愛盲時報 平成26年4月21日(月) 第242号 《1.「障害者の権利に関する条約」批准を祝う》 《1−1.障害者権利条約批准記念特別フォーラム開催》  国連障害者の権利条約推進議員連盟(高村(こうむら)正彦(まさひこ)会長)、及び日本障害フォーラム(JDF)主催による『障害者の権利条約批准記念特別フォーラム』が、平成26年3月10日、衆議院第1議員会館多目的ホールで開かれ、400名近い障害者ら関係者が参集した。  第1部「国連障害者の権利条約推進議員連盟総会」で挨拶に立った高村(こうむら)会長は、「批准はもっと早くする予定でしたが、障害者の皆様から国内法の整備をしっかり行ってから、仏作って魂を入れずにならないよう、という強い要望を受けて、ようやくこの2月20日に141番目の締約国として正式に批准する運びとなりました」とこの間の経過報告を述べささがわよしひこた。JDFの構成団体の本連合からも、笹川吉彦前会長をはじめ、多くの会員が駆けつけ、他の障害者の方々と共に批准を祝った。 《1−2.障害者権利条約批准までの経緯》  「障害者の権利に関する条約(以下、権利条約)」は、平成25年12月4日、参議院本会議において、批准承認案を全会一致で採択し、私たち障害者の悲願ともいえる権利条約の批准が確定した。この権利条約は平成13年の国連総会でその検討が決まり、その後8回の障害者権利条約特別委員会等を経て、平成18年12月13日に国連総会で満場一致で採択されている。日本政府は平成19年9月28日に権利条約に署名し、平成21年3月に批准を予定して動きだした。  しかし、障害者団体が、まず基本的な法制度の条件整備を行ったうえでの批准を求めていたうえ、「私たち抜きに私たちのことを決めてはならない」というこの条約の精神に基づいた要求により、障害当事者の実質的な参画の下で、権利条約批准のための障害者制度改革が始まり、批准は大幅に遅れた。そして、平成26年2月20日、ようやく141番目の締約国として批准することになったのである。  その結果として、障害者基本法の改正、障害者総合支援法と障害者差別解消法の成立、障害者雇用促進法の改正など、課題を残しながらも一定の成果を勝ち取ることができた。 《1−3.日本盲人会連合の今後の抱負》 たけしたよしき本連合の竹下義樹会長も、障害当事者の代表の一人として、委員会などで意見を述べてきましたが、本連合としても、これまでの関係各方面の皆様のご尽力に敬意を表しますとともに、今後も、他の障害者団体と協力しながら、権利条約の目的である障害のある人とない人が差別なく、分け隔てられることなく地域で安心して生活できるインクルーシブな社会の実現や、ユニバーサル社会の推進に向けて努力していきます。 これからも、なお一層のご支援を賜りたく、お願い申し上げます。 《2.平成26年度日盲連役員新体制 日盲連理事会・定期評議員会開く》  日本盲人会連合の平成25年度第5回、第6回理事会及び定期評議員会が、3月31日東京豊島区のホテルベルクラッシック東京で開かれ、平成25年度補正予算(案)、平成26年度事業計画(案)、平成26年度予算書(案)などを審議し、ほぼ執行部提案通り可決された。  注目の正副会長選挙は、立候補者が会長1名、副会長3名の定数内であったため、慣習に従い信任投票が行われた。結果は、竹下義樹(たけしたよしき)会長61分の57票、鈴木孝幸(すずきたかゆき)副会長61分の52票、及川清隆(おいかわきよたか)副会長61分の47票、衛藤良憲(えとうよしのり)副会長61分の40票。 