愛盲時報 第186号(テキスト形式・全文)

2001年3月30日

 愛盲時報 第186号(平成13年3月30日発行)

1.IT、信号機、アハキの専門委発足
  日盲連の13年度事業計画と予算 理事会と評議員会
 笹川体制になって2年目だが、実質笹川色初めての、事業計画及び
予算編成となる日盲連の平成13年度の運動方針・事業計画、同予算
案を審議する理事会・評議員会が3月12日、東京・晴海の東京ホテ
ル浦島で開かれた。また、13日午前、同所で指導者研修会が行われ
た。
 事業計画及び予算は本部原案通り満場一致で承認された。予算の特
徴としては総合企画審議会の中にIT問題等3つの専門委員会を設け、
テンポの早い社会の流れに即対応できる体制作りに重点をおいたもの
になっている。具体的にはアハキ業における無資格者問題、晴眼養成
校の急増に加え、社会福祉の基礎構造改革など、当面する大きな問題
解決には日盲連組織が十分力を発揮するための体制強化と地元団体と
の協力は欠かせないとしている。
 事業計画では、地域の組織強化が急務である事から組織団体の協力
のもと、実態の把握と情報収集に重点をおくとともに、会員からの情
報がすばやく日盲連に届くよう情報ネットを強化する。また最近の視
覚障害者のIT対応や音響信号機の問題についてはそれぞれ、総合企
画審議会の中に専門家を交えた「委員会」を設け、引き続き検討を加
える事となった。
 職業対策では、あん摩師等法第19条に「鍼灸」を加える運動を継
続し、さらに関係団体との調整が必要な事から「アハキ問題検討委員
会」で今後の方策を検討することとした。また、第54回全国盲人福
祉大会は5月16日(水)から3日間、埼玉県視力障害者福祉協会と
の共催で埼玉県さいたま市での開催を確認した。
 平成13年度予算は5億6173万2千円で前年度より891万8
千円の増加、会計区分では合計16本となった。また、村谷昌弘日盲
連名誉会長の功績を讃え、ブロンズ像を建立すること、そのための費
用として1団体約2万5千円を負担することが決まった。
 なお、会場には「電子投票システム」の操作体験コーナーが設けら
れ、参加者は熱心に説明を受けていた。
 2日目の午前中の指導者研修では、厚生労働省社会・援護局障害保
健福祉部企画課社会参加推進室の吉田秀博室長より「政府の構造改革
と平成13年度新規事業予算案について」の講演があった。
  主な行事予定
 第54回全国盲人福祉大会(5月16日~18日、さいたま市)。
第47回全国盲婦人研修大会(7月26日~28日、熊本市)。第4
7回全国盲青年研修大会(8月24日~26日、徳島市)。第21回
全国視覚障害者社会人卓球大会(9月22日~24日、座間市)。第
43回全国盲人音楽家福祉大会・演奏会(9月30日~10月1日、
神戸市)。第16回全日本視覚障害者柔道大会(11月4日、東京都
)。第8回全国フロアバレーボール大会(11月23日~25日、岡
山市)。
  3つの専門委員会
 日盲連の3つの専門委員会のメンバーは次の通り(各委員会とも1
番目のメンバーが委員長)。
 視覚障害者のIT利用促進検討会:牧田克輔(日盲連情報部長)、
寺島彰(国立リハビリテーションセンター研究所障害福祉研究部社会
適応システム開発室長)、田中徹二(日本点字図書館館長)、川村利
和(都盲協前青年部長)、唐沢武士(日盲連組織部長)、川畑順洋
(同情報部次長)。
 音響式信号機等検討委員会:高橋一居(日盲連総合企画審議会委員
長)、齊藤績(日盲連副会長)、渡辺哲宏(同理事)、名取陸子(同
婦人協議会長)、岩屋芳夫(横浜市視障協)。
 アハキ問題検討委員会:関米一郎(日盲連アハキ協議会長)、猪股
功忠(同副協議会長)、時任基清(同常任委員)、渡辺哲宏(同委員
)、稲垣佳生(都盲協職業部長)。

