平成28年10月5日 自由民主党 ユニバーサル社会推進議員連盟 各省庁からの回答について 要望1.鉄道駅の安全について 要望(1) 全ての鉄道駅の安全点検を行い、ホームドアについては既に計画のある駅に対しての前倒し設置と危険な駅への早期の設置を要望します。併せて当面の措置として、危険箇所の早期改善を要望します。 (回答:国土交通省鉄道局技術企画課、都市鉄道政策課) ○ ホームドアは、列車との接触・ホームからの転落防止のための設備として非常に効果が高く、その整備を推進していくことが重要であると認識しております。 ○ −方で、ホームの補強などを含む高額の費用(1ホームあたり数億〜10数億円)がかかることや、車両により扉の位置が異なっているなどの技術的な課題があります。 ○ このため、利用者数が1日あたり10万人以上などの駅について優先的に整備をすることとして、整備費用に対する助成を行うとともに、新たなタイプのホームドアの技術開発の支援も行うことにより、ホームドアの整備促進に取り組んでいるところです。 ○ 昨年2月に閣議決定された交通政策基本計画において、ホームドアの設置駅数を平成32年度に800駅とする目標を設定しており、平成27年度末現在、全国665駅(うち10万人以上駅については77駅/251駅)にホームドアが設置されております。 ○ 引き続き、必要な支援を行うことにより、ホームドアの整備促進に取り組んで参ります。 ○ 日本盲人会連合が行った「危険と思われる東京都内の駅ホーム実態調査アンケート集計」で対象とされた55駅については、調査を行っているところです。 ○ 国土交通省としましては、8月26日に設置した「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」で、ハード・ソフト両面からの対策の検討を行っているところです。視覚障害者の方の意見を聴取し、より効果的な対策のあり方について、検討会 で議論を深めてまいりたいと考えております。 要望(2) ホームドアの設置については、国、地方自治体、鉄道事業者の三者の計画が出揃うことで初めて着工可能となるため、思うように設置促進できないという課題があります。そのため、立法措置を含め、設置の障壁を取り除く施策の確立を要望します。 (回答:国土交通省鉄道局都市鉄道政策課) ○ バリアフリーの推進については、我が国全体の課題であり、社会全体で負担を分かち合うという観点から、国、地方公共団体、事業者の三者が連携して、いわば三位一休となって取り組んでいるところです。 ○ この考え方のもと、ホームドアなどバリアフリー設備の整備に対する補助事業においても、三者が1/3ずつ費用負担をすることを原則としており、今後とも、国土交通省として、所要の予算の確保を図り、地方公共団体や鉄道事業者との連 携のもとで整備を進めていきたいと考えております。 ○ 三者の計画が出揃わないことについては、こうした三位一体の考え方や個別・具体の事業の必要性について、国土交通省としても、関係者(関係地方公共団体)の理解と協力が得られるように、十分な説明を行うなど三者間の連携を強化し、ホームドア設置の支障とならないように努めて参ります。 要望(3) 駅の安全確保のためにはホームドアの設置のみならず、エスカレータと階段への誘導ブロックの設置、誘導音装置の設置などの安全対策を早期に実施いただくよう要望します。また、弱視者が視認可能となるよう、壁、柱、床面のコントラスト、照明などの改善も併せて実施することを要望します。 (回答:国土交通省鉄道局技術企画課、都市鉄道政策課) ○ 視覚障害者の方をはじめ、全ての旅客にとって、鉄道駅を安全にご利用いただける環境を整備することは、大変重要な課題だと考えております。 ○ このため、国土交通省では誘導ブロックや誘導音装置の設置についても助成を行っております。 ○ なお、エスカレーターへの誘導ブロックの設置については、エスカレーター降り口に対して、逆進入を防ぐための誘導方法等の安全上の課題があると認識しており、そのため、移動円滑化基準に「行き先及び昇降方向を音声により知らせる設備 を設けなければならない」と規定しエスカレーターへの音声案内を普及することとしています。 ○ 壁、柱、床面のコントラストについては、バリアフリー整備ガイドラインにおいて「ロービジョン(弱視)者が柱を認識できるよう、柱の色あるいは柱の下端部の色はプラットホーム床面と色の明度、色相又は彩度の差(輝度コントラスト)を確保する。」等と示しています。 ○ 照明については、同ガイドラインにおいて「プラットホームの両端部まで、高齢者やロービジョン(弱視)者等の円滑な乗降のため、採光や照度に配慮して照明設備を設置する。」等と示しています。引き続き、バリアフリー整備ガイドラインを踏まえ、適切に対応して参ります。 要望(4) 全ての駅に安全監視員の配置を要望します。 (回答:国土交通省鉄道局鉄道サービス政策室) ○ ホームドア未整備駅において視覚障害者の安全を確保するうえで、駅員や警備員が果たす役割については認識しております。 ○ 駅員や警備員の増配置については、その効果や実現可能性を含めて「駅ホームにおける安全性向上のための検討会」において鉄道事業者と検討して参りたいと考えております。 ○ また、同検討会においては、希望者への駅員や警備員によるアテンド、危険時において視覚障害者の方に明確に気づいていただけるような声かけの研究、また盲導犬を同伴する視覚障害者への接遇の改善などについても検討して参りたいと考えております。 