愛盲時報 平成27年10月24日第248号 ≪1.マイナンバー制度が始まりました≫ 平成27年10月24日(土) 第248号 平成27年10月から、住民票を有する国民の皆様一人一人に12桁のマイナンバー(個人番号)が、市区町村から「通知カード」により通知されます。通知カードは、簡易書留で郵送されます。マイナンバーは一生使うものです。マイナンバーが漏えいして不正に使われるおそれがある場合を除いて、原則変更されません。大切にご利用下さい。 ■マイナンバーについて  マイナンバーは、「社会保障」「税」「災害対策」の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報を効率的に確認するために活用されるもので、法律や自治体の条例で定められた行政手続でしか使用することはできません。 ■「通知カード」と「個人番号カード」の違い  「通知カード」はマイナンバーを通知するもので、通知カード単体では本人確認はできません。 個人番号カードはICチップ(※)を搭載したカードで、顔写真が表示されます。本人確認のための身分証明書として使用できるほか、図書館カードや印鑑登録証など自治体などが条例で定めるサービスに利用できます。有効期限があり、20歳以上の方は10年、20歳未満の方は容姿の変化を考慮し5年となります。 個人番号カードは、「通知カード」と一緒に送られる「個人番号カード交付申請書」を提出すると発行されます。役所に持っていき代筆を依頼するか、または代筆してくれる人がいれば記入して申請することも可能です。個人番号カード交付申請書には、点字表記を希望するチェック欄と読み仮名を記入する欄があり、チェックするとカードに点字が印刷されます。なお、欄に記入された読み仮名をそのまま点字化するため、「かとう」を「かとー」にするなど、読み仮名を付ける際に注意が必要となります。 ※ICチップに登録される情報は? 個人番号カードに搭載されるICチップには、 券面に書かれている情報のほか、 電子申請(e-Tax など)のための電子証明書が 記録されます。 しかし、所得の情報や病気の履歴などの プライバシー性の高い個人情報は記録されません。 ■今後の流れについて ①平成27年10月から・・・マイナンバーを通知。 ②12月・・・住民基本台帳カードの発行が終了。 ③平成28年1 月から・・・ 社会保障・税・災害対策の手続きで、マイナンバーの 利用が開始。また、申請者に個人番号カードを交付。 ④平成29年1 月から・・・国の行政機関の間で、 情報連携を開始。また、マイナポータル(自分の 個人情報をいつ、誰が、なぜやりとりしたのか、 自身で確認できる個人用サイト)の運営を開始予定。 ⑤7月から・・・地方公共団体も含めた、情報連携を開始。 ■民間事業者にもマイナンバーが通知されます  法人にも1法人1つの番号が指定され、10月以降、国税庁から登記上の所在地宛に13桁の法人番号が通知されます。 平成 28 年 1 月以降、健康保険や厚生年金の手続き、源泉徴収の手続きなどで、従業員のマイナンバーを記載する必要があります。なお、本人の許可があっても第三者にマイナンバーを漏らすことは禁止されており、漏らせば実刑と罰金が科せられます。  ■マイナンバー制度に関するお問い合わせ   全国共通ナビダイヤル:0570-20-0178 (IP電話等をご利用の場合 050-3816-9405) 9:30~17:30(土日・祝日、年末年始を除く) なお、コールセンターの利用には通話料が必要となるため、 日本盲人会連合は電話による相談を無料で行うよう 要望しています。(本誌18頁参照) ≪2.差別解消法の基本方針に基づく対応要領・ 対応指針作成に関する合同ヒアリングが開催≫  障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律(障害者差別解消法)は障害者基本法第4条に定める差別禁止の基本原則を具体化し、全ての国民が障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現に向けて、障害を理由とする差別の解消を推進することを目的として、平成25年6月26日に公布されました。  具体的には、障害を理由とする差別などの権利侵害行為の禁止、及び社会的障壁の除去を怠ることによる権利侵害の防止を規定し、国及び地方公共団体の責務と国民の責務を定めています。昨年9月、差別解消法の基本方針策定がスタートし、今年2月24日、基本方針が閣議決定されました。