【日盲連新役員の顔ぶれ】 会長:竹下義樹(たけしたよしき)(京都府・再) 副会長:鈴木孝幸(すずきたかゆき)(神奈川県・再) 及川清隆(おいかわきよたか)(岩手県・新) 衛藤良憲(えとうよしのり)(大分県・新) 常務理事:小野束(おのつかさ)(愛知県・再) 理事:澤田勝昭(さわだまさあき)(札幌市・再) 須藤平八郎(すとうへいはちろう)(栃木県・新) 伊藤和男(いとうかずお)(千葉県・新) 大橋由昌(おおはしよしまさ)(神奈川県・新) 小山尊(こやまたかし)(福井県・再) 橋井正喜(はしいまさき)(名古屋市・再) 内田順朗(うちだとしお)(三重県・再) 田澤勝男(たざわかつお)(滋賀県・再) 糸数三男(いとかずみつお)(京都府・再) 井上誠一(いのうえせいいち)(大阪府・再) 小川幹雄(おがわみきお)(島根県・再) 藤井貢(ふじいみつぐ)(広島県・新) 久米清美(くめきよみ)(徳島県・再) 染井圭弘(そめいよしひろ)(福岡市・再) 監事:片石修三(かたいししゅうぞう)(埼玉県・再) 下堂薗保(しもどうぞのたもつ)(東京都・新) 井上孝昭(いのうえたかあき)(岡山県・再) 参与:大胡田誠(おおごだまこと)(東京都・新) 富田清邦(とみたせいほう)(東京都・再) 大橋博(おおはしひろし)(滋賀県・再) 新城育子(しんじょういくこ)(熊本県・再) 《3.平成26年度事業計画の主な項目》 第T章 組織・団体活動 1.あはき問題の対策 2.語り部の派遣 3.同行援護事業及び移動支援の充実 (1)視覚障害者の同行援護事業に関する実態把握と課題 における調査研究事業 (2)同行援護事業所等連絡会の活動の強化 4.金融機関110番の設置 5.就労支援事業の実施 6.第67回全国盲人福祉大会の開催 7.各種会議の開催 (1)理事会の開催 (2)評議員会の開催 (3)総合企画審議会の開催 8.各協議会の運営 (1)あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師協議会 (2)青年協議会 (3)女性協議会 (4)音楽家協議会 (5)スポーツ協議会 9.各種研修大会、スポーツ大会等の開催 (1)第40回全国盲人文芸大会 (2)第14回全国障害者スポーツ大会長崎大会(後援) (3)第38回全国盲人将棋大会 (4)第29回全日本視覚障害者柔道大会(後援) 第U章 日本盲人福祉センターとしての事業の実施 第1 【第2種社会福祉事業】 1.全国視覚障害者団体に対する連絡及び助成事業の実施 2.更生相談所の経営 (1)総合相談の実施 (2)定例法律相談 (3)生活相談 (4)聞こえにくさ相談 (5)見えにくさに対する相談(中途視覚障害者を含む) 3.点字図書館の経営 (1)図書の製作・貸出方針 (2)ボランティア養成事業の拡充 (3)図書整理ボランティアの導入 (4)広報活動について (5)職員研修の充実について 4.点字出版所の経営 (1)委託事業の実施 (2)自治体広報の制作 (3)点字版選挙公報作成事業 (4)点字資料の作成 (5)研修の実施 第2 【公益事業】 1.福祉一般に関する調査、研究、改善普及、情報宣伝活 動及び文化向上に関する事業 2.国内及び海外の関係団体との相互交流、協力に関する 事業 (1)省庁や関係機関との協力 (2)国際交流 (3)各障害者団体との協力 3.その他の事業 (1)点字ニュース即時提供事業 (2)情報提供事業 (3)情報収集事業 (4)放送関連事業の実施 (5)結成70周年に向けた関連事業 (6)録音製作事業 (7)補装具、日常生活用具等の研究開発及び販売斡旋 (8)東京都委託事業 (9)地域貢献活動の実施 (10)触知図・触知案内板の制作等 《4.平成26年度の主な行事予定》 ●第67回全国盲人福祉大会:5月29日〜31日 / 大分県大分市のホルトホール大分 ●第60回全国盲青年研修大会:8月30日〜31日 / 岩手県盛岡市 ●第60回全国盲女性研修大会:9月7日〜9日 / 東京都新宿区 ●第15回全日本グランドソフトボール選手権大会(後援):9月13日〜14日 / 愛知県 ●第52回全国三曲演奏会並びに第53回福祉大会:9月21日〜22日 / 愛知県名古屋市の中電ホール・名鉄ニューグランドホテル ●第11回全国視覚障害者卓球大会(後援): 10月12日〜13日 / 東京都 ●第13回全日本視覚障害者ボウリング大会(後援): 11月1日〜2日 / 長崎県 ●第38回全国盲人将棋大会:11月8日〜9日 / 名古屋 ●第29回全日本視覚障害者柔道大会(後援): 11月24日 / 東京都文京区・講道館 ●第40回全国盲人文芸大会:11月下旬入選作品発表 《5.