要望2.移動のバリアフリーについて 要望(1) 視覚障害者の安全な移動を確保するため、視覚障害者用誘導ブロック、エスコートゾーン、歩車分離式信号機、音響式信号機、LED信号機のさらなる設置を要望するとともに、室内用誘導ブロックの敷設の促進を要望します。 (回答:警察庁交通局交通規制課)  エスコートゾーン、歩車分離式信号機等の整備については、市町村が定める重点整備地区における、駅、役所、病院等を結ぶ主要な生活関連経路を中心に実施していますが、警察庁としては、視覚障害者の方々が、安全かつ円滑に移動できる環境の整備が重要と考えており、今後も継続してエスコートゾーン、歩車分離式信号機等の整備の取組を推進していきます。 (回答:国土交通省道路局環境安全課) ○ 視覚障害者誘導用ブロックの設置に関しては、「道路の移動円滑化基準(国の省令)や自治体の条例」に基づき、「視覚障害者誘導用ブロック設置指針」(昭和60年都市局街路課長、道路局企画課長通達)等を参考に個々の道路管理者が対応しているところです。 ○ 国土交通省としては、駅や視覚障害者の利用が多い施設を結ぶ道路等において、利便性の向上を図るため、視覚障害者の歩行上必要な箇所に視覚障害者誘導用ブロックを設置して参ります。 <参考> 移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する基準を定める省令 (平成18年12月19日国土交通省令第百十六号) (視覚障害者誘専用ブロック) 第三十四条 歩道等、立体横断施設の通路、乗合自動車停留所、路面電車停留場の乗降場及び自動車駐車場の通路には、視覚障害者の移動等円滑化のために必要であると認められる箇所に、視覚障害者誘導用ブロックを敷設するものとする。 視覚障害者誘導用ブロック設置指針 (昭和60年8月21日 都市局街路課長、道路局企画課長通達) 第2章 設置計画 2−2 設置対象道路 視覚障害者の歩行が多い道路、公共交通機関の駅等と視覚障害者の利用が多い施設とを結ぶ道路等には、必要に応じて視覚障害者誘導用ブロックを設置するものとする。 2−3 設置方法 2−3−1 基本的な考え方 視覚障害者誘導用ブロックは、視覚障害者の利便性の向上を図るために、視覚障害者の歩行上必要な箇所に、現地での確認が容易で、しかも覚えやすい方法で設置するものとする。 要望(2) 弱視(ロービジョン)者のために公共施設や交通機関の照明、表示、サインを見やすくするよう要望します。 (回答:国土交通省総合政策局安心生活政策課) ○ 現在、建築物に係る建築設計標準、交通機関に係るバリアフリー整備ガイドラインでは、照明、表示、サインの統一的なあり方について定めております。 ○ 具体的には、弱視者のためにサインに用いる文字の大きさ、色のコントラスト、表示位置、照明の反射により見にくくならないよう配慮することなどを盛り込んでいるところです。 ○ 国土交通省においては、本年度から、交通機関に係る移動等円滑化基準・バリアフリー整備ガイドラインを見直すための検討を進めることとしておりますが、その際には、これまでに得られた知見も踏まえ、弱視者のための施策についても検討したいと考えております。 要望(3) 自動車の安全対策については、視覚障害者に対する静音対策の実現と、全ての自動車に車両接近通報装置の搭載を要望します。特に、車両接近通報装置については、既に搭載されている自動車でも運転手が意図的にスイッチを切り、視覚障害者が被害にあった事故が発生したことから、このスイッチを意図的に切れない構造にすることを要望します。 (回答:国土交通省自動車局技術政策課) ○ ハイブリッド車や電気自動車等の車両接近通報装置の義務化については、日本が国連における国際基準の策定に関する議論を主導してきたところ、本基準は本年3月に採択され、本年10月上旬の発効が予定されております。 ○ 国土交通省としては、国際基準の発効にあわせ、平成30年3月以降に販売される新型車より車両接近通報装置を義務付ける法令を公布することとしております。 ○ また、ご指摘の車両接近通報装置の作動を停止させるスイッチについては、その設置を禁止する旨、本法令において規定する予定です。 <参考> ・ハイブリッド車や電気自動車等は、低速時の走行音が小さいため、視覚障害者の方を含む歩行者が車両の接近に気付くことができず危険であることが指摘されています。 ・そのため、国土交通省では、学識経験者、視覚障害者団体、自動車メーカー等からなる「ハイブリッド車等の静音性に関する対策検討委員会」の結果を踏まえて、平成22年1月に「ハイブリッド車等の静音性に関する対策のガイドライン」を世界に先駆けて策定しました。 ・本ガイドラインに基づき、現在国内販売されている新車のハイブリッド車等には、車両の接近を歩行者に知らせる車両接近通報装置が標準装備されております。 要望3 障害者施設の利用について 要望(1) 全ての障害者施設が利用者にとって安全で安心して暮らせ、地域に開かれた施設となるよう施策の確立を要望します。 (回答:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課) 1 障害者施設の運営に当たっては、厚生労働省令において、「地域住民又はその自発的な活動等との連携や協力を行う等の地域との交流に努めなければならない」とされています。 