まちを歩くために 目の見えない人・見えにくい人の 外出を助けるために 視覚障害者のための歩行支援系機器に関する啓発事業 平成23年(2011年)12月 社会福祉法人日本盲人会連合 (表紙についての説明)  表紙(墨字版)のマークは、世界盲人連合で1984年に制定された世界共通のマークである「盲人のための国際シンボルマーク」です。  このマークは、目の不自由な人の安全やバリアフリーのために考えられた建物や設備、機器などにつけられています。具体的には、信号機や国際点字郵便物、書籍などに使用されています。  このマークを見かけた場合には、目の不自由な人への配慮についての理解と協力をお願いします。 皆さんへ  皆さんは道を歩くときに、目から入ってくる情報や、耳から入ってくる情報を頼りに歩いていると思います。  地図を見れば、行きたい場所に行くことができるし、地図が無くても、案内板を頼りに、目的の場所まで行くことができます。  目から入って来る情報が一切無くなってしまったり、制限をされてしまったりしたら、私たちは、どのようにして道を歩き、目的地まで行ったらいいのでしょうか。困ったことに、道をまっすぐ歩くことも難しいでしょうし、どこの角や交差点を曲がったらいいのかもわかりません。信号の色の区別も出来ません。  そんな目の不自由な人が歩くときに、それを助ける機器がいくつもあることを皆さんは知っていますか。普段歩いている道の中で、これは何のためにあるのか疑問に思っていることはありませんか。これからこの本を皆さんに読んでもらい、目の不自由な人が道を歩くときの理解を深め、協力して暮らせる社会づくりを考えていきましょう。 目 次 第1章 見えないということ (1)目の見えない人とは (2)日常生活 (3)仕事 (4)移動や外出 第2章 目の見えない人のための機器の必要性について (1)誘導用ブロック(点字ブロック) (2)点字案内 (3)音声案内 第3章 目の見えない人のための機器の紹介 (1)道路関係 (2)建物関係 (3)交通機関関係 (4)さがしてみよう その他 (1)博物館や美術館などの見学 (2)スポーツ活動、文化活動、映画鑑賞 (3)各施設などの利用方法 (4)目の見えない人との接し方 (5)3月11日に発生した東日本大震災について 第1章 見えないということ (1)目の見えない人とは  目が不自由になった理由は、生まれつきの人、途中で病気になった人など、人によって違います。  目の見えにくさには、全く見えない人や、ものが見えにくい人などいろいろな見えにくさがあります。  平成18年度に国が調査したところによると、目の不自由な人は全国で約31万人います。 平成18年度身体障害児・者実態調査結果 18歳以下 4千900人 18・19歳 1千人 20~29歳 5千人 30~39歳 1万2千人 40~49歳 2万1千人 50~59歳 4万6千人 60歳~64歳 3万3千人 70歳以上 15万3千人 不詳 6千人     平成22年に日本盲人会連合が、全国の目の不自由な人419人に調査した毎日外出する場所についての結果です。 毎日外出する場所 職場119人 病院28人 デイケア等25人 役所 34人 駅等108人 繁華街35人 コンビニ43人 銀行等29人 スーパー62人 散歩87人 その他37人  目の不自由な人にとって、もっとも大変なことと言われていることが、2つあります。それは「情報を得ること」と「移動すること」です。  皆さんが普段得ている情報の約80%は目から入ってくる情報だといわれています。皆さんが読んでいる文字(点字に対して墨字といいます。)で書かれていても、目の不自由な人はわかりません。点字や音声で伝えてもらわないと、情報を得ることができません。自分の知りたい情報だけを、新聞などから見つけることも大変です。目の不自由な人も皆さんと同じように、知りたい情報をすぐ知ることができるようになることを望んでいます。また、自分で文字を書くことが難しいため、契約書や宅急便などサインが必要になったときに、困ることがあります。  目の不自由な人が移動する場合、まわりの状況を確認しながら歩くことがとても難しく、逆の方向に歩いてしまったり、道路の真ん中を歩いたりして、大怪我につながることもあります。また、行き先を見つけることが簡単ではありません。  