2.19条改正の戦術練る アハキ協委員会 日盲連
 日盲連アハキ協議会(関米一郎協議会長)の委員会が3月13日、
東京・晴海の東京ホテル浦島で開かれ、介護保険へのあん摩マッサー
ジ指圧師参入、アハキ師法第19条に「鍼灸」を加えるなどを柱とし
た7つの平成13年度の活動目標を定めた。
 これらの活動目標は前年度から引き続く基本路線で、問題解決のた
め関係各団体と話し合いは継続するとの運動基本方針を確認した。
 平成13年度の7つの活動目標は次の通り。
 (1)介護保険へのあん摩マッサージ指圧師参入運動、(2)アハ
キ健保取扱改善運動(施術単価引き上げ、受領委任払い協定禁止撤廃、
同意書簡素化、鍼灸施術の回数・期間制限撤廃等)、(3)無資格者、
違法類似業者一掃運動(これらの業者の誇大広告、違法者を美化する
報道への抗議等)推進、(4)法改正運動(第19条に鍼灸包括。手
技療法、鍼灸、及び手技療法師、鍼灸師定義。法形態の整備等)推進、
(5)視覚障害者が国試受験で不利とならない運動、(6)学習運動
(グランドデザイン等の学習資料提供等啓発活動)強化、(7)日マ
組織強化運動(積極的入会勧誘。日盲連加盟各団体ごとに日マ支部設
置)推進。
 ただ、(4)のアハキ師法第19条に「鍼灸」を包含する戦術につ
いては、従前通り「業」として関係7団体の協調を得るまで粘り強く
話し合いを続けるか、あるいは視覚障害者という立場で全鍼師会など
の賛同を得ずに動くのか、意見の分かれるところ。当日の委員会でも
結論は出ず、改めて4月3日に同委員会を再開、検討することとした。

3.保険証のカードに点字 厚生労働省課長通知
 厚生労働省(保険課)は2月14日付で、健康保険証の個人単位の
カード化に伴い、そのカードの氏名等を希望があれば点字でも表示す
るよう配慮に努めよと、各健康保険組合に課長通知を出した。
 カード社会、どのカードが何のカードか、視力がないと区別しにく
いことから、日盲連では各種カードに識別マークをつけるよう、かね
てから強く要望していた。
 厚生労働省は、4月1日から健康保険証を世帯単位から個人単位に
変え、その際、カードにしても良いと法律改正したが、早速、日盲連
の要望を受け入れた課長通知になった。なお、厚生労働省は通知に合
わせて「Q&A」も作成したが、その中でもくわしく視覚障害者のた
めの点字(識別マーク)についてふれている。

4.第54回全国盲人福祉大会
 第54回全国盲人福祉大会は埼玉で
  皆さん 参加しましょう!!
主催:社会福祉法人日本盲人会連合
社団法人埼玉県視力障害者福祉協会
会期:5月16日(水)~18日(金)
日程及び会場
【第1日目】5月16日(水)
・日盲連理事会
・日盲連評議員会
・あはき協議会代議員総会
・日盲連スポーツ連盟協議会代表者会議
[会場]大宮ソニックシティ市民ホール
〒331-8669
埼玉県大宮市桜木町1-7-5
電話048-647-4111
【第2日目】5月17日(木)
・第38回全国盲人代表者会議
[会場]大宮ソニックシティ市民ホール
【第3日目】5月18日(金)
・第54回全国盲人福祉大会
[会場]大宮ソニックシティ・大ホール
*大会事務局
〒368-0042
埼玉県秩父市東町23-2
電話0494-22-1926

