愛盲時報 平成26年7月25日(金) 第243号 《1.秋篠宮同妃両殿下並びに眞子内親王殿下 日盲連をご視察》  平成26年5月8日の午後、秋篠宮同妃両殿下並びに眞子内親王殿下が日本盲人福祉センターをご視察になりました。  日本盲人会連合竹下 義樹(たけした よしき)会長、日本盲人福祉委員会本間 昭雄(ほんま あきお)会長、日盲連笹川 吉彦(ささがわ よしひこ)名誉会長がご説明を、日盲連小野 束(おの つかさ)常務理事がご先導を務めました。  初めに竹下会長から日盲連の現状と、本間会長並びに笹川名誉会長から御礼及び日盲連の歴史について説明を受けられました。 続いて、全館をご視察になり、用具購買所においては、日盲連の担当者から防災用具、デイジー、携帯型の拡大読書器、時計、聞くテレビ、白杖の説明を受けられ、それぞれについて熱心に質問をされていました。  点字出版所においては、点字の特徴や亜鉛版の修正の仕方など、点字印刷システムに深い関心を示されていました。  さらに点字図書館では、点訳絵本や情報部が制作した点図(触図)に触れられるなどしてご覧になりました。  録音製作所においては、デイジー図書作成過程について、特にカセットテープが無くなっていくことや、テープでは故障があるのでこれから大変ではないか等の質問をされていました。  こうしたご視察を通じて、視覚障害についてのご理解を深めていただける機会を賜りましたことは、日盲連にとりましては光栄で且つ又記憶すべき一日となりました。  なお、日本盲人福祉委員会の本間昭雄会長に、今回のご視察の仲介の労を取っていただきました。ここに付記して、謝意とします。 《2.第67回全国盲人福祉大分大会》  社会福祉法人日本盲人会連合(竹下 義樹(たけした よしき)会長)と社会福祉法人大分県盲人協会(衛藤 良憲(えとう よしのり)会長)の主催による第67回全国盲人福祉大会が、5月29日〜31日、大分県大分市のホルトホール大分を会場に関係者約1500名が参加して開催された。全国の視覚障害者代表が、自立と社会参加の実現に向け、さまざまな課題を論議し、今年度の運動方針を決定した。 *第1日目  大分市ホルトホール会議室において、理事会・評議員会、あはき協議会代議員会、スポーツ協議会代表者会議が開かれた。冒頭、竹下(たけした)会長が開催地の大分県盲人協会の努力に謝意を述べたあと、秋田県の会員が、介助者1人につき視覚障害者3人の搭乗は危険だからという理由でプロペラ機の搭乗を拒否された出来事について触れた。竹下会長は、差別解消法が成立した今日、日盲連としても、こうした事象に対して改善の取り組みをしていく決意を語った。  あはき協の代議員会(小川 幹雄(おがわ みきお)協議会長)では、平成25年度事業報告、同決算報告、平成26年度事業計画、同予算案などを討議した。平成25年度の監査を行った井上 孝昭(いのうえ たかあき)幹事は、今年、経済産業省が提案して総務省が告示した、日本標準産業分類の中で「リラクゼーション業(手技を用いるもの)」の記述があった事に対して、業界団体の反応が遅いことについて口頭で指摘した、と報告。この問題について、小川あはき協議会長は「あはき推進協とともに日盲連も取り組んでおり、分類表の中で療術の項目の中にあはきが組み込まれていることなども含めて改善を求めていく」と述べた。  スポーツ協議会(大橋 博(おおはし ひろし)協議会長)では、昨年実施された第13回全国グランドソフトボール大会の優勝チーム(大阪市)に対して、賞状と優勝旗が日盲連竹下会長より授与された。挨拶に立った竹下会長は「スポーツを通じて健康な心と体を作ってほしい」と語った。今回は最初に、国リハの西田 朋美(にしだ ともみ)眼科医による講演が実施され、スポーツ分野における障害認定の在り方や問題点など、参加者が熱心に聴いていた。議事では、平成25年度事業報告、同決算報告、平成26年度事業計画案、同予算案、規約の改正、役員選任が行われ、いずれも執行部提案のとおり可決した。  