外に出ると、駅のホームや横断歩道など、危険な所が多くあるので、目の不自由な人の移動を助けるために音や手足の感覚により情報を伝える機器が設置されていて、それらの機器を使用しています。 屋外の移動時に困ること 現在地254人 道順288人 方角283人 その他36人 (平成22年 日盲連アンケート) (2)日常生活  目の不自由な人は、いつも決まった場所に物を置くことで、物を踏んで壊したり、ぶつかったりしないように動くことができます。いつもと違う場所に物が置いてあると、ぶつかったり転んだりして怪我をする原因にもなります。  いつも使っている物をいつもと同じ場所に置いたり、触るとわかる印をつけたりして、ふだんの生活が、スムーズにいくように、工夫しています。また、目の不自由な人用の製品も多く作られてきているのでそれらにも助けられています。カラートークは、色を知りたい物の表面にあてレバーを押すと、色を教えてくれます。レバーを押し続けると、楽器音になり、移動させると色がかわった位置で楽器音もかわり色の変化がわかります。洋服のコーディネートや靴下の色を左右で間違えないようにするためなどに使用しています。 (3)仕事  昔から目の不自由な人は、指先の感覚が優れている人が多いと言われ、「あん摩、マッサージ指圧、鍼、灸」を行ってきました。  現在では、パソコンの仕事をする人も増えてきました。公務員や学校の先生の他、少数ですが、医者、弁護士もいます。 (4)移動や外出  目の不自由な人が外を歩くときには、白い杖(白杖)をもって周りの音や匂い、足の感触、段差、電柱など、多くの情報を頼りにして目的地までの行き方を覚えます。盲導犬という特別な訓練を受けた犬を連れて移動している人もいます。  盲導犬は法律でも認められていて、目の不自由な人と一緒に電車やバスに乗ったり、お店などに一緒に入ることができます。現在、国内では、ラブラドール・レトリバーが一番多く活躍しています。盲導犬を見かけたらなでたり、触ったりしないようにそっと見守ってあげましょう。  目の不自由な人が大変なことのひとつに移動することがあるということをお話ししましたが、音や指先、足の感触から情報を得ることで移動を助ける機器(点字ブロック、点字案内、トイレ内情報装置、音声案内)があり、外出したときに安全で安心して移動ができるように支えています。 第2章 目の見えない人のための機器の必要性について (1)誘導用ブロック(点字ブロック)  目の不自由な人は、まわりの危険物に気づくことができずに自転車や看板などにぶつかりそうになったり、横断歩道や交差点に来たとき、どこで止まったらよいのかわからなかったりします。また、駅のホームでの移動の際、目の不自由な人はホームの端に気づかずに線路に落ちてしまうことがあり、一歩間違えば命にかかわります。  目の不自由な人が事故にあわずに安心して移動ができるように、点字ブロックは、どの方向に進んでいるのか、曲がり角や先に注意するものがあるかどうか、教えています。  点字ブロックは、昭和40年(1965年)に日本(岡山市)で誕生しました。点字ブロックの種類には、点状ブロックと、線状ブロックの2種類があります。  点状ブロックは交差点や段差などの危険な場所や出入口の手前などに設置され、注意や止まれを意味しています。  線状ブロックは道路の進行方向に向かって設置され、線をたどって安全にすすめる道筋を示しています。  見えにくさにはいろいろな種類があり、点字ブロックを利用するときに目で見て判断している人も多くいます。点字ブロックの色が道路や周りの色と同じだと、使いづらいものになってしまいます。  点字ブロックの色がはっきりしているとわかりやすく、特に黄色い色は見やすいので多く使用されています。 (2)点字案内  目の不自由な人は、自分の行き先や今どこにいるのかの確認を目ですることができません。  エレベーターに乗ったとき、どのボタンを押せば行きたい階に行けるのかわからずに違う階へ行ってしまったり、電車から降りたあとどうすればいいのかわからずに、違う場所に行ってしまったりして、行きたい場所にたどりつくのに多くの時間がかかってしまいます。  周りの人に聞くにしても、いつでも周りに質問しても答えてくれる人がいるわけではないため、移動の際には手助けが必要になります。  点字案内は、点字で目の不自由な人に、自分がどこにいるのか、どうやって目的地まで行くのかということを教えてくれます。