2 また、「相模原市の障害者支援施設における事件の検証及び再発防止策検討チーム」等の議論を踏まえ、先般、「社会福祉施設等における防犯に係る安全の確保について」の通知を全国に発出しましたが、その中で「地域と一体となった開かれた社会福祉施設等となることと、防犯に係る安全確保がなされた社会福祉施設等となることの両立を図るためには、当該施設の防犯設備による補完・強化はもとより、日頃から利用者が地域に出て活動し、ボランティア、地域住民、関係機関・団体等と顔の見える関係づくりをして、一人ひとりの存在を知ってもらうことが極めて重要である」旨、改めて周知しております。 3 今後とも引き続き、障害者支施設が地域に開かれた施設となるよう取り組んでまいります。 要望4.障害者の被災対策について 要望(1) 災害時の人的支援について再度検討をいただき、被災した視覚障害者の早期の生活再建が可能となるよう要望します。 (回答:厚生労働省障害保健福祉部企画課自立支援振興室) 1 災害時の視覚障害者への支援については、事務連絡や全国会議等の機会を通じ、各自治体に対して、障害者が災害により被災した場合の対応について、災害に備えて関係団体や施設と連携を図る等の取組をお願いしてきているところです。また、災害発生直後にも、被災自治体に対し、被災した障害者に対しての障害特性を踏まえた配慮等の例を情報提供する等の対応を行っております。 2 今後も、内閣府とも連携の上、取組を推進してまいります。 (回答:内閣府政策統括官 防災担当)  本年4月に熊本と大分で発生した巨大地震では、視覚障害者が避難所に避難し続けるための条件が整わない、二次難所としての福祉避難所の絶対数が足りないなどの多くの課題が明らかになりました。 1.障害者などの一般の避難所での生活が困難な方々に対する福祉避難所の確保は重要であり、そのために、このたびの地震に際しても、福祉避難所の確保や運営に関するガイドラインを公表したほか、被災自治体に対し、福祉避難所の設置について、社会福祉施設等との協定書の参考例なども併せて文書等で周知して、その確保を促してきました。 2.また、二次避難所としてホテルや旅館も活用できることとするほか、一般の避難所内に設けられる福祉避難スペースの設置についても呼びかけて、これらに係る費用は災害救助法による国庫負担の対象としてきました。 3.現在、このたびの地震に関する初動の検証を行っているところですが、これらの検証を進めて行く中で、対応が不十分であったとされる点については、地方自治体において適切な対応が図られるよう、対応策について検討の上、担当者会議の場などにおいて情報共有を図ることで、福祉避難所の設置を促してまいります。 要望5 障害者差別解消法について 要望(1) 視覚障害者に向けた環境整備の徹底を要望します。 (回答:内閣府政策統括官(共生社会政策担当)付障害者施策担当)  個々の障害者に対して行われる合理的配慮を的確に行うためには、環境の整備を行うための施策と連携しながら進められることが重要であり、平成25年9月に閣議決定した「障害者基本計画(第3次)」において、分野別施策の基本的方向に「公共的施設等のバリアフリー化の推進」「情報通信における情報アクセシビリティの向上」「意思疎通の支援の充実」等の施策を盛り込んだところ。  この基本計画を踏まえ、関係省庁において、環境の整備に関する施策を着実に進めているところ。 (回答:国土交通省総合政策局安心生活政策課、土地・建設産業局不動産業課) ○ 国土交通省では、障害者差別解消法の施行にあたり、昨年11月、職員が適切に対応するために必要な事項を定めた「対応要領」、所管事業者における具体的取組に資するための一般的な考え方を示した「対応指針」を定めています。 ○ この「対応指針」においては、障害を理由とする不当な差別的取扱い及び合理的配慮の基本的考え方を示すとともに、所管する主要9事業(※)における具体例を記載しています。 (※)主要9事業:不動産業関係、設計等業関係、鉄道事業関係、一般乗合旅客自動車運送業関係、一般乗用旅客自動車運送業関係、対外旅客定期航路事業関係、国内旅客船某関係、航空運送業関係、旅行業関係 ○ 例えば、視覚障害者が適切に不動産取引を行えるよう、宅地建物取引業者が積極的に提供を行うべき事例として、「障害者の求めに応じて、文章を読み上げたり、書類の作成時に書きやすいように手を添える」といった例を記載しているところで す。 ○差別解消法の附則においては、施行から3年後に施行状況を検討し、必要に応じて所要の見直しを行うとされており、国土交通省としても、引き続き事例の収集に努めて参ります。 要望(2) コミュニケーション保障の観点から、行政手続き、金融機関などでの契約において代読・代筆を可能とできるよう、引き続き特段の配慮を要望します。 (回答:なし) 要望(3) 公務員である視覚障害者が、国民に対して「合理的配慮」を提供するために必要な情報提供などの配慮を要望します。 (回答:なし) 要望6 障害者総合支援法について 要望(1) 点訳者・音訳者育成事業を都道府県の必須事業に位置付けられるよう、環境を整備いただき、早期の必須事業化を要望します。 (回答:厚生労働省障害保健福祉部企画課自立支援振興室) 1 地方自治体が地域の実情や障害者のニーズに応じて実施する地域生活支援事業において、都道府県及び市町村は、奉仕員養成研修事業として点訳・音訳者の養成事業を実施することができます。当該事業の実施については、全国会議等の機会を通じて周知を図っているところであり、今後も事業の周知に努めてまいります。 2 また、社会保障審議会障害者部会の報告書で、各障害種別の専門性を高めるとともに、司法、医療等の専門分野への対応を図るための指導者養成を強化すべきとされたことを受け、必要な研修の内容の検証など今後の対応について検討してまいります。 