5.“目が見えない者”削除 欠格条項見直し今国会に
 厚生労働省所管の法律・制度から障害を理由にした欠格条項を削除
する「医師法等の一部を改正する法律案」が3月16日、今国会に提
案されるべく、閣議決定されたが、これより先、2月27日、自民党
政調会の「障害者特別委員会」(八代英太委員長)が東京・永田町の
自民党本部で開かれ、政府が取り組んでいる「法律、制度の欠格条項
の見直し」の現状報告と今後の取り組みについて話し合われた。すで
に欠格条項を削除したりして見直した法律が7本あるが、同委員会で
は改めて「すべての法律・制度から可及的速やかに欠格条項を削除、
やむを得ず欠格条項を設ける場合も絶対的欠格条項とせず、本人の残
された機能や補う科学補助機器等を考慮した相対的欠格条項とする」
ことを申し合わせ、内閣府、厚生労働省、警察庁など関係筋へ強く要
望して行くことにした。
 同委員会には、八代英太委員長ら国会議員のほか、行政側からは厚
生労働省の障害保健福祉部の今田部長、警察庁の田村運転免許課長、
内閣府の吉富参事官らが、また、当事者団体からは、日盲連、日身連、
全日ろう、全日本手をつなぐ育成会など7団体の代表が出席した。日
盲連からは笹川吉彦会長、牧田克輔情報部長が出席した。
 委員会では冒頭、今田障害保健福祉部長が「厚生労働省としては、
27本の法律、33制度の絶対的欠格条項を削除、すべて相対的欠格
条項に改める医師法等の一部改正法を開会中の今国会に提案する」と
報告した。このことは、2月9日に障害保健福祉部が、また2月14
日に医事課が当事者団体に説明、日盲連では加盟団体にそれに対する
意見を求めているところである。
 絶対的欠格条項とは、例えば「目が見えない者、耳が聞こえない者、
口がきけない者…」などと本人の残された機能や補う科学補助機器の
開発などに関係なく、ただ障害を理由に門前払いしている条文のこと。
これに対して、相対的欠格条項とは本人の残された機能、補う科学補
助機器の開発などを考慮して、ケースバイケースで判断していこうと
する考え方。
 今国会に提案される予定の「厚生労働省の医師法等の一部を改正す
る法律案」は、すべて法文中に盛り込まれているこの絶対的欠格条項
を削除し、政省令で相対的欠格条項に改めるという内容。日盲連はこ
の基本的考え方に賛成している。これにより、視覚障害者が大学の医
学部に入学できる道が開かれることになる。
 ただ、医師国家試験に合格しても、医師免許を取得できるかという
と、それは相対的に、つまり、本人の残された機能、補う科学補助機
器の開発等を比較して考慮、ケースバイケースで対処・判断というこ
とになる。
 続いて、吉富内閣府参事官がこの障害者に係る欠格条項の見直し状
況を報告した。それによると、見直し対象制度が63制度あり、うち、
見直しを終了した制度が7制度、今国会に改正法案提出予定の制度が
32制度、見直し中の制度が24制度だった。
 なお、同委員会に提出された日盲連の障害者に係る欠格条項の見直
しについての要望は次の通り。
 (1)視覚障害者の人権を守る立場から厚生労働省所管だけでなく、
他の省庁の所管する法律や制度からも絶対的欠格条項を削除していた
だきたい(2)視覚障害者が免許資格を取得する試験では、点字や拡
大文字及び試験時間延長に配慮していただきたい(3)相対的欠格か、
そうでないかを判断する機関を明確にし、それに携わる専門家の人選
は公明正大に行っていただきたい(4)相対する条件として本人の残
された能力及び、補う科学補助機器に加えて、受け入れる環境の整備
が上げられているが、この環境の整備が欠格の条件にならないよう十
分に環境を整えていただきたい。

6.普通学級への門戸開放 就学基準緩和 文部科学省
 心身に障害のある子どもが小中学校の普通学級に進む道を広げるた
め、文部科学省の研究会議は1月15日、子どもが進む学校を決める
際の基準(就学指導基準)を緩和するとともに、基準では養護学校な
どに進むべきケースでも子どもや保護者が希望し受け入れ可能なら、
通学を認めるよう求める最終報告をまとめた。報告は、入学前に体験
入学の機会をつくることも提言。高校や大学には障害に合わせた入試
を工夫して門戸を広げ、入学後の学習支援態勢も充実させるよう求め
た。
 これを受けて、文部科学省は、「両眼の矯正視力が0.1未満」な
ら「盲学校」などと指定、例外を認めないなど、厳格な運用をしてき
た就学指導基準を約40年ぶりに抜本的に見直す。近年、普通学級へ
の通学を認める市町村の教育委員会が増えており、文部科学省の方針
転換で、この流れが加速しそうだ。
 報告書は、読み書きや計算など特定分野の習熟が困難な「学習障害
(LD)」、注意力を欠き教室で歩き回るなどの「注意欠陥多動性障
害(ADHD)」、知的障害を伴わない「高機能自閉症」の子どもた
ちの実態を把握する調査の必要性も指摘しており、文部科学省は来年
度から全国調査する。
 また、特殊教育免許状を持つ教員が少ないことから、免許を持つ教
員を増やすよう促し、必要な講座を放送大学に開設するよう提言。将
来、盲・ろう・養護学校の教員は、免許を必ず持たなければならない
ようにすることも検討する必要があるとした。