主に手すりや部屋の入口、エレベーターなどにつけられています。  点字案内に触れることによって、知りたいときに確認をしながら情報を得ることができるので、目の不自由な人が安心して移動をすることができるようになります。 (3)音声案内  目の不自由な人は、交差点で信号が今、何色をしているのかの判断をすることが難しく、自動車の走る音や周りの人の動きで判断しています。そのため、車があまり走っていない交差点や人が歩いていない交差点では音が聞こえず、信号の色を間違えて渡ってしまうこともあります。そのような場合の手助けとして、横断歩道の信号の色が変わったときに音(ピヨピヨ、カッコー)や音声(信号が青に変わりました等)で案内をする機器があります。  いつも、目の不自由な人を案内してくれる人が一緒に居てくれたら良いですが、一人で歩くとき、いつもと同じ場所に音声案内装置があれば、道路の曲がり角や、お店や駅の入口などが自分で確認できて、移動しやすくなります。音声案内装置が外出先にたくさん取り付けてあれば、道に迷う不安も少なくなって、一人でも安心して外出できます。  目の不自由な人はトイレを使いたいときに、水の流し方やトイレットペーパーの位置など、利用する方法やレバーの位置が分からなくて困ってしまうことがあります。そのための手助けとしてトイレの使い方(便座に座った状態で右側、手すりの下に水を流すボタンがあります)などを案内する音声案内があります。 第3章 目の見えない人のための機器の紹介 (1)道路関係 ①点字ブロック  道路にある点字ブロックは、進む方向、曲がり角や横断歩道など気をつけないといけない危険な場所を目の不自由な人に示しています。  点字ブロックが、壊れたり、途中でなくなってしまっていたりすると、道路と点字ブロックの区別ができなくなり、歩いている途中で迷ってしまいますので大切にしましょう。  また、点字ブロックの上に自転車などが置いてあると、ぶつかってしまい、怪我をしてしまうことがありますので絶対にやめましょう。   (1)道路関係 ②音声・音響信号機  音声・音響信号機は、信号が青色になったときに音が出て、信号の色が見えなくても、青に変わったことを音で知らせます。現在「メロディー式(通りゃんせ、故郷の人々など)」や「擬音式(ピヨピヨ、カッコー)」が、主に使われています。  目の不自由な人は、音の案内を頼りに歩いているので、スピーカーから聞こえてくる案内の内容が違っていたら、間違ったところへ行ってしまい困ってしまいます。  また、案内の音量が小さくて聞こえないと、案内に気づかないし、逆に大きくてうるさいと、案内を必要としない人には騒音になってしまうため、周りの環境に合わせた音の大きさで使うことも大切です。 ③音声案内装置  目の不自由な人が、電波を発信する小型発信器の押しボタンを建物の入口近くで押すと、音声案内装置が電波を受信し、入口に付いているスピーカーから、音声案内が流れます。目の不自由な人がいないのに、音が鳴っていると、音声案内装置を使わない人は、少しうるさく感じますが、この装置なら目の不自由な人が、使うときだけ聞けるので、とても便利です。  また、この小型発信器は音声案内装置だけではなく、目の不自由な人に対応した信号機でも使えます。信号の押しボタンを探すことが難しいとき、この小型発信器の電波を信号機に送ると、横断時間を音響で知らせ、渡る時間も長くしてくれるので、外での移動の安全をサポートしてくれます。 (1)道路関係 ④エスコートゾーン  エスコートゾーンとは車道上の横断歩道に設置された突起体の列のことです。  目の不自由な人が横断歩道を歩行する際、まず音声・音響信号機で青信号を確認します。  つぎに道路を横断するときに横断方向の手がかりとして横断歩道の中央付近に設置されたエスコートゾーンに沿って横断します。  形状は歩道上の点字ブロックと区別できるよう違う形状になっています。また、色彩は車の運転を妨げないよう横断歩道と同じ(白色と灰色)になっています。 (2)建物関係 ①点字ブロック  建物の中の点字ブロックは、部屋までの通路、階段の位置を示しています。どこから階段が始まるか、どの位置に部屋があるのか、点字ブロックをたどっていけばわかるように敷かれています。  階段の位置や部屋等の入口は点状ブロック、進む方向は線状ブロックが敷かれています。 (2)建物関係 ②点字案内  建物の中の点字案内板には、建物全体のつくりや今いる位置の案内、エレベーターのボタンの説明、危ないところで注意を呼びかけるものなどがあります。  点字案内板は、点字だけでなく、建物の中の部屋などの位置を、凸を付けることで立体的にわかるようにしています。  点字が欠けたり、凸が欠けたりすると、正しい情報を得ることができません。汚れがつきにくく、丈夫な素材などで、触りやすい位置に設置してあれば、より目の不自由な人にとって使いやすい案内になります。 ③音声案内  建物の入口などにある音声案内は、建物の位置の案内をしたり、道案内をしたりします。音声案内とは、目の不自由な人に、音や音声(ことば)で案内するための装置です。行きたいところの場所や分かりづらい所を『ことば』で案内すれば、目の不自由な人も、分かりやすくて安心です。  音声案内装置には、大きく分けて3つの仕組みがあります。 1.いつも鳴っている案内装置。 2.人が来たときにセンサーで感知して案内する装置。 3.目の不自由な人が持つ、発信器の電波に反応して案内をする装置。  スピーカーから案内が流れてくると、どこから音が聞こえてくるのか分かります。スピーカーから出る案内と、聞こえてくる音の場所が分かれば、建物の入口の位置や、駅の改札口・トイレなどの場所がとても分かりやすくなります。 (2)建物関係 ④トイレ内情報音声案内装置  男子トイレや女子トイレの案内や、どこに便器があるのか、トイレットペーパーの位置や水の流し方などを音声で案内します。音声での案内なので、表現の仕方もみんながわかりやすい言葉になるよう、工夫がされています。  トイレの音声案内には、人の気配を感じると自動的に案内が始まり、必要な人だけ詳しく案内を聞くことができるものと、必要な人がボタンを押すと案内が始まるものがあります。装置の設置場所を便器の横にすることで使いやすくなります。 (3)交通機関関係 【駅】 ①点字ブロック  駅の出入口、改札口、ホームに点字ブロックがあります。点字ブロックがあることで、ホームを歩く目の不自由な人が転落したり、電車と接触することがないようにしています。 ②音声案内  駅には音声や音による案内がついているところがあります。また、音声案内がついているので駅の入口がわかるようになり、安心して利用することができます。 (3)交通機関関係 ③きっぷ売場  自動券売機のそばには、点字の運賃表があり、行き先までの料金の案内があります。タッチパネル式券売機には数字のテンキーがついており、音声で案内が付いているのでガイダンスに従って安心して購入することができます。 ④点字案内  電車のドアについている点字案内により、電車の何号車の何番目のドアに乗っているかを知ることができます。次の電車への乗り継ぎなどに便利です。階段の手すりにも、行き先の案内がされています。また、駅の構内を表示した点字案内板が設置されている。 ⑤ホームドア  ホームドアとは、ホームの縁に沿って設置されている転落防止用の壁で、扉が付いていて、電車が来たときにだけ乗り降りできるように車両のドアと連動して開閉する仕組みになっています。 (3)交通機関関係 【バス・タクシー乗り場】  バス停までの道案内のための点字ブロック、行き先や時刻表の点字案内、バス停にはバスが来たことを知らせる音声案内で情報を知らせてくれているところもあります。 また、タクシー協会からの依頼で、タクシーの車内に会社名や車の番号を点字で案内しているところもあります。 忘れ物をしたときなどに、どのタクシーに乗ったのかがわかるので目の不自由な人の助けになっています。 【空港】  空港によっては、空港の構内を表示した点字案内板が設置されていたり、障害者のためのバリアフリーマップを備えたり、点字ブロックにより、目の不自由な人に向けた空港内サービスが簡単にわかるようにしています。また案内カウンターで障害者に対応した質問に答え、タクシーやバスの乗り場や待ち合わせ場所まで案内をしてくれます。 (4)さがしてみよう  みなさんの住んでいる地域の中で、どんな歩行支援機器があるでしょうか?帰り道や駅の中などを探してみましょう。 みなさんの家のまわりでは、どんな機器がありましたか? 