日盲連、視覚障害者の「聞こえにくさ」解消に従事》  日本盲人会連合では、平成24年から25年にかけ、視覚障害者の「聞こえにくさ」の解消に従事した。ここでは、その経緯と概要について説明する。  平成24年10月、高齢化社会といわれて久しい中、病気や加齢により聞こえにくくなった視覚障害者の相談事業を検討するための話し合いが、日本盲人福祉センターにおいて開かれた。参加したのは、東京都盲ろう者支援センターの職員2人と日本盲人会連合の大橋由昌(おおはしよしまさ)情報部長他1名の4人。  平成25年1月29日(火)には、近年、盲難聴者が増加しているといわれながらも、その実態を把握できなかった現状を踏まえ、試験的に本連合の事業として、「聞こえにくさ相談会」を本会館で行った。  相談は個人面談の形式で行い、盲ろう者支援センターや聴力障害者情報文化センターの専門スタッフが対応し、補聴器の選び方や日常生活上のアドバイスなど、当事者の特性に見合った解決策を探ろうというもの。また、本連合では他団体との連携強化の一環として、点訳ボランティア活動の応用ともいえる、「指点字通訳」の普及に取り組み、盲ろう者・盲難聴者の支援体制の充実を図ることなども期待している。  実施したところ、予想以上に大きな反響があり、平成25年度も継続して行い、パンフレット「視覚障害者の方へ 聞こえにくくなったと感じたら」を発行した。  なお、パンフレットは点字版・デイジー版・活字版が次のURLからダウンロードできる。  特定非営利活動法人 東京盲ろう者友の会  「視覚障害者の方へ 聞こえにくくなったと感じたら」(http://www.tokyo-db.or.jp/kikoenikusa/)  また、平成26年2月11日には、東京盲ろう者友の会主催の「『見えやすさ』と『聞こえやすさ』の情報展」が、ヒューリックホール浅草 橋(あさくさばし)・東京都盲ろう者支援センターの2会場で開かれた。同イベントでも視覚障害者向けに「聞こえにくさ相談会」を行ったところ、好評を博し、相談者が途切れなかった。  なお、これらに対する評判を鑑み、日盲連は平成26年度も「聞こえにくさ」解消のための活動を継続する予定。 《6.第37回全国盲人将棋大会 A級優勝は山下さん》  日本盲人会連合主催による第37回全国盲人将棋大会が、平成25年10月19日と20日の両日、東京・西早稲田の日盲福祉センターで開催された。審判長は、日本将棋連盟の中川大輔(なかがわだいすけ)八段が務めた。  大会にはA級(有段者の部)18人、B級(級位以下の部)13人の計31人が出場。 決勝戦では、A級が岡山県の山下幸四郎(やましたこうしろう)さん、B級が佐賀県の田中武男(たなかたけお)さんがそれぞれ優勝し、厚生労働大臣杯を手にした。 また、山下(やました)さんにはNHK会長賞、各級3位までの入賞者には日本将棋連盟会長賞並びに日盲連会長賞が贈られた。  そのほかの結果は次の通り(敬称略)。  A級準優勝・鷲頭芳夫(わしずよしお)(札幌)、同3位・岸本昇(きしもとのぼる)(兵庫)。  B級準優勝・柏木保行(かしわぎやすゆき)(名古屋)、同3位・長曽我部進(ちょうそかべすすむ)(宮崎)。 《7.第39回全国盲人文芸大会 入賞者発表》  日本盲人会連合主催による第39回全国盲人文芸大会の入選者が決まった。  今回は全国から短歌58人(166首)、俳句53人(154句)、川柳47人(139句)、随想・随筆14人(14編)の応募があった。厳正な審査の結果選ばれた入賞作品には、日盲連会長賞のほか、短歌の第1位に厚生労働大臣賞、俳句の第1位に文部科学大臣賞、川柳の第1位にNHK会長賞、随想・随筆の第1位に東京都知事賞がそれぞれ贈られる。各部門の第1位から第3位までの入賞者は次の通り(敬称略)。  短歌の部1位・福元清朗(ふくもとせいろう)(鹿児島県)、2位・大竹睦美(おおたけむつみ)(神奈川県)、3位・埜村和美(のむらかずみ)(山梨県)。  俳句の部1位・寺門勇治(てらかどゆうじ)(茨城県)、2位・佐々木京子(ささききょうこ)(宮城県)、3位・鈴木正雄(すずきまさお)(千葉県)。  