愛盲時報 平成27年7月25日(土) 第247号 ≪1.第68回全国盲人福祉大会が岐阜県で開催≫  社会福祉法人日本盲人会連合(竹下義樹会長)と一般社団法人岐阜県視覚障害者福祉協会(清水和弘会長)の主催による 第68回全国盲人福祉大会が、5月29日から31日にかけて、岐阜県岐阜市の岐阜都ホテルと長良川国際会議場を会場に開催されました。  29日は理事会、評議員会、あはき協議会代議員会、スポーツ協議会代表者会議、ブロック長会議、30日はシンポジウム「視覚障害者の安全な外出と白杖」、 第52回全国盲人代表者会議など、3日間にわたり、全国の視覚障害者代表が一堂に会し、自立と社会参加の実現に向け、さまざまな課題を論議し、 今年度の運動方針を決定しました。  また、最終日の5月31日は長良川国際会議場に全国から関係者約1,300名が参加して、盛大に大会式典並びに議事が行われました。  第1部の式典では、清水和弘岐阜県視覚障害者福祉協会会長の歓迎挨拶、竹下義樹日本盲人会連合会長の主催者挨拶に続いて、 日盲連顕彰等受賞者に表彰状、感謝状が贈られました。  続いて、塩崎恭久厚生労働大臣の挨拶、野田聖子岐阜県顧問衆議院議員、 下村博文文部科学大臣の挨拶を文部科学省初等中等教育局特別支援教育課青木隆一特別支援調査官が代読したのを皮切りに、 渡辺猛之岐阜県顧問参議院議員、古田肇岐阜県知事、細江茂光岐阜市長、足立勝利岐阜県議会議長、竹市勲岐阜市議会議長等の多数の来賓から祝辞が述べられました。  第2部の大会議事では、平成26年度決議処理報告、平成27年度運動方針案を執行部の原案どおり全会一致で可決、宣言・決議も全会一致で採択されました。 なお、可決された平成27年度運動方針は以下の通りです。  誌面の関係上、ここでは8項目の見出しのみ掲載します。全文は日盲連のホームページに掲載されています。  1.障害者の権利に関する条約批准を受けて 動き出した諸制度への対応  2.東日本大震災による被災者への支援と今後における防災減災に向けた活動を継続する  3.外出保障としての環境の整備について  4.始まったばかりの弱視者(ロービジョン)に対する支援について  5.関係機関との連携・強化について  6.視覚障害者のスポーツや文化活動を活発にする  7.本連合の活動基盤の確立と加盟団体への支援  8.国際交流  続いて、次年度の第69回全国盲人福祉大会開催地団体を代表して、青森県視覚障害者福祉会の佐々木秀勝会長が全国の会員に向けて参加を呼びかけました。 最後は365歩のマーチの合唱で大会の幕を閉じました。  ■困った時には白杖を頭上に掲げて助けを求めましょう 情報部長 工藤正一  私はこの度、第 68回全国盲人福祉大会岐阜大会での一連の会議に参加する機会を得て、全国の仲間と交流できたことを喜んでおります。 中でも、岐阜県視覚障害者福祉協会と福岡県盲人協会から共同提案された白杖SOSシグナルサインの普及推進が決議されたことに大きな共感を覚えました。 というのも、私自身、困った時、このシグナルサインを発信してきたからです。  このシグナルは白杖を頭上50センチ程度に真っ直ぐに掲げるサインです。 岐阜市は地元視覚障害者福祉協会と協力し、今年の3月にシンボルマークとして制定しました。日本盲人会連合もこのシンボルマークの普及をしていきます。  白杖単独歩行をしている私には、たかが一本の白杖ですが、困った時、この白杖に助けられてきました。 皆さんも、外出先で困った時にはこのサインを発して助けを求めましょう。そして、私たちの周りで、これを見たら、どうぞ一声かけて手助けしてください。  ■日盲連顕彰等受賞者一覧(敬称略)   村谷昌弘福祉賞 萩原善次郎(静岡県)   礎賞(組織功労) 佐藤勇助(青森県) 長澤誠(山梨県)   青い鳥賞 数野勝子(山梨県) NTT東京福祉文化事業団 「ゆいの会」(東京都)   ブライトスター賞 加藤弘(北海道)   光の泉賞 (内助等功労) 加藤幾子(北海道ブロック・北海道) 金子紀美子(東北ブロック・福島県) 石井洋子(関東ブロック・群馬県)    齊藤菊江(関東ブロック・千葉市) 石田洋子(北信越ブロック・長野県) 塚原隆子(東海ブロック・岐阜県)    原田和代(近畿ブロック・滋賀県) 荒木みさゑ(近畿ブロック・兵庫県) 風間久子(中国ブロック・広島市)    片山ミトキ(九州ブロック・福岡県) 小島ケイ子(九州ブロック・宮崎県)  (福祉貢献) 中川小枝(四国ブロック・徳島県)   永年勤続表彰 木村雅子(日盲連・東京都)   感謝状 (一社)岐阜県視覚障害者福祉協会 (第 68回全国盲人福祉大会開催) ≪2.