7.アハキ師養成コース変更 5校の盲学校で
 文部科学省の平成12年度アハキ師学校認定会議が3月16日開か
れ、5校の課程変更を承認した。いずれも今年4月1日からの変更で、
認められた5つの盲学校のコースは次の通り。(カッコ内の人数は定
員)
 福岡県立福岡盲学校高等部本科保健理療科(10人、廃止)、同校
高等部専攻科理療科(20人、廃止)。福岡県立柳河盲学校高等部本
科保健理療科(10人、廃止)、同校高等部専攻科理療科(10人、
廃止)。熊本県立盲学校高等部専攻科保健理療科(10人、新設)、
同校高等部専攻科理療科(20人から10人、定員減)。宮崎県立盲
学校高等部専攻科保健理療科(8人、新設)、沖縄県立沖縄盲学校高
等部本科保健理療科(8人、廃止)。
 これにより、全国70校のうちアハキ師養成コースを持つ盲学校が
59校、うち、高等部本科保健理療科の設置校が50校、同専攻科保
健理療科の設置校が33校、同専攻科理療科の設置校が59校になる。
 また、これを定員でみると、本科保健理療科は474人、専攻科保
健理療科が309人、専攻科理療科が606人になる。

8.建築物のバリアフリー義務化 ハートビル法の見直し
 ハートビル法(高齢者・障害者等が円滑に利用できる特定建築物の
建築の促進に関する法律、平成6年施行)の見直しをしていた「建築
物バリアフリー懇談会」(委員長・野村歓日本大学建築学科教授)が
1月29日、国土交通省で開かれ、ハートビル法を「建築物はすべて
の人が安全に利用できるものでなければならない。日常生活だけでな
く、働く障害者の職場もその対象にすべきである。そして、現在の努
力基準を義務基準に改める必要がある」とする報告書をまとめた。報
告を受けた国土交通省では審議会で詳細を詰め、来年をめどにハート
ビル法の改正を目指す。
 同懇談会は昨年10月から4回開かれ、学識経験者、障害者団体代
表者、建築業界代表者らから意見を聞いていた。視覚障害者団体とし
ては日盲連から笹川吉彦会長(代理・牧田克輔情報部長)が同懇談会
に参画していた。同懇談会は、「強制力のない制度では(バリアフリ
ー建築物の)整備率向上が頭打ちになることが懸念される」と指摘。
「ビルの用途に応じ、一定以上の規模の新築建築物についてバリアフ
リー対応とすることの義務づけが必要」と提言、既存の建築物につい
ても努力義務を課すべきだとした。
 具体的には、公共施設や病院、百貨店などで、出入り口や廊下で車
いすですれ違えるように幅の基準を設けることや、身障者対応トイレ
やエレベーターの設置義務化を検討。建物を建てる際に受ける「建築
確認」で、バリアフリー対応となっているかを見て、未対応の場合は
建設できないようにする措置を考えている。
 同省によると都道府県でも同様の条例を設けているところが大多数。
すでに2千平方メートルを超す公共建築物では約7割がハートビル法
の基準をクリアしているが、2千平方メートル未満では4割にとどま
っている。このほか、提言では避難場所及び学校などもその対象にす
べきだと指摘している。

9.第9回アハキ師国家試験合格者(3月29日発表)
 区分、受験者数、合格者数、合格率、前回合格率の順。
あん摩マッサージ指圧師、2119人、1855人、87.5%、
88.4%。
はり師、2660人、2217人、合格率83.3%、81.0%。
きゅう師、2631人、2233人、84.9%、81.5%。

10.福井3段が初優勝 全国盲人将棋大会
 日盲連の第24回全国盲人将棋大会が1月10日、15日の両日、
東京都盲人福祉協会との共催で東京・新宿の戸山サンライズで開かれ、
A級(有段者)では青森県の福井宏郷3段が初優勝、厚生労働大臣杯
を手にした。B級では熊本県の中川春雄さんが優勝した。大会にはA
級に24人、B級に24人の合わせて48人が参加、初日の予選、2
日目の決勝トーナメントに熱戦を繰りひろげた。2位以下は次の通り
(敬称略)。A級:2位・黒鳥貞夫(新潟県)、3位・松田良浩3段
(広島県)。B級:2位・鈴木衛(福島県)、3位・山本栄治(熊本
県)。