これに基づいて、国及び地方公共団体などが、当該機関職員が適切に対応するために必要な要領(対応要領)と、事業者が適切に対応するために必要な指針(対応指針)の策定を進めています。  内閣府は差別解消法の基本方針に基づく対応要領・対応指針作成に関して、障害者団体などの意見を聴くため、7月13日から31日まで4回にわたり合同ヒアリングを開催しました。そのうち、31日に開催された、文部科学省、内閣府、農林水産省、経済産業省に対する合同ヒアリングには、日本盲人会連合から及川清隆副会長が出席して意見を述べ、意見書を提出しました。  今後、この対応要領案並びに対応指針案に関しては、これまでに示された意見も参考にして最終案がまとめられます。8 月中にパブリックコメントの手続きを経て決定された後、9 月には官報で告示され、来年 4 月の施行に向け周知が図られます。   ≪3.同行援護・移動支援事業に関する要望書の提出≫  平成27年 7 月 27 日、日本盲人会連合は、同行援護事業所等連絡会と共に厚生労働省へ訪問し、同行援護・移動支援事業に関する要望書を提出しました。  当日は、日本盲人会連合からは竹下義樹会長、同行援護事業所等連絡会からは松永秀夫会長、金村厚司事務局長、他2名が出席し、利用者と運営事業者からの要望を踏まえた8項目の要望(入院・入所、通勤・通学・通所及び自営業者の外出時における視覚障害者の移動を中心とした情報保障がなされるよう要望など、他 7 項目)について説明を行い、活発な意見交換を行いました。  厚生労働省からは障害保健福祉部自立支援振興室・道躰どうたい正成まさなり室長と実務担当者にご出席を頂き、現在行われている障害者総合支援法の3年見直し作業、及び障害者差別解消法の施行に向けた動きと合わせて、要望事項を検討し、解決できることは早急に解決をしていきたいとのお言葉を頂きました。  なお、要望した 8 項目は以下の通りとなります。  1.入院・入所、通勤・通学・通所及び自営業者の外出時における視覚障害者の移動を中心とした情報保障がなされるよう要望する。  2.65歳以上の視覚障害者においても介護保険事業における通院介助のみでなく、同行援護が利用可能であることをすべての自治体にご周知いただき、実際に利用できるよう指導いただくことを要望する。併せて、65歳を過ぎて視覚障害になった場合、当該事業が受給できることをすべての自治体に周知していただきたい。  3.厚生労働省における経過措置延長後の資格要件普及の現状把握(実態調査)とその具体的促進策が実施されるよう要望する。  4.養成研修一般課程のカリキュラムにおいては交通機関の研修等が不足していることをふまえ、一般課程及び応用課程の総合的改変がなされるよう要望する。  5.移動支援事業等資質向上研修認定証に「厚生労働省推奨事業(仮称)」とする表記がなされるよう要望する。  6.資質向上研修認定者は講師要件を有する講師として活用し、全国の移動支援従事者の資質が向上するよう都道府県に働きかけてください。  7.養成研修の実施における免除科目及び通信講座・ビデオ研修の実施規制を変更するよう要望する。  8.移動支援・同行援護事業においては、身体介護を伴う場合と伴わない場合の区別を止め、併せて重複障害者等への支援における加算制度を創設してください。 以上   ≪4.平成27年度 各関係省庁へ陳情≫  第68回全国盲人福祉大会において採択された視覚障害者福祉施策等に関する案件の改善を、6月25日に関係各省庁などへ陳情しました。   前号に続き、陳情書の全文を省庁別に掲載します。 ■国土交通省陳情書  1.歩道車道の分離されていない道路においても、視覚障害者の歩行の安全確保のため、設置指針等により、視覚障害者誘導用ブロックの設置を拡大し、道路の環境改善を講ずるよう要望する。  2.2020年のオリンピック・パラリンピック競技会場の整備にあたり、出場選手の事故防止のため、日盲連が策定した屋内用誘導ブロックの啓蒙普及を要望する。  3.交通系ICカードの「障害者割引用」を作成すると共に、障害者と介助者が1枚で使用できるシステムの開発や、触って種類が識別できる工夫をするよう、発行事業者並びにメーカーへの働きかけを要望する。  4.駅ホームの可動柵の設置について、各鉄道会社が年次計画を立てて推進するよう国からの指導を要望する。  5.鉄道各社において、改札口やエレベーター、階段等の音サイン、音声案内の整備を行うよう要望する。  6.バリアフリー新法に該当しない小規模な駅であっても、視覚障害者のニーズを十分に反映して、安全施策を早急に実施するよう要望する。  