平成27年度 各関係省庁へ陳情≫  第68回全国盲人福祉大会において採択された視覚障害者福祉施策等に関する陳情案件の改善を、6月25日(木)に関係各省庁等へ陳情しました。 陳情書の全文を今号と次号に分けて掲載します。  ■厚生労働省陳情書  1.65歳を過ぎると、介護保険法による居宅介護が優先されるが、65歳以降も障害者総合支援法によるサービスを受けられるよう要望する。  2.通学・通勤時にも同行援護サービスを受けられるよう要望する。  3.同行援護利用の契約の際、事業所から示される重要事項説明書は、    利用者のニーズに応じて拡大文字・点字・音声版等で示すことを義務付け、周知することを要望する。  4.同行援護利用時に介護保険制度利用を優先させる扱いを廃止することを要望する。  5.同行援護従事者養成事業を地域生活支援事業の必須とするよう要望する。  6.同行援護事業の地域格差の是正を要望する。  7.質の高い同行援護従事者の養成を要望する。  8.同行援護のサービス提供者の資質を向上させるためのガイドラインを作成するよう要望する。  9.同行援護のサービス提供者の体制の充実を図るよう、関係者への指導を徹底するよう要望する。  10.同行援護事業所に3年以上勤務し、視覚障害を熟知した者を相談支援専門員として認めるよう要望する。  11.同行援護利用者及び利用しようとする者への十分な制度説明と情報提供の徹底を要望する。  12.自治体の担当者は、同行援護制度の理念を熟知し、利用者、ヘルパーの相談者となるよう要望する。  13.同行援護で実施されている所得に応じた負担金を撤廃するよう要望する。  14.同行援護事業において、個人のニーズに合った支給量を確保し、支給上限額や一日の利用時間の制限を撤廃するよう要望する。  15.入院時にガイドヘルパーが利用できるよう要望する。  16.入院時にホームヘルパーが利用できるよう要望する。  17.視覚障害者の入院時において、安心して療養できるよう、看護補助者に対し、障害特性を理解するための教育を施し、看護助手の業務が充実するよう要望する。  18.市町村における相談支援指定事業所の不足解消と、同サービスの地域間格差をなくすよう、都道府県を通じて市町村への指導を行うよう要望する。  19.日常生活用具の指定は国で行えるよう、制度の改正を要望する。  20.日常生活用具給付事業の運用において、日本盲人会連合のホームページに掲載している「日常生活用具指定品目一覧」を参考にすることにより、    地域間格差を解消し、自治体間の取り扱いを平準化するよう要望する。  21.障害基礎年金(1級・2級)の引き上げを要望する。  22.消費税率アップと物価上昇分を反映させた障害年金の増額を要望する。  23.障害を理由として無年金、低年金にある障害者に特別給付を設けるなどの救済措置を設けるよう要望する。  24.各都道府県に歩行訓練士等の指導者を配置し、歩行等のリハビリ訓練が訪問指導により受けられるよう、   「視覚障害者リハビリ訓練事業(仮称)」を国として事業化することを要望する。  25.視覚障害リハ指導員(訓練士)養成に力を入れ、視覚障害生活訓練等指導者(通称:歩行訓練士)を国家資格とすることを要望する。  26.視覚障害等級判定の基準の見直しを行うよう要望する。  27.共同生活援助の対象として、65歳を過ぎて手帳を取得した者でも入居できるよう要望する。  28.カセットテープレコーダー及びカセットテープを継続的に供給するための補助金を要望する。  ■厚生労働省陳情書(職業関係)  1.あはきに関する広告において、施術料の広告ができるよう、制限の緩和を要望する。  2.あはき法19条の堅持を要望する。  3.医道審議会あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師分科会委員に、あん摩マッサージ指圧師の代表として、   日本マッサージ指圧師会の委員を入れるよう要望する。  