要望(2) 各都道府県に生活訓練士・歩行訓練士の最低配置基準を創設いただくよう要望します。 (回答:厚生労働省障害保健福祉部企画課自立支援振興室、施設管理室、障害福祉課) 1 視覚障害者が地域で生活をする上で、必要に応じて生活・歩行訓練を受けられることは重要であると考えています。 2 このため、障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスのうち、身体障害者の身体機能・生活能力の維持、向上等を図る訓練を行う「機能訓練」に視覚障害者の生活訓練や歩行訓練を行う事業を位置付け、事業所の整備に対する補助や、運営費の国庫負担により必要なサービスが受けられるよう、基盤の整備に努めているところです。なお、市町村では、障害者等に対して日常生活上必要な訓練・指導等を行う事業を地域生活支援事業により実施しています。 ※自立訓練(機能訓練)事業所数177事業所(平成28年5月時点) 3 また、視覚障害者に対する生活訓練等を行う者の養成については、国立障害者リハビリテーションセンター及び社会福祉法人日本ライトハウス(委託実施)において実施しているところです。 要望(3) 同行援護事業の報酬について、現在の「身体介護有り」と「身体介護無し」の区分を一本化し、報酬の見直しを行うことを要望します。 (回答:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課) 1 同行援護の報酬については、平成27年度障害福祉サービス等報酬改定検討チームにおいて、公開の場で検討を行ったところですが、 @ 利用者の多くが「身体介護なし」の単価が算定されていること、 A 一方で、利用者の高齢化に伴い、今後「身体介護あり」に移行していくことが想定されること などから、単価の一本化等については「利用実態と合わせて検討していくべき」とのご意見等があったことも踏まえ、今回の改定において行わなかったところです。 2 御要望の点については今後の課題として受け止めておりますので、関係者の御意見も踏まえながら次期報酬改定において検討してまいります。 要望(4) 視覚障害の特性を踏まえた障害支援区分については、障害者権利条約の原理と原則である障害者の「自主選択権」「自主決定権」を原則とした視点に基づき、障害支援区分の改正を要望します。 (回答:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部精神・障害保健課) 1 障害支援区分については、障害者が必要とする支援の量を客観的に示す指標として平成26年4月から導入され、認定は全国一律の判定式による一次判定と、有識者からなる市町村審査会による二次判定を経て行うこととしています。 2 必要な支援の量を適切に判定するためには、障害ごとの特性を判定プロセスにおいて適切に反映することが重要であるため、当該区分の導入に際して、 ・ 調査項目「視力」の選択肢に「全く見えない」を追加する等の、選択肢の見直し ・「できる場合とできない場合がある」とする項目について、「できない場合」を想定して評価する等の、判断基準の見直し 等を行っています。 3 なお、実際の審査判定においては、障害ごとの特性を認定調査員や審査会委員が理解することが重要です。視覚障害者が必要とする支援の量が適切に評価されるよう、例えば、障害種別ごとの特性についての講義の実施といった取組を都道府県に広げる等により、今後も認定調査員や審査会委員に対して適切な教育が実施されるよう努めていきます。 要望(5) 65歳以上の障害者に対する福祉サービスについては、介護保険制度への移行に伴う負担増に対し一定の軽減措置が図られましたが、不十分な内容のため、更なる改善を要望します。また、65歳以降に視覚障害になった場合、一部の障害福祉サービスが受けられないことについては、早期の解決を要望します。 (回答:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課) 1 今般の見直しは、高齢の障害のある方による介護保険サービスの円滑な利用を促進するため、介護保険制度では、高齢者の方に利用者負担をしていただいていることとの公平性等にも留意しつつ、これまで障害福祉サービスを利用してきた障害のある方が、その障害福祉サービスに相当する介護保険サービスを利用する場合、その負担軽減を行うものです。 2 対象者の要件については政令で定めることとなっているため、今後詳細を検討してまいります。 3 なお、65歳以降は原則として介護保険サービスを利用していただくことになりますが、 @ 介護保険サービスに相当するものがない障害福祉サービス固有のサービスと認められるものを利用する場合、 A 市町村が適当と認める支給量が介護保険サービスのみによって確保することができないと認められる場合 には、障害者総合支援法に基づくサービスを受けることも可能となっています。 要望(6) 補装具と日常生活用具の給付においては、地域間格差を解消するために、品目や耐用年数の指定を国において一定の指針を示すとともに、自治体職員の教育を充実させ、当事者のニーズに合った支給が実現されることを要望します。 (回答:厚生労働省障害保健福祉部自立支援振興室) 1 地域生活支援事業である日常生活用具給付等事業については、実施主体である各市町村において自ら創意工夫し、地域の実情に応じて柔軟な形態で効果的な事業展開が可能な制度となっております。 