スポーツ協議会の新役員は次のとおり(敬称略)。協議会長大橋 博(おおはし ひろし)、副会長濱野 昌幸(はまの まさゆき)、副会長兼事務局加藤 宏(かとう ひろし)、会計武山 静江(たけやま しずえ)、顧問鈴木 孝幸(すずき たかゆき)。 *第2日目  代表者会議において「日盲連の将来像についての意見交換」が初の試みとして行われた。竹下会長と、衛藤 良憲(えとう よしのり)大分県盲人協会会長からの問題提起を受けてのフロアからの意見は、1.地方組織強化の方策、2.安定した財源確保の方策、3.全国盲人福祉大会のあり方についての3つに集約された。各団体から、事業所の運営や相談業務の充実など、地域でのさまざまな取り組みが紹介された。午後は、生活・バリアフリー・職業の3分科会に分かれ、各団体からの提案を審議した。  生活分科会では、同行援護関連の事項を、ほぼ全て採択したが、障害者手帳のカード化に対しては不採択となった。バリアフリー分科会では、歩車道分離の交差点には、音響式信号機とエスコートゾーン設置、室内用点字ブロックの統一基準化を採択。職業分科会では、差別解消法を追い風に、就労の促進やあはき技術低下の現状を解消するためのあはき教育の充実などを採択。竹下会長は全体会議において様々な課題を皆様と共に力を合わせて解決していきたい、と締めくくって終了した。 *第3日目  大会最終日の31日は、大分市のホルトホール大分に全国から視覚障害者1000人、関係者やボランティア述べ500人、総計約1500名が参加して、盛大に大会式典並びに議事が行われた。第1部の式典では衛藤良憲大分県盲人協会会長が地元主催者団体を代表して挨拶した後、参加者へ歓迎の言葉を述べた。続いて、竹下(たけした)会長の主催者挨拶があり、日盲連顕彰等受賞者に表彰状、感謝状が贈られた。慣例の地元県知事及び市長の来賓挨拶のほか、シンプルな大会運営が方針であった大会だけに、国会議員からの来賓挨拶も、衛藤 晟一(えとう せいいち)日盲連顧問のみで凝縮した式典の印象だった。  第2部の大会議事では、平成25年度決議処理報告、平成26年度運動方針案を執行部の原案通り全会一致で可決、宣言・決議も全会一致で採択された。竹下(たけした)会長は、差別解消法により各種試験の制限撤廃や弱視者の包括支援などに取り組む、また、スポーツ・芸術の振興や伝統的なあはき業の職業的自立支援に力を入れるなど、運動方針を語った。  続いて次年度の第68回全国盲人福祉大会開催地団体を代表して岐阜県視覚障害者福祉協会の清水 和弘(しみず かずひろ)会長が、「長良川の清流の畔で皆様を歓迎します」と、全国の会員に向けて参加を呼び掛けた。最後は万歳三唱に変えて、大分県出身の滝 廉太郎(たき れんたろう)作曲の「荒城の月」を参加者全員で合唱して、3日間にわたる大会の幕を閉じた。 【大会決議】 1.障害者権利条約の理念を広く国民に広めると共に、さまざまな場面での合理的配慮が行われるよう要望する。 1.入院時に病院内においてもガイドヘルパー及びホームヘルパーが利用できるよう、制度の改正を要望する。 1.同行援護事業における利用者負担の廃止、ニーズに応じた支給決定、質の高い従業者の育成を要望する。 1.視覚障害者に対する適切な障害福祉サービスが受けられるよう、ケアマネージャーや相談支援員、ホームヘルパー等への職員教育を徹底するよう要望する。 1.日常生活用品の給付品目の指定や、対応年数などは、国が一定の指針を示し、当事者のニーズに応じた品目の支給ができるよう要望する。 1.災害時における視覚障害者に対する支援体制の充実を要望する。 1.行政機関からの情報、選挙公報などを権利条約の理念に基づき、点字・音声・拡大文字など必要な媒体で作成するよう要望する。 1.ロービジョン対策として、階段の段鼻の色づけ、時刻表や電光掲示板などの文字サイズ、設置位置、コントラストを工夫すると共に、駅などの照明を明るくするよう要望する。 1.