川柳の部1位・上野益男(うえのますお)(岐阜県)、2位・田村悠子(たむらゆうこ)(東京都)、3位・中谷保子(なかたにやすこ)(奈良県)。  随想・随筆の部1位・横山博一(よこやまひろかず)(福井県)「稲藁と私」、2位・高野智洋(たかのともひろ)(広島県)「訪問マッサージで広がる世界」、3位・長友冨士子(ながともふじこ)(宮崎県)「銀木犀(ぎんもくせい)」。 《8.短信》 《8−1.秋の叙勲・褒章》  平成25年秋の叙勲・褒章受章者のうち、視覚障害関係では次の方々が受章されました。 ※()内は受賞時の年齢  【旭日双光章】前川昭夫(まえかわあきお)・日本盲人会連合副会長(70)、中西美雄(なかにしよしお)・富山県視覚障害者協会長(70)、石渕貞次郎(いしぶちていじろう)・元熊本県視覚障がい者福祉協会長(77)  【旭日単光章】諏訪光英(すわこうえい)・茨城県視覚障害者協会副会長(71)  【瑞宝小綬章】岡崎豊治(おかざきとよじ)・元北海道高等盲学校長(74)、山本明忠(やまもとあきただ)・元京都府立盲学校長(77)  【黄綬褒章】浅香定雄(あさかさだお)・埼玉県視力障害者福祉協会会員(72)、山田喜美子(やまだきみこ)・富山県視覚障害者協会評議員(75) 《8−2.日盲連加盟団体 新法人移行》  新制度上の公益法人への移行を申請していた社団法人奈良県視覚障害者福祉協会(辰巳寿啓(たつみとしひろ)会長)が一般社団法人奈良県視覚障害者福祉協会に、平成25年11月1日より移行した。 《8−3.埼玉県視障協新会長に岸邦久(きしくにひさ)氏が就任》  社団法人埼玉県視力障害者福祉協会の岡田(おかだ)ひろみ会長が勇 退、2月11日に岸邦久(きしくにひさ)氏の新会長就任が決まった。 《9.訃報》  (1)特定非営利活動法人DPI(障害者インターナショナル)日本会議の三澤了(みさわさとる)議長が平成25年9月30日、逝去された。71歳。葬儀は近親者で営まれ、後日偲ぶ会が開かれる。  (2)障害者の自立と完全参加を目指す大阪連絡会議(障大連)議長の 楠敏雄(くすのきとしお)さんが平成26年2月16日、逝去された。69歳。葬儀は近親者で営まれ、後日偲ぶ会が開かれる。  楠(くすのき)さんは、戦後の障害者解放運動をリードしてきた活動家として著名。  (3)公益社団法人福島県視覚障がい者福祉協会の柏谷勲(かしわやいさお)前会長(現名誉会長)が3月20日、逝去された。79歳。告別式は3月24日、飯坂町(いいざかまち)平野(ひらの)の「ほうりん福島平野(ひらの)斎場」でしめやかに営まれた。喪主は長男の智也(ともや)さん。 《10.東日本大震災義援金終了報告》  日本盲人会連合では、平成23年3月11日に発生した東日本大震災の直後から、被災された視覚障害者の方々への義援金を募ってまいりましたが、平成26年3月末をもって終了致しました。  平成26年3月20日までに日本盲人会連合に寄せられた東日本大震災義援金は、以下の通りです。  総計:556件、5407万5737円  配布数:646人と7団体  義援金を受け取られた皆様からは、お礼の言葉が寄せられております。今までご協力いただいた全国の会員・関係者の皆様に篤く御礼申し上げます。  ご協力ありがとうございました!! 《11.第67回全国盲人福祉大会》  主催:社会福祉法人日本盲人会連合・社会福祉法人大分県盲人協会  会期:平成26年5月29日(木)〜31日(土)  会場:ホルトホール大分(会議)・レンブラントホテル(懇親会) 《主な日程》  【第1日目】5月29日(木)   ・理事会   ・評議員会   ・あはき協議会代議員会   ・スポーツ協議会代表者会議  【第2日目】5月30日(金)   ・第51回全国盲人代表者会議   ・懇親会(レンブラントホテル)  【第3日目】5月31日(土)   ・第67回全国盲人福祉大会(式典・議事)  主管団体事務局:社会福祉法人 大分県盲人協会  〒870-0043 大分市中島(なかしま)東(ひがし)1-2-28  電話:097-532-8450 / FAX:097-532-8230  Eメール:bck00352@nifty.com