2 そのため、品目のみならず給付上限額や対象範囲についても、自治体において、他の障害、製品とのバランスや必要性などを勘案し、地域の実情に応じて設置することが可能です。 3 なお、補装具については、品目や耐用年数等が定められているとともに、取扱指針を通知(部長通知)によりお示ししているところです。 要望7 弱視(ロービジョン)者対策について 要望(1) 各地の医療機関及び訓練施設においてロービジョンケアが実施されることを要望します。 (回答:厚生労働省障害保健福祉部企画課自立支援振興室、施設管理室、障害福祉課) 1 ロービジョンケアが、具体的にどのような対象者に対するどのような支援を想定されているのか不明ですが、視覚障害者に対しては、以下の支援を実施しているところです。 ○補装具費の支給(盲人用安全つえ、義眼、眼鏡等) ○日常生活用具の給付・貸与(点字器、拡大読書器等) ○意思疎通支援(音声訳、代読、代筆等) ○点字図書館の利用(点字図書・録音図書の貸出) 等 2 障害者総合支援法に基づく障害福祉サービスにおいては、主に身体障害者を対象とした自立訓練(機能訓練)があり、「視覚障害者に対する専門的訓練」を行う場合には、専門職員の配置を要件とし、視覚障害者への歩行訓練や日常生活訓練等を適正に評価することとしております。 3 自立訓練(機能訓練)等の障害福祉サービスは、国の基本指針に則して各自治体で定める障害福祉計画に基づき計画的な整備をすすめているところであり、今後とも視覚障害等の障害特性に配慮した適切な支援が行えるよう、サービスの提供体制の確保を推進してまいりたいと考えております。 4 なお、厚生労働省では、「視覚障害者用補装具適合判定医師研修会」を主催しており、当該県集会を修了した医師は、診療報酬における「ロービジョン検査判断料」を算定できることとされています。今後も研修会の充実に努めてまいります。 要望8 医療費負担と福祉サービスの利用者負担の見直しについて 要望(1) 医療費負担と福祉サービスの利用者負担は障害者の生活実態に見合った見直しを要望します。 (回答:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課、精神・障害保健課) 1 障害福祉サービス等に関する利用者負担に関しては、過大とならないよう、その所得に応じて負担限度額を設定しています。その結果、平成28年5月現在で障害福祉サービス利用者の93.3パーセントが無料でサービスを利用し、給付費に占める利用者負担は0.23パーセントとなっております。 2 また、利用者負担嶺を算定するに当たっては、民法に配偶者の扶助義務が課せられていることなどを考慮し、障害者本人と、その配偶者の所得で判断する仕組みとしております。 3 利用者負担に係る収入認定に際して配偶者の収入を考慮に入れないことについては、財源の確保状況や医療や介護など他の制度との整合性・公平性も踏まえた議論が必要であることから、引き続き検討してまいります。 4 なお、障害者等の心身の障害の状態を軽減するために必要な医療費の個人負担については、公費負担制度である自立支援医療において、自己負担額を軽減するための必要な予算の確保について引き続き努めてまいります。 要望(2) 地方自治体で実施している重度障害者に対する医療費の上乗せ給付(現物給付)を理由として国民健康保険の国庫負担金の一部削減措置を止め、自治体が独自に医療費の上乗せ給付が出来るよう要望します。 (回答:厚生労働省保険局国民健康保険課) 1 国においては、障害者等の心身の障害の状態の軽減を図り、自立した日常生活又は社会生活を営むために必要な医療費(自立支援医療費)の支給を行うことにより、障害者等の医療費の負担軽減措置を講じているところ。 2 一方、地方単独事業で実施している「重度障害者医療費助成制度」は、福祉的な措置として、かぜ等の(障害者以外の方も罹患するような疾病に対する)一般的な治療も含めた医療費の自己負担分に対する助成を行っていると承知しています。 3 これらの理由により、障害者に係る地方単独事業の減額調整措置の在り方については、広く障害者を対象としている自立支援医療制度などの在り方も含め、慎重な検討が必要であると考えています。 <参考> 【地方単独事業に係る市町村国保の公費負担調整の考え方】 ○ 医療保険制度では、医療を受けた人と受けない人との公平や適切な受診を確保する観点から一部負担金を求めている。 ○ 地方単独事業により、一部負担金が法定割合より軽減される場合、一般的に医療費が増嵩するが、この波及増分については、その性格上、当該自治体が負担するものとされ、国庫の公平な配分という観点から、減額調整をしている。 要望9 障害基礎年金の増額について 要望(1) 障害者の最低生活を維持し、福祉サービスの費用負担が生じる場合にも、その負担の支払いができるようにするため、障害基礎年金を1級は月額12万円以上、2級は月額10万円以上に引き上げることを要望します。 (回答:厚生労働省年金局年金課) 1 年金は、稼得能力の喪失に対して、所得保障を行うことを目的としていますが、通常は加齢に伴って起こる稼得能力の喪失が、現役期に障害状態となって早期に到来したことに対応した年金が障害年金となります。したがって、障害年金の額は老齢年金の水準と同水準であることを基本としています。 