安全な移動を確保するため、誘導用ブロック、エスコートゾーン、音響式信号機等の普及を要望する。 1.障害者用交通系ICカードの作製と、鉄道駅におけるホーム柵及び内方線の計画的な設置を要望する。 1.テレビ放送におけるニュース番組の字幕スーパー、テロップ及び緊急臨時放送の字幕スーパーの音声化と、外国語の吹き替えを要望する。 1.あん摩・マッサージ・指圧師、はり師、灸師の定義を明確にし、免許証を携帯方式に切り替え、無資格類似業者の取締りと、養成所の排除、柔道整復師の違法行為の取締りを要望する。 1.視覚障害者の雇用拡大のため、介護保険施設の機能訓練指導員や、企業、自治体等におけるヘルスキーパーの雇用と職場介助者の広範な適用を要望する。 《3.日盲連顕彰等》 (敬称略) 【村谷昌弘福祉賞】 笹川 吉彦(ささがわ よしひこ)(東京都) 【礎(いしずえ)賞(組織功労)】 河上 義徳(かわかみ よしのり)(熊本県) 【ブライトスター賞】 清杉 政敏(きよすぎ まさとし)(札幌市) 【光の泉賞(内助等功労)】 中村 てる子(なかむら てるこ)(山梨県)、山形 百合子(やまがた ゆりこ)(新潟県)、須藤 直美(すどう なおみ)(静岡県)、上田 まきこ(うえだ まきこ)(奈良県)、小川 志身子(おがわ しみこ)(島根県)、井下 昭子(いのした しょうこ)(香川県)、緒方 七子(おがた なつこ)(熊本県)、山田 時子(やまだ ときこ)(沖縄県) 【光の泉賞(福祉貢献)】 星 洋子(ほしようこ)(宮城県)、中平 和子(なかひら かずこ)(大阪市) 【感謝状】 社会福祉法人大分県盲人協会(第67回全国盲人福祉大会開催)。 《4.日盲連ボランティア 表彰者のご紹介》  第62回全国盲人福祉施設大会(福岡)において、日盲連・点字図書館のボランティアお二人が、地道な奉仕活動に対して全国表彰の栄誉に浴されました。おめでとうございます。(敬称略) ・点訳ボランティア 杉浦則子(すぎうら のりこ)  杉浦 則子(すぎうら のりこ)さんは、35年10ヶ月の長きにわたり、蔵書点訳に取り組まれて来られました。「暮らしの中の看護」全7巻(西洋医学)ほか、27タイトルの点訳書を完成されています。 ・音訳ボランティア 鈴木了子(すずき りょうこ)  鈴木 了子(すずき りょうこ)さんは、18年5ヶ月の間に、録音図書「漢方治療のファーストステップ」(東洋医学)のほか16タイトル、音読しにくい東洋医学図書などの製作に携わってこられました。 お二人ともありがとうございました! 《5.第40回全国盲人文芸大会 作品募集》 【作品の種類】 「短歌」「俳句」「川柳」「随想・随筆」の4部門 (自作、未発表の作品に限る) 【審査員】 「短歌」 佐々木 幸綱(ささき ゆきつな)、池田 はるみ(いけだ はるみ)、黒岩 剛仁(くろいわ たけよし) 「俳句」 松林 尚志(まつばやし しょうし)、松井 国央(まつい くにお) 「川柳」 西出 楓楽(にしで ふうらく)、川端 六点(かわばた ろくてん) 「随想・随筆」 当山 啓(とうやま ひらく)、竹村 實(たけむら みのる) 【応募資格】 日盲連組織都道府県市団体会員及び同団体が設置する施設に所属する視覚障害者、またはその他の視覚障害者 【参加料】 短歌・俳句・川柳は1部門1,000円 随想・随筆は1,500円 2部門以上応募の際は、それぞれ加算 【応募方法】 (1)短歌、俳句、川柳は、一人3首又は3句以内。1人1作品で、随想・随筆は、点字の場合1行32マス250行以内、墨字の場合400字詰原稿用紙10枚以内。 (2)川柳の課題は「掃除」と「幸せ」で、3句のうちでどのように使ってもよい。他は自由。 (3)応募用紙は、部門ごとに別々の用紙を用い、1行目に部門、2行目から住所、氏名、電話番号、次の行から作品を書く。 ※墨字またはメールで応募する場合は、氏名・固有名詞には必ずふりがなをつけること。 ※点字で応募する場合は、同音異義語等の読み違い、また、墨字の作品集の正確を期するため、できるだけ墨字を書き添え、特に固有名詞には必ず墨字を書き添えること。間違い易い語句には簡単な注釈を付けること。 【送付方法】 (1)応募の際は、必ず参加料【現金(現金書留封筒を利用すること)・小為替又は切手】を同封し、封筒には墨字で住所、氏名を明記する。メールで応募の場合は、入金の際にメールで送信したことを明記すること。郵便振替も可能。 (2)応募作品の送付と入金の両方が確認された時点で応募を受け付けたこととする。 (3)なお、他人の作品は同封しない。 【送付先・問い合わせ先】 社会福祉法人日本盲人会連合文芸係 〒169−8664 東京都新宿区西早稲田2−18−2 メールアドレス ariizumi-k@jfb.jp ※メールで応募の場合は件名に【文芸作品応募】と記載すること 郵便振替口座 00170−9−48326 【締め切り】 平成26年7月31日(当日消印有効) 《6.短信》  *春の叙勲・褒章  平成26年春の叙勲・褒章受章者のうち、視覚障害関係では次の方々が受章されました。※()内は受賞時の年齢 【旭日双光章】 桜井 政太郎(さくらい まさたろう)氏・元岩手県視覚障害者福祉協会理事長(77) 【瑞宝小綬章】 板倉 捷重(いたくら かつしげ)・元東京都立八王子盲学校長(76) 【瑞宝双光章】 永井 孝志(ながい たかし)・元広島県立盲学校長(70)、有島 正之(ありしま まさゆき)・元鹿児島県立盲学校長(76) 【黄綬褒章】 山本 敏子(やまもと としこ)・福岡県盲人協会会員(74)  *日盲連加盟団体 新法人移行  新制度上の公益法人への移行を申請していた社団法人秋田県視覚障害者福祉協会(煙山 貢(けむりやま みつぐ)会長)が一般社団法人秋田県視覚障害者福祉協会に4月1日より移行した。  *千葉市視協 特定非営利活動法人に移行 千葉市視覚障害者協会は4月23日付で任意団体から「特定非営利活動法人」に移行した。また、5月31日をもって岡田 正平(おかだ まさひら)理事長が勇退、大石 千惠(おおいし ちえ)氏が6月1日付で新理事長に就任した。それに伴って事務所所在地および連絡先が次の通り変更された。 〒263−0002千葉市稲毛区(いなげく)山王町(さんのうちょう)45−39 電話043−421−1233 Eメール:FJP70125@nifty.com。 資料等の送り先は〒260−0844千葉市中央区(ちゅうおうく)千葉寺町(ちばでらちょう)1208−2千葉市ハーモニープラザ内「千葉市視覚障害者協会」宛に。 《7.訃報》 *社団法人埼玉県視力障害者福祉協会の高野 宗吉(たかの そうきち)元会長(現公益財団法人埼玉県鍼灸マッサージ師会会長)が4月9日、逝去された。享年76歳。通夜は4月14日(月)、告別式は4月15日(火)、どちらも埼玉県比企郡(ひきぐん)小川町(おがわまち)のOAK(オーク)ホールで営まれた。喪主は次男の広行(ひろゆき)さん。 *大分県点字図書館の冨森 寿弘(とみもり としひろ)館長が、4月16日未明、逝去された。享年66歳。通夜は16日、告別式は17日に大分典礼(てんれい)MGFホールにて、しめやかに執り行われた。喪主は妻の保子(やすこ)さん。 *社会福祉法人全国盲ろう者協会前常務理事(事務局長)の塩谷 治(しおのや おさむ)氏が6月23日午前逝去された。享年70歳。通夜は6月29日(日)18時〜19時、告別式は6月30日に戸田葬祭場(とだそうさいじょう)にて営まれた。喪主は長男の純一(じゅんいち)さん。 《8.夏季休館のお知らせ》  日本盲人会連合・日盲福祉センターでは8月14日(木)〜18日(月)を夏季休業とさせていただきます。利用者の皆様にはご不便をおかけしますが、何卒ご了承下さい。 《9.日盲連フェスティバルの開催が決定!》  昨年好評のうちに幕を下ろした日盲連地域交流祭が、今年は「日盲連フェスティバル」と名前を変えて開催されます。  次号では、その内容や魅力について迫ります。 お楽しみに!