4.病院・企業等で、ヘルスキーパーを積極的に採用すると共に、採用の際は有期雇用ではなく、無期雇用の保障を図るよう要望する。  5.病院に勤務するあはき師の地位を確保するために診療報酬の中にマッサージ点数の格付けを要望する。  6.療養費(鍼灸)の医科診療との併用を認めていただくよう要望する。  7.医療保険取扱い上、柔道整復師とあはき業者の平等性をはかるため、打撲、捻挫等の治療について、マッサージの適応症とすると共に、   医師の同意書の添付を廃止するよう要望する。  8.各自治体へ、無資格類似業者による被害の実態調査を行う体制を急ぎ整えるよう、指導・監督を要望すると共に、無資格類似行為者の取り締まりを要望する。  9.差別禁止のガイドラインを普及させ、事例集や Q&Aを利用することにより、一般就労を含む、視覚障害者の職場・職域の拡大を要望する。  10.視覚障害者の雇用の実態が明らかにするため、重度視覚障害者の就労内容についてのデータを集積し、データベース化するよう要望する。  11.全ての事業主、事業場における職員・従業者の採用条件から活字対応が可能な者等を条件とする、    実質的に視覚障害者を排除する効果を持つ採用条件の撤廃するように指導することを要望する。  12.全ての事業主、事業場における職員・従業者の採用試験に際しては、    点字、拡大文字、及び音声読上げソフト利用による受験、試験時間の延長などの合理的配慮に基づいた採用試験を実施するよう、指導することを要望する。  ■経済産業省陳情書  1.スマートフォン等の新たな情報端末を視覚障害者でも容易に活用できるよう技術開発を行う等、業者へ指導するよう要望する。  2.視覚障害者が、スマートフォンや携帯電話を用いて周囲の情報、屋外に加え、屋内での位置情報、電車内のアナウンスと同内容の情報、   歩行中に自動車や自転車の接近を知らせるシステム等を開発すると共に、アプリケーションを標準搭載するよう要望する。  3.携帯電話でバーコードの認証や位置確認ができるアプリを開発する等の方策をとるよう要望する。  4.家電製品のユニバーサルデザイン化のさらなる推進を要望する。  5.家電製品が昀後まで視覚障害者が使用できるよう、メニューキーの音声化と点字表記を要望する。  6.家電製品について、取り扱い説明書の点字、CDを作成するよう要望する。  7.詰め替え用洗剤(ボディーシャンプー、シャンプー、リンス)の品名がわかるよう、点字表示化を要望する。  8.我が国が率先して、オートパイロットシステムの研究・開発を推し進め、視覚障害者の夢である車の運転が実現できるよう要望する。  9.自営業者に対しても、業務の介助者(ヒューマンアシスタント)を付けられるような制度を策定するよう要望する。  (愛盲時報 第 248号に続く) ≪3.ネパール大地震における 被災視覚障害者への義援金の募集≫  平成27年4月25日に発生したネパール大地震では、甚大な被害が生じ、復興のためには継続的な支援が望まれる状況です。  この状況を受け、日本盲人会連合では被災視覚障害者の生活維持と生活の再建を支援することを目的に、この度義援金の募集をすることとなりました。  皆様よりお預かりしました義援金は、日本盲人福祉委員会を通じて、ネパールの盲人協会等の団体へ送金させて頂きます。 温かいご支援とご協力のほど、どうぞ宜しくお願いいたします。  義援金募集期間:平成27年9月30日(水)まで  義援金募集方法:下記の郵便振替または銀行振込口座へのお振り込みをお願いいたします。 (1)郵便振替口座:00170-9-48326    名義:社会福祉法人日本盲人会連合   ※通信欄にネパール義援金とご記入下さい。 (2)銀行振込口座:みずほ銀行 高田馬場支店   普通 口座番号5553370   口座名義 フク)ニホンモウジンカイレンゴウ 【お問い合わせ】社会福祉法人日本盲人会連合 組織部  〒169-8664東京都新宿区西早稲田2-18-2  電話 03-3200-0011 FAX 03-3200-7755 e-mail jim@jfb.jp ≪4.3団体が連名の要望書を提出≫  日本ライトハウス・日本点字図書館・日本盲人会連合の3団体は、2015年5月14日に厚生労働省を訪れ3団体連名の要望書を提出しました。 