7.視覚障害者が同乗する車両の利便性を高めるため、高速道路料金の割引制度について改善されるよう、事業者への指導を要望する。  8.福祉有償運送制度が、震災復興特別区や福祉支援モデルとして、外出支援と併せて容易に制度活用できるよう「特区」の指定を行うと共に、有償運送協議会において関係事業者の協力の下、許認可が容易に受けられるよう要望する。  9.公共施設、高速道路、空港、駅や新幹線などの、多目的トイレ内を案内する音声装置の設置と操作ボタンの統一を図ると共に、統一された音声装置が設置について、事業者への指導を行うよう要望する。  10.公共施設等の多目的トイレ内の構造を、規格に基づいて改修するよう要望する。  11.公共施設入り口、トイレには小型送信機(シグナルエイド)対応の音声ガイドを設置するよう、関係機関への指導を要望する。  12.ラウンドアバウト(環状交差点)では、視覚障害者が横断しやすいような歩道橋や地下道の設置を要望する。  13.音の静かな自動車の危険防止対策を後退することなく、持続的に推進するよう強く要望する。 ■金融庁陳情書  1.金融機関における各種の契約などにおいて、代筆が可能になるよう制度の充実を要望する。  2.金融機関における全ての書類に行員及びガイドヘルパーによる代筆を認めていただくよう要望する。  3.各銀行のATMにおいて、振込が視覚障害者1人でもできるよう、機器の改善を行うように業者への指導を要望する。  4.全てのコンビニエンスストアのATMにハンドセットを備えるよう、要望する。 ■総務省陳情書  1.災害時における初期緊急避難の際、視覚障害者が近隣の住民の支援を受けられるためのマニュアルの作成を要望する。  2.災害に備えるために、テレビの緊急ニュース速報の音声化、重要な情報について音声による説明を徹底するよう要望する。  3.テレビ放送のニュース番組における字幕スーパー、テロップ、地震や津波などを伝える緊急放送の字幕スーパーの音声化と、外国語放送の吹き替えを要望する。  4.公共施設において、多目的トイレ内を案内する音声装置の設置と操作ボタンの統一を、地方公共団体に対し指導するよう要望する。  5.公職選挙法を改正し、視覚障害者に対し最低限提供すべき情報の範囲などを明らかにするとともに、情報提供の在り方などのガイドラインを策定し、予算の確保など選挙情報を的確に提供できる体制を整備するよう要望する。  6.平成19年1月29日に人事院が発出した「障害を有する職員が受けるリハビリテーションについて(通知)」 (職-35人研調-115)は、「視覚障害者に対する合理的配慮」を具現化したような優れた通知であるので、平成26年2月に我が国が障害者権利条約を批准し、障害者差別解消法や改正障害者雇用促進法が平成28年4月から施行されることになっていることを鑑み、障害者権利条約や前述の法律の趣旨を踏まえ、総務省独自に、前述の人事院通知を参考にして、視覚障害のある地方公務員に対する合理的配慮に焦点を当てた「障害を有する職員に対する合理的配慮について」という通知を発出することを要望する。  7.視覚障害者に対する合理的配慮として、ヒューマンアシスタント(職場介助者)の配置、拡大読書器や音声パソコンなど、視覚障害者就労支援機器の整備などを明記することを要望する。  8.視覚障害を有する地方公務員が合理的配慮を受けやすくするために、合理的配慮に要する予算措置を要望する。  9.全ての地方公務員、関係団体の採用条件から、活字対応が可能な者などを条件とするような、実質的に視覚障害者を排除する効果を持つ採用条件の撤廃を、各自治体に指導するよう要望する。  10.全ての地方公務員、関係団体の採用試験に際しては、点字、拡大文字、及び音声読上げソフト利用による受験、 試験時間の延長などの合理的配慮に基づいた採用試験の実施を各自治体に指導するよう要望する。  11.政府の方針として視覚障害あん摩マッサージ指圧師をヘルスキーパーとして雇用することを地方公共団体に対し、指導していただくよう要望する。  12.マイナンバー制度を実施するにあたり、10月に送付される文書には、点字・拡大文字などの、視覚障害者に配慮された媒体を同封すると共に、視覚障害者にも配慮した郵送方法で実施するよう要望する。 ■文部科学省陳情書  1.2020年の東京パラリンピックを見据えて、視覚障害者のスポーツの競技力向上に不可欠な支援者の育成を国として推進するよう要望する。  2.2020年の東京パラリンピックにおいて、オープン競技として、グランドソフトボール・フロアバレーボール・サウンドテーブルテニス・ブラインドテニスを競技種目とするよう要望する。  