2 また、年金の水準については、少子高齢化が急速に進行する中で、長期的な給付と負担の均衡が保たれるよう設定する必要があり、現役世代の負担が過重なものとならないようにするため、保険料の上限を固定している中で、大幅な給付の改善を行うことは困難であることにご理解をいただきたいと思います。 3 なお、一定の所得以下の障害基礎年金受給者に対しては、今後、福祉的な給付金制度の創設の措置を講じることとしています。 <参考> @現在の障害基礎年金の給付額 障害等級1級の方は月額81260円 障害等級2級の方は月額65008円 A福祉的な給付金制度(年金生活者支援給付金)の給付額 障害等級1級の方は月額6250円 障害等級2級の方は月額5000円 要望10 視覚障害者の雇用と就業、経済的自立の支援について 要望(1) 視覚障害者の経済的自立のため、自治体(市区町村役場など)において視覚障害者の雇用を積極的に行うことを要望します。 要望(3) 就労における「合理的配慮」を実現するため、情報障害である自営業や公務員の視覚障害者に対して、必要とする情報機器の貸与、職場介助者の配置を適用することを要望します。 (回答:総務省自治行政局公務員部女性活躍・人材活用推進室) 1.障害者雇用の促進について ○ 地方公共団体における障害者雇用の法定雇用率の達成については、所管の厚生労働省から毎年、総務省に要請がなされているところであり、これを受けて、総務省から地方公共団体に対し文書により通知するとともに、各種会議の場において障害者雇用の促進を要請しているところ。 ○ 都道府県知事部局においては全て法定雇用率を達成している一方、一部の市町村等において未達成(※)であることから、今後とも障害者雇用の促進について要請してまいりたい。 (※)平成27年6月1日時点 2.合理的配慮の提供について ○ 本年4月に施行された改正障害者雇用促進法は、事業主に対する障害者である労働者への合理的配慮の提供義務規定が設けられており、この規定は事業主としての地方公共団体にも適用されるところ。 ○ 平成27年3月に厚生労働省が定めた「障害をもつ労働者への合理的配慮の提供に係る指針」には、 ・採用試験において、点字や音声等による実施や、試験時間の延長を行うこと ・業務指導や相談に関し、担当者を定めること ・拡大文字、音声ソフト等の活用により業務が遂行できるようにすること などが示されている。  総務省としては、本指針を各地方公共団体に通知するとともに、各種会議の場などにおいて指針を踏まえた適切な対応を要請してきたところ。 ○ さらに、平成27年7月、厚生労働省から公表された指針に係る解釈等を示した通達、差別禁止・合理的配慮に関するQ&A、事例集についても各地方公共団体に情報提供してきたところ。 ○ 総務省としては、各地方公共団体が合理的配慮指針等を踏まえ適切に対応するよう、今後とも会議等の場を通じ助言してまいりたい。 要望(2) 視覚障害鍼灸マッサージ師の経済的自立を妨げている無資格者に対して、更なる取り締まりの強化を要望します。 (回答:厚生労働省医政局医事課) 1 無資格者による違反行為・広告への対応を強化するため、平成28年2月9日に以下の内容の通知を都道府県等に宛てて発出しています。 @ 消費生活センターの有する健康被害に関する情報を活用し迅速な指導を行いつつ、悪質な事例については、警察とも連携の上、告発等も検討して対応するよう、消費生活センター及び警察との間の連携した指導・取締体制の構築を依頼 A 無資格者が「マッサージ」等と広告することは、施術所においてあん摩マッサージ指圧が行われていると誤認するおそれがあり、このような広告を行わないよう指導を依頼 2 また、無資格者の問題の1つとして、有資格者と無資格者の区別がつきにくいとの意見も多いことから、関係団体の皆様のご協力をいただきながら、有資格者が外形的に分かるようにするための方策を検討してきたところであり、現在、以下のような対策を行っています。 @ 平成28年3月28日に(公財)東洋療法研修試験財団において、厚生労働省からの要請に基づき厚生労働大臣免許保有証を発行 A 免許保有証の発行に伴い、同日、有資格者と無資格者の判別に資する国民向けのリーフレットを作成し、各都道府県等へ送付 B 都道府県の自主的な無資格者対策として、あはき法に基づく届出がされた施術所である証明書(施術所(開設)届出済証明書)を発行しているところがあり、このような事例を平成28年2月26日開催の医政関係主管課長会議において周知し、積極的な取組を依頼 C この証明書を施術所外に掲示できるようにすることを念頭に、あはき施術所に関して広告できる事項について「法に基づき届け出ている施術所である」ことができるように告示(※)を改正 (※)あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律第七条第一項第五号の規定に基く広告し得る事項(平成11年厚告第六九号) 3 引き続き関係機関とも連携の上、必要な対策を実施していきたいと考えています。 (回答:警察庁生活安全局生活経済対策管理官)  警察では、無免許施術行為などの「あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律」違反につきましては、平成26年は、整骨院における無免許はり施術など3件、平成27年は、整体院における無免許施術行為など2件を検挙しています。  警察としましては、今後とも、関係機関と連携を図りながら、適正に対処してまいります。 要望11 外出保障について 要望(1) 視覚障害者の外出について同行援護事業を中心として優先利用ができる制度の確立を要望します。 (回答:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課) 1 同行援護及び居宅介護における通院等介助については、一方を利用すると、他方の利用ができなくなるものではなく、利用に当たっての組み合わせや優先順位については、利用者の利用目的や実情に合わせ、各市町村において適切に判断されているものと理解しています。 (参考) ・同行援護は、視覚障害により、異動に著しい困難を有する障害者等につき、外出時において、当該障害者等に同行し、移動に必要な情報を提供するとともに、移動の援護、排せつ及び食事等の介護その他の当該障害者等が外出する際に必要な援助を行うサービスである。 ・通院等介助は、障害支援区分1以上の障害者等につき、居宅において入浴、排せつ及び食事等の介護、調理、洗濯及び掃除等の家事並びに生活等に関する相談及び助言その他の生活全般にわたる援助を行う「居宅介護」において、通院等又は官公署等への移動のための屋内外における移動等の介助又は通院先等での受診等の手続き、移動等の介助を行うサービスである。 要望(2) 当事者が要望する支給量を地方自治体が決定することを要望します。 (回答:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障害福祉課) 1 同行援護等の訪問系サービスの支給決定に当たっては、「申請のあった障害支援区分のみならず、すべての勘案事項に関する一人ひとりの事情を踏まえて適切に行うこと。」などに留意するよう平成19年に都道府県等に事務連絡を発出しており毎年度の障害保健福祉関係主管課長会議においても繰り返し周知しているところです。 2 その上で、特に日常生活に支障が生じる恐れがある場合には、個別給付による同行援護のみならず、地域生活支援事業におけるサービスを含め、利用者一人ひとりの事情を踏まえ、障害者等が地域において自立した日常生活を営むことができるよう、適切な支給量を決定していただく旨を市町村にお願いしているところであり、今後とも様々な機会を捉えて周知してまいります。 <参考> 個別給付において、特に日常生活に支障が生じる恐れがある場合には、個別に市町村審査会の意見を聴取する等し、いわゆる「非定型ケース」として取り扱う等を行っている。 要望(3) 視覚障害者はあん摩マッサージ指圧を生業とする人が多いことから、往療時に同行援護が利用できるよう要望します。 (回答:厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部障書福祉課) 1 同行援護において、営業活動等の経済活動に係る外出は支援の対象外となっています。 2 障害者等の通勤等にかかる移動の支援については、平成27年12月にとりまとめられた社会保障審議会障害者部会における「障害者総合支援法3年後の見直しについて」においても、「個人の経済活動と公費負担の関係等の課題がある」とされたところであり、あん摩マッサージ指圧の往療に同行援護を利用することについては、現時点では困難であると考えます。 要望12 視覚障害者に対する情報保障について 要望(1) 視覚障害者への情報提供のため、行政機関や公益企業の広報誌や会議資料などは、点字、音声、拡大文字、テキストデータなど本人が要望する媒体で提供をすることを要望します。 (回答:厚生労働省障害保健福祉部企画課自立支援振興室) 1 自治体が地域の実情や障害者のニーズに応じて実施する地域生活支援事業において、都道府県及び市町村は広報誌や地域生活において必要な情報を点字や音声等により提供する「点字・声による広報等発行事業」を実施しているところです。 2 当該事業の実施については、全国会議等の機会を通じて周知を図っているところであり、今後も事業の周知に努めてまいります。 要望(2) 「選挙公報」は情報提供の在り方を検討いただき、法律改正を含め選挙管理委員会の責任において、点訳、音訳並びに拡大文字化をして配布することを要望します。また、選挙管理委員会にも、障害者差別解消法などに基づく「対応要領」の制定を要望します。 (回答:総務省自治行政局選挙部管理課) 1.選挙公報について ○ 総務省としては、国政選挙及び統一地方選挙が行われる都度、視覚障害者の方々が公職の候補者等の政見等を知ることができるように、啓発活動の一環として選挙公報全文を内容とする「選挙のお知らせ版」を作成することを要請しています。その際には、点字だけでなくカセットテープ版、コンパクトディスク版及び音声コード付き拡大文字版も準備・配布するよう要請しております。平成26年の衆院選においては全都道府県において作成されたところです。 ○ なお、選挙公報を「点訳、音訳並びに拡大文字化」したものの配布については、現在は福祉団体や図書館等に設置するなどにより希望者に配布していますが、障害のある方のいる世帯への配布については、その把握が困難であり、確実かつ公平に配布できるかといった点から課題があるところです。 2.今後の展開 ○ 総務省としては国政選挙の執行にあたっては、視力に障害のある方が投票しやすいよう、様々な機会を通して選挙管理委員会へ要請して参りました。 ○ 選挙管理委員会においては、これまでも視覚に障害のある方の投票環境の向上に取り組んできたところです。今後につきましても、これまでの方針を踏まえながら、より良い投票環境の整備に向け取り組んでいくよう、要請を行って参りたいと思います。 