なお、日盲連からは、竹下義樹会長・藤井貢組織部長が参加しました。  要望書は、IT機器の指導員の育成、図書テキストデータの製作委託などの新たなサービスに対する支援、 3次元プリンタなどの新技術を活用した情報提供の在り方の検討や歩行訓練士の養成と配置基準の策定等を求めるもので、 今日まで視覚障害者向けのサービス提供機関として3団体で勉強会を重ね、取りまとめたものです。  当日は、厚生労働省障害保健福祉部・藤井康弘部長、厚生労働省障害保健福祉部自立支援振興室・道躰正成室長をはじめとする担当者にご出席を頂き、 要望書を提出すると共に、要望事項に関する議論を行いました。  厚生労働省からは、本年度は障害者総合支援法の3年見直しの年度であり、同法の見直しと併せて、頂いた要望を検討し、 実現できるよう努力したいとの回答を頂きました。  要望書の主な事項は次の通りです。  1.IT専門指導員の配置  2.図書テキストデータの製作委託事業 【視覚障害者用図書の枠組拡大】  3.3次元模型の研究・製作・提供事業  4.歩行訓練士の養成と各都道府県・ 政令指定市等への配置の促進  なお、3団体は今後の対応を検討するため、6月17日、東京・西早稲田の日本盲人福祉センターにおいて、合同研修会を開催し、3団体から役職員18名が参加しました。  開会の辞で、日盲連竹下たけした義樹よしき会長は今後もこの勉強会を継続的に開催し、要望実現に向けて協力して進める旨の挨拶を行いました。  共同提出の要望書に関する総括では、4項目の要望についてそれぞれ中心者を決め、3団体で議論の場を持ち、要求内容を詰めていくことを確認しました。 また、続いて行われた障害者総合支援法の3年見直しの研修では、意思疎通支援(コミュニケーション支援)を中心に今後国にどのような提案をしていくべきか、 討議しました。  これから先、国の動きに注意を払いながら、人材養成等、更なる論点整理を行うことを決めて閉会しました。 ≪5.ソフトバンク提供 iPhone用アプリ『視覚障がい者向け使い方教室 for iPhone』のご紹介≫  iPhoneには、画面に表示された文字情報をボイスオーバー合成音声で読み上げるVoiceOverという機能が 標準で搭載されています。 このアプリは、視覚障害者が晴眼者のサポートを受けながら、iPhoneを操作するために必要な基本的な操作を、 実際に iPhoneにインストールしたアプリを用いて学習できるのが特徴となります。  従来は、操作に精通した使用者に教えてもらったり、メーリングリストや書籍などを活用して学習しなければならず、 これまでスマートフォンに触れたことのなかった人たちにはハードルの高さが課題でした。  このアプリを活用すれば、音声で読み上げられる解説を聞き、晴眼者のサポートを受けながらじっくりと学習できます。 また、家族や知人が、すでに iPhoneを使用しているのであれば、その人に協力してもらい、購入する前に、納得がいくまで学習できます。  概要は下記の通りです。  ①アプリの名称: 視覚障がい者向け使い方教室 for iPhone  ②料金:無料(App Storeからダウンロード)  ③アプリの特徴   A:ナレーション対応ナレーションによる丁寧な説明を 聞いて学習する事ができます。   B:練習機能 「基本ジェスチャー練習」では、VoiceOver利用時に必要となる基本的なジェスチャーについて説明と練習ができます。   「応用練習」では、ジェスチャーを組 み合わせての操作を学習、練習することができます。   C:便利な使い方紹介 操作のコツや、便利な工夫などを紹介。 【お問い合わせ先】  報道機関の方は<ソフトバンク広報室>まで。 Tel: 03-6889-2301 Fax: 03-6889-6633  個人のお客様は、<カスタマーサポート>までどうぞ。ソフトバンク携帯電話から 157フリーコール0800-919-0157(無料) ≪6.第3回日盲連フェスティバルのご案内≫ 【開催日】2015 年9 月5 日(土)10 時から16 時 【会場】日本盲人福祉センター 【問い合わせ】社会福祉法人 日本盲人会連合  Tel:03-3200-0011 Fax:03-3200-7755