東急大井町線下神明駅における視覚障害者の転落死亡事故に関する緊急声明

2018年9月19日

平成30年9月19日 

 

東急大井町線下神明駅における視覚障害者の

転落死亡事故に関する緊急声明

社会福祉法人日本盲人会連合 
会長 竹下 義樹 

公益社団法人東京都盲人福祉協会 
会長 笹川 吉彦 

 

 去る9月4日午後、東急大井町線下神明駅において、視覚障害の男性が駅ホームから転落し、電車に轢かれ死亡するという痛ましい事故が発生した。

 ご遺族には心からお悔やみを申し上げる。それと共に、またしてもという感でこの事実に接しなければならないことに哀しみと無限の憤りを禁じ得ない。私たちは、この3年の間だけでも青山一丁目駅、河内国分駅、蕨駅、富木駅、上新庄駅、保土ヶ谷駅と、これらの駅で発生した視覚障害者のホームからの転落死による葬列をお見送りしなければならなかったのである。一体、いつまで、何度このような体験をしなければならないのか。鉄道関係者のみならず、全ての国民の皆様に考えていただきたい。

 事故発生を受けて、9月11日、本連合は東京都盲人福祉協会及び品川区視覚障害者福祉協会と共に下神明駅で現場検証を行った。事故の原因を解明し、次の事故を防ぐためである。駅ホームは相対式で狭隘な感じがする。内方線付き点状ブロックは敷設されているが、ホームドアは無く、地元視障協の会員はこの点を考慮するなどして安全な利用に心掛けているという。まだ断定的なことは言えないが、今回、一つ残念なことは転落時に白杖を携帯していなかったとみられていることだ。鉄道各社の安全への取り組み状況を見ると、私たちの要求に応え、駅構内での視覚障害者への声かけを各社横断的に「声かけ・サポート」運動として展開していただいている。私たち自身も当然ながら安全な歩行に心掛けねばならない。鉄道会社に安全のための取り組みを求める以上、自らも律することは不可欠だ。

 鉄道駅ホームからの転落事故は、国、自治体、鉄道事業者、そして駅利用者が努力すれば、必ず無くすことができる事故である。事故が発生した下神明駅では、来年度下期でのホームドア設置が計画されていたという。あと一年早ければと思うと、悔しく、残念でならない。このような後悔はこれを最後にしたい。そのためにも抜本的な安全対策を可及的速やかに講じ、二度とこのような悲惨な事故が生じないよう強く望むものである。

 以上声明する。