駅   機器の種類          機器の数 ・                【    】 ・                【    】 ・                【    】 道路   機器の種類          機器の数 ・                【    】 ・                【    】 ・                【    】 スーパー・銀行   機器の種類          機器の数 ・                【    】 ・                【    】 ・                【    】 建物のなか 建物の名前【                】   機器の種類          機器の数 ・                【    】 ・                【    】 ・                【    】 おわりに  目の不自由な人は、ふと思いついたときに行きたい場所へ行くことができません。それには、目から入って来る情報を頼りに移動することができないからという問題があります。  目が見えないからという理由で、移動するときに危険な目にあったり、行きたい場所に行けないということは、目の不自由な人の安全と自由が無くなってしまうことになります。  移動のときに、目から入って来る情報以外で、目の不自由な人の移動を助けているのが、この本の中で紹介してきた機器です。音や指先、足の裏の感覚が、皆さんが目から得る情報と同じ情報を目の不自由な人に伝えられるように、多くの人が協力して、点字ブロック、点字案内板、音声案内装置などといった目の不自由な人の歩行を助けるための機器が作られてきました。 これらの機器は、皆さんと目の不自由な人が協力することによって、より素晴らしいものになり、機器としての役割を十分に果たすことができます。そのためにも皆さんが目の不自由な人の移動のための機器の理解をしてくれるよう願っています。 《その他》 (1)博物館や美術館などの見学  目の不自由な人の博物館や美術館の楽しみ方としては、触って鑑賞できる展示物や、点字表記による作品解説、目の不自由な人も参加できるワークショップ、博物館・美術館の点字による紹介冊子、レシーバーを使った音声案内、目の不自由な人による作品展などがあり、各博物館や美術館では目の不自由な人も楽しめるような取り組みがなされています。博物館・美術館によっては職員が展示作品の案内をしてくれるところや、館内の点字ガイドブックを貸し出してくれるところ、作品の音声案内などの配慮があるところは、現在、多くはありません。今後は多くの博物館・美術館で、目の不自由な方への配慮が進むことを期待しています。 (2)スポーツ活動、文化活動、映画鑑賞 スポーツ活動 ①グランドソフトボール  グランドソフトボールは目の不自由な人の野球です。手をたたいたりすることによってボールを投げる場所を伝えます。使うボールは、ハンドボールと似たようなボールですが、 ボールが転がる音をたよりに、ボールをバットで打ちます。全盲の選手でも選手は皆、目隠しをして試合を行います。 ②フロアバレーボール  床の上を滑るように転がってくるボールをネットを挟んで打ち合うスポーツです。目の不自由な人と皆さんが一緒にプレイできるように考案されている球技で、バレーボールを参考にしています。 ③サウンドテーブルテニス  鉛の玉の入った卓球のボールをラバーの張っていないラケットで音だけを頼りに打ち合う競技で、静かな環境の中で実施します。 ④柔道  皆さんが知っている柔道と同じですが、全く見えない人が試合を始めるときは、対戦する相手がどこにいるのかわかるように、襟を持って組んでから試合を始めます。また、決められた枠からでても全く見えない人の場合は反則を取られません。これらの他にも、ブラインドテニスやゴールボール、スキーなどのスポーツを楽しんでいます。 文化活動 将棋  目の不自由な人が将棋を指せるように駒に点字が打ってあり、盤のます目には凹凸で区切りがされている特別な盤と駒を使って指す将棋です。将棋盤を見ることが出来ないので、頭の中に盤を描いて指し手を考えます。皆さんと対局することも出来ます。 トランプ カードの数字が書いてある面の左上と、右下に点字が打ってあります。 映画鑑賞  映画に興味を持っている目の不自由な人は多くいますが、映像が見えない、字幕が読めないということは、映画鑑賞をする上でとても大きなバリアとなります。  