要望(3) 視覚に障害があっても教育を受けることに対する差別がないよう、使用する教科書は点字、音声、拡大文字、テキストデータなど本人が要望する媒体で提供をすることを要望します。 (回答:文部科学省初等中等局教科書課) ○ 視覚障害等のある児童生徒が十分な教育を受けられる環境を整備するため、点字教科書や拡大教科書の普及に努めており、「障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律」(通称:教科書バリアフリー法)の制定を受け、視覚障害のある義務教育段階の児童生徒が使用する点字・拡大教科書を無償で給与している。 ○ このほか、読み書きが困難な児童生徒のための音声教材の普及を図るため、音声教材の製作団体に対し委託費による調査研究を行っており、音声教材製作団体より、これらの教材が必要な児童生徒に無償で提供されている。 ○(テキストデータを児童生徒に直接提供する取組については現時点では行っていない。「教科書バリアフリー法」では、拡大教科書等をボランティア団体等が製作する場合において、教科書発行者へ教科書デジタルデータを提供するよう義務付けているが、直接児童生徒にデジタルデータを提供することまでは想定していない。) <参考> 障害のある児童及び生徒のための教科用特定図書等の普及の促進等に関する法律(抜粋) 第五条 教科書図書発行者は、文部科学省令で定めるところにより、その発行をする検定教科用図書等に係る電磁的記録を文部科学大臣又は当該電磁的記録を教科用特定図書等の発行をする者に適切に提供することができる者として文部科学大臣が指定する着(次項において「文部科学大臣等」という。)に提供しなければならない。 2 教科用図書発行者から前項の規定による電磁的記録の提供を受けた文部科学大臣等は、文部科学省令で定めるところにより、教科用特定図書等の発行をする者に対して、その発行に必要な電磁的記録の提供を行うことができる。 要望13 情報アクセシビリティーの確保について 要望(1) テレビ放送のニュース番組における字幕スーパー、テロップ、および緊急・臨時放送チャイムの後の字幕スーパーの音声化を要望します。 (回答:総務省情報流通行政局地上放送課) ○ ニュース番組や緊急・臨時放送の字幕スーパーの音声化については、放送事業者において対応が可能な場合はアナウンサーによる読み上げを行っています。 ○ また、NHK放送技術研究所においてニュース速報のテロップ(地震速報等)の内容を自動的に副音声として創出する技術を研究・開発中です。 ○ 総務省としても、大規模災害等緊急放送時の報道番組で、視聴覚障害者に対して、速やかに、災害発生状況、避難情報等の緊急情報を保障する役割を担えるように、放送事業者に対し、技術開発の推進等による取組を要請して参りたいと考えております。 要望(2) スマートフォンやタブレット端末などの新たな情報端末を視覚障害者も容易に活用できるよう基準化を図ることを要望します。 (回答:経済産業省商務情報政策局情報通信機器課) ○スマートフォンやタブレットについては、音声認識による端末操作・情報探索に対応した機種・アプリが続々と投入されているところです。 ○通信機器については、一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)が主催する情報通信アクセス協議会において、製造メーカだけでなく、日本盲人会連合会をはじめとする障害者団体(※1)も参加し、平成27年1月に製造メーカ向けに携帯電話アクセシビリティ配慮チェックシート(※2)を策定し、チェックシート並びにチェックした製品についてHPにて公開しております。 ○また、情報通信アクセス協議会では、通信機器の設計指針として高齢者や障害者が利用する際のアクセシビリティを確保・向上させるため、日本工業規格の改正等に向けた検討を開始しております。 <参考> ※1 参加している障害者団体 日本障害者リハビリテーション協会、全日本ろうあ連盟、全日本難聴者・中途失聴者団体連合会、日本盲人会連合会、日本障害者協議会 等 ※2 代表的なチェック項目 ・手触りによるボタン(キー)操作がしやすい工夫があります。 ・タッチパネルに押しやすく、押し間違いをしにくい工夫があります。 ・機器がなにかの処理を実行して、その処理が完了した時、そのことを音で確認できます。 ・音声による、タッチパネルの表示が見えなくても操作できるための工夫があります。 ・音声読上げ機能が使えます(画面上の文字を音声で聞くことができます)。 ・振動のパターンによりお知らせの種類を区別することができます。 要望14.マラケシュ条約批准について 要望(1) 著作権法第37条第3項により複製が認められているものの規制緩和を要望します。 要望(2) 拡大図書、録音図書、電子図書が簡易に製作できる制度を要望します。 要望(3) 著作権法第37条第3項における受益者の範囲の拡大を要望します。 要望(4)受益者への公衆送信の法定化を要望します。 (回答:文化庁長官官房著作権課)  障害者の情報アクセスの保障に関する著作権法上の措置に関しては、文化庁の審議会において障害者団体と権利者団体との間の意見調整等、所要の検討が進められているところである。今後も、障害者団体の要望を可能な限り実現するべく、必要な意見集約に向けた取り組みを行い、速やかに結論を得た上で、所要の制度整備を行うこととしたい。 要望(5) 読書障害者が著作物を自由に読める読書環境を整えるための「(仮称)読書バリアフリー法」の制定を要望します。 (回答無し)