会福祉法人 岩手県視覚障害者福祉協会 及川清隆理事長(日本盲人会連合副会長)が 日本盲人福祉センターを訪れ、日盲連点字図書館に「桜井政太郎」顕彰記念誌を寄贈、 その寄贈式が会長室で行われました。  この記念誌は本年2月に一周忌を迎えた桜井政太郎氏の偉業と、その功績を全国および後世に伝えるべく製作されたもので、 及川理事長は「(日盲連の)点字図書館に視覚障害者の情報を集積し、末永く活用して頂きたい」と述べました。  また、今回の寄贈をうけ、日盲連点字図書館 清水智子館長は「貴重な資料をご寄贈頂き感謝しています。 蔵書として、有効に活用させて頂きます」と感謝の意を表しました。 ■点訳ボランティア養成講習会のご案内 平成29年度 東京都専門点訳奉仕員養成講習会受講者募集  日盲連では、東京都委託による「専門点訳奉仕員養成講習会」を実施しています。 点訳の経験があり関心をお持ちの方はもちろんのこと、お知り合いのボランティアなど関係する方々にぜひご案内ください。 対象:点訳の知識と経験があり、受講後、都内で活動できる方。 期間:平成29年10月4日~平成30年3月7日 英語コース 水曜日の9時30分~11時30分 理数コース 木曜日の14時~16時 楽譜コース 水曜日の13時30分~15時30分 定員:各コース10名 / 回数:全10回 申込書請求方法:8月1日~9月8日(必着)に希望コース名を明記した用紙と住所・氏名を記入し、 92円切手を貼った返信用封筒を同封の上、当館へご郵送ください。申し込み時に課題提出と、来館による試験があります。 【お申し込み・お問い合わせ】 〒169-8664 東京都新宿区西早稲田2-18-2  日盲連点字図書館講習会担当  電話:03-3200-6160(直通)  ※詳細は、日盲連WEBサイトをご覧ください。URL http://nichimou.org/ --4.日盲連用具購買所からのお知らせ  日盲連用具購買所発行の「平成29年度版 視覚障害者のための商品カタログ」の点字版・デイジーCD版が完成しました。 ご希望の方にお送りいたします。詳しくは、日盲連用具購買所までお問い合わせください。  ※カタログ完成以後に取り扱いを開始した商品につきましては、日盲連WEBサイトで詳しくご紹介しています。  【お申し込み・お問い合わせ】  電話:03-3200-6422(直通) FAX:03-3200-6428  Eメール:お問い合わせ用 yogu-toi@jfb.jp ご注文用 yogu-c@jfb.jp --5.ご寄付のお願いについて  日本盲人会連合は視覚障害者自身の手で、<自立と社会参加>を実現しようと組織された視覚障害者の全国組織です。  1948年(昭和23年)に全国の視覚障害者団体(現在は、都道府県・政令指定都市61団体が加盟)で結成され、 国や地方自治体の視覚障害者政策の立案・決定に際し、当事者のニーズを反映させるため、陳情や要求運動を行っています。 活動内容は多岐にわたりますが、そのために必要な経費の確保は、厳しい財政の中困難を極めています。 視覚障害者福祉の向上を目指し、組織的な活動を維持していくため、皆様からの特段のご厚志を賜りますよう、 何とぞ宜しくお願い申し上げます。 ■ゆうちょ銀行 記号番号 00160-5-536104 加入者名 社会福祉法人日本盲人会連合 ■みずほ銀行 店名 高田馬場支店 預金種目 普通  口座番号 2868101 カナ氏名(受取人名)フク)ニホンモウジンカイレンゴウ ※領収証が必要な方、本連合が振り込み手数料を負担する専用の振込用紙をご希望の方は、日本盲人会連合までご連絡ください。 (電話:03-3200-0011) --6.奥付 愛盲時報 平成29年7月25日(火)第255号 ※この愛盲時報は鉄道弘済会の不動産賃貸事業などの益金等、 日本盲人福祉委員会の愛盲シール維持会費の中から贈られた寄付金などで作られたものです。 発行所:社会福祉法人 日本盲人会連合  〒169-8664東京都新宿区西早稲田2-18-2 発行人:竹下 義樹 / 編集人:三宅 隆 電話:03-3200-0011/FAX:03-3200-7755 URL:http://nichimou.org/ Eメール:jouhou@jfb.jp(情報部) 以上で、愛盲時報 平成29年7月25日(火)第255号を終わります。