映画に副音声をつけることにより、目の不自由な人でも映画を楽しんでいます。ときどきこの音声ガイド付きの映画の上映が行われていますが、日本ではまだほとんど普及していません。 (3)各施設などの利用方法 ①商店・スーパー  お店で買い物をするとき、目が不自由だと、どこにどのような商品が置いてあるのか、また買いたい商品の情報について知ることができません。  スーパーや商店に一人で行くことはできても、何か物を買ったり選んだりする際には、店員さんの力を借りることが必要になるため、サービスカウンターやレジに行って案内を頼んだり、あらかじめ電話で買い物の案内を頼んだりします。  携帯電話のQRコードの読み取り機能を使って、簡単に商品の情報が得られるようにしてほしいという希望もあります。 ②銀行  目の不自由な人が銀行を利用しやすいように、銀行では各店舗の整備が行われています。中でも音声ガイダンス付きATM(現金自動預け払い機)の設置は急速に進み、大手都市銀行には、ほぼ全店に1台は設置されている状況です。ところが、店舗の入口や音声ガイダンス付きATMには目の不自由な人を誘導する案内などがないため、音声ガイダンスつきATMがどこに設置されているのかわからず、利用するのが大変です。 (4)目の不自由な人との接し方  目の不自由な人は、白い杖を持っています。目の不自由な人が持っている白い杖を白杖といいます。  目の不自由な人が困っていそうなときは、勇気を出して「何かお手伝いしましょうか」と声をかけてください。そのとき「結構です。」と、断られることもありますが、めげずにまたチャレンジしてください。みなさんが声をかけてくれたことで、目の不自由な人がとても助かることがあります。急に腕や白杖をつかんだり、大きな声を出さないようにしましょう。気づかないときは、軽く肩や手に触れてもう一度声をかけてみましょう。  白杖を持っている手の反対側に立って、腕や肩をつかんでもらって歩きましょう。  目の不自由な人と歩くときは、周りの様子を言葉で説明しましょう。「階段を下ります。段差があります。道が狭いので左に寄りましょう。エレベーターに乗ります。」などなど、みなさんが目で見える情報を伝えましょう。 「こっち・そっち・あっち」は使わずに、伝えたい方向を、時計の針をイメージしながら伝えましょう。 例:3時の位置に、お箸があります。12時の位置に、スープがあります。  目の不自由な人から離れるときは、今いる位置を教えてあげてから、声をかけて離れましょう。 (5)3月11日に発生した東日本大震災について  この度発生した東日本大震災では、大きな地震や大津波が押し寄せる中、被災地の人々は、必死の思いで逃げのびました。逃げのびた後も、学校の体育館などの避難所生活での狭い空間で、プライバシーもなく、仮設住宅に移っても新しい生活環境に慣れずに不安な日々を過ごしています。  さらには放射能汚染に大きな不安を抱きながら、これからどのようにしていけばよいのかわからない状況に立たされています。  特に目の不自由な人は、震災に関する情報やコミュニケーションについて、避難時や避難所生活で、避難の知らせやトイレの位置、食べ物の配布場所がわからなかったりなど、目が不自由なことで大変な思いをされています。  震災が発生したときに、目の不自由な人の生活が困難にならないような配慮が願われています。 視覚障害者のための歩行支援系機器に関する啓発事業 委員名簿 (順不同・敬称略) 財団法人安全交通試験研究センター 理事長 三宅 三郎 常務理事 由利 公弘 池野通建株式会社 福祉開発部 部長 吉田 健二 次長 松村 孝好 課長 田久保 孝二 株式会社サン工芸 代表取締役社長 杉山 欣司 東京営業所 所長 諏訪部 俊彦 レハ・ヴィジョン株式会社 代表取締役社長 一二三 吉勝 社会福祉法人日本盲人会連合 参 与 中山 政義 団体事務局課長代行 有泉 一如 視覚障害者のための歩行支援系機器に関する啓発事業  報告書  平成23年(2011年)12月 社会福祉法人日本盲人会連合 〒169-8664 東京都新宿区西早稲田2-18-2 電話 03-3200-0011 FAX 03-3200-7755 本事業は、東電生活協同組合並びに 全国労働者共済生活協同組合連合会の助成により実施されたものです。