3.2020年のオリンピック・パラリンピック競技会場の整備にあたり、出場選手の事故防止のため、日盲連が策定した屋内用誘導ブロックの啓蒙普及を要望する。  4.スポーツ施設の利用に際して、ナショナルトレーニングセンターを障害者にも開放し、障害者と健常者が共にスポーツの技術向上を図れるよう要望する。  5.あはき国家試験不合格者に対するフォローアップ研修制度の確立を要望する。 ■財務省陳情書  1.障害基礎年金(1級・2級)の引き上げを要望する。  2.消費税率アップと物価上昇分を反映させた障害年金の増額を要望する。  3.障害を理由として無年金、低年金にある障害者に特別給付を設けるなどの救済措置を設けるよう要望する。 ■警察庁陳情書 1.道路交通法施行規則14条の白杖規定について、広く国民に対して啓発するよう要望する。  2.視覚障害者誘導用ブロック上の違法駐車の取り締まり強化を要望する。  3.安全な交差点の環境整備の観点から、見えやすい音響付のユニバーサルデザインに配慮された信号機の普及を要望する。  4.弱視者にも視認ができるように、歩行者用信号機の位置を低くすることやLED付き補助信号機の設置等の対策を講じるよう要望する。  5.歩車分離式信号機やスクランブル交差点、歩行者先行信号交差点に対し、音響信号機を付ける等の対策を講じるよう要望する。  6.押しボタン式信号機に音声案内装置の設置を要望する。  7.信号が変わったことが手元でわかるような、振動式受信機の開発、普及を要望する。  8.横断歩道にはエスコートゾーンの敷設を要望する。  9.音声信号機が稼働する時間帯の延長を行い、その音量が周囲の環境に適した音量になるよう配慮して配置するよう要望する。  10.マッサージ業等の無資格類似行為者の取り締まりを要望する。 ■人事院陳情書  1.平成19年1月29日に人事院が発出した「障害を有する職員が受けるリハビリテーションについて(通知)」 (職-35人研調-115)は、「視覚障害者に対する合理的配慮」を具現化したような優れた通知であるので、平成26年2月に我が国が障害者権利条約を批准し、障害者差別解消法や改正障害者雇用促進法が平成28年4月から施行されることになっていることを鑑み、障害者権利条約や前述の法律の趣旨を踏まえ、改めて視覚障害者に対する合理的配慮に焦点を当てた「障害を有する職員に対する合理的配慮について」という通知を発出することを要望する。  2.視覚障害者に対する合理的配慮として、これまでの職員が受けるリハビリテーションに加えて、ヒューマンアシスタント(職場介助者)の配置、拡大読書器や音声パソコンなど、視覚障害者就労支援機器の整備などを明記することを要望する。  3.各府省において合理的配慮をしやすくするために、合理的配慮に要する予算措置を要望する。  4.国家公務員(地方事務所、関係機関その他の職員を含む)の採用条件から活字対応が可能な者等を条件とするような実質的に視覚障害者を排除する効果を持つ採用条件の撤廃を要望する。  5.国家公務員(地方事務所、関係機関その他の職員を含む)の採用試験に際し、点字、拡大文字、及び音声読上げソフト利用による受験、試験時間の延長などの合理的配慮に 18 基づいた採用試験を実施すると共に、独自で採用を行う地方事務所、関係機関その他の事務所・事業所などに対し周知するよう要望する。 ■日本郵便陳情書  1.葉書のユニバーサルデザイン化を推進するため、すべての葉書に切り込みを入れ、誰もが使用できるよう要望する。  2.郵便差出箱の投入口に添付してあるプレートの点字を正確に記述すると共に、読みやすい高さで作成するよう要望する。 ■内閣官房陳情書  1.マイナンバー制度の周知徹底のため、点字、録音、拡大文字での文書を作成し、視覚障害者に配布するよう要望する。  2.視覚障害者の個人識別カードに点字や切り込みをいれるよう担当行政機関に指導するよう要望する。  3.マイナンバー制度のコールセンターの相談窓口の料金を無料にするよう要望する。 ≪5.サイトワールド2015のご案内≫ 【開催日】2015 年 11 月 1 日(日)~3 日(火) 午前 10 時~午後 5 時(最終日は 4 時まで) 【会場】すみだ産業会館サンライズホール (東京都墨田区江東橋 3-9-10 墨田区丸井共同開発ビル) 【問い合わせ】 サイトワールド実行委員会 事務局 Tel:03-5291-7885 E-mail:sightworld@mbr.nifty.com