11.身障者の生活・就業実態調査 今年6月1日に実施
 厚生労働省は2月19日、東京・霞が関の同省で今年6月1日現在
で行う予定の身障者実態調査(生活と就労)の説明会を開いた。集ま
ったのは日盲連、日身連などの身体障害者団体等で厚生労働省は調査
の協力を求めた。
 身障者実態調査は5年に1回行われているが、今回の調査(平成1
3年度予算に計上)は厚生省と労働省が統合されてから初めての調査。
従来の身体障害児実態調査、身体障害者実態調査に加えて、身体障害
者就業実態調査も併せて行われる。従来の福祉は厚生省、就業は労働
省というタテ割り行政を改める調査方法で両調査のクロス集計の結果
が大いに期待される。
 また、今回の調査で初めて「パソコンを利用しますか」と情報への
アクセスにパソコン利用を問う設問が設けられたのも大きな特色だ。
さらに、前回の調査(平成8年)では、初めて点字の理解度を問う設
問が設けられたが、今回はさらに詳しくその実態を知るため、点字を
必要とするのに点字が出来ない人の割合を推計する設問も設けられて
いる。
 厚生労働省では、これらの調査結果を平成14年度中に出し、平成
15年度から予定される「第2次障害者プラン」(仮称、障害者プラ
ンは平成14年度で終了)の基礎資料にしたいとしている。
 また、それぞれの調査表の点字版は前回同様用意され、希望者には
点字版の調査表が配布される。ただ、調査表の録音テープ版も日盲連
から用意するよう要望されたが、「検討する」と厚生労働省は答えた
だけで確約をしなかった。
 なお、厚生労働省の要請に応えて日盲連は2月28日、この実態調
査について要望書をまとめ、提出した。要望事項は次の通り。
 (1)調査表の「点字版」を作成、対象者の希望に応じて配布して
下さい。(2)合わせて「録音テープ版」も作成、希望者に配布して
下さい。(3)厚生労働行政として生活実態と就業実態がクロス集計
できる立体的な調査にして下さい(省体が別々では、従来の調査と変
わらないように思われるが)。(4)設問7の「パソコン利用につい
て」で補問3を設けて「利用したいけど利用できない理由」を調べて
いただきたい。例えば、視覚障害者の場合、「周辺機器が高い」「マ
ンツーマンで操作等を教えてくれる人がいない」「電話料金などがか
さむ」など。(5)就業実態調査では必ず、障害種別に結果を出して
いただきたい。

12.障害者のIT環境整備 有識者会議等発足
 IT推進有識者会議(総務大臣の諮問機関)の第1回ワーキンググ
ループが2月15日、東京・霞が関の新装なった合同庁舎2号館で開
かれ、全国くまなくネットワークを整備し、地域間、地方公共団体間、
個人間で情報格差が生じないよう、具体的な検討を始めた。同有識者
会議はIT(情報通信技術)推進戦略を現実のものとするため、総務
大臣の諮問機関として設けられ、1月31日に初会合を開いている。
 メンバーはNHKの海老沢会長、日本テレビの氏家社長、松下電器
産業の森下会長、大阪府の太田知事ら。ワーキンググループは、この
有識者会議に具体的な提言を行う機関。委員は利用者側、支援者側、
メーカー側、行政側の4部門から構成され、日盲連は利用者側として
牧田情報部長が参画した。
 ワーキンググループは国、地方、民間の各レベルにわたる情報通信
ネットワークの整備・高度化や格差是正を図ることを目的に6月まで
に提言をまとめ、有識者会議に具申する予定。
 なお、日盲連はIT戦略推進に関しては全国大会の決議等を踏まえ、
(1)操作が簡単で廉価な機器の開発実用化(パソコンに必要な周辺
機器は日常生活用具化)(2)パソコンの操作(ホームページの開設
程度)を教えてくれるパソコン・ボランティアのネットワーク化(3)
点字情報ネットワーク(電話ナビゲーションシステム含む)事業の拡
充・強化、などをあらゆる機会に要望・陳情している。
 一方、障害者のIT環境整備については、もう1つ検討会が発足し
ている。
 郵政省(現総務省)と厚生省(現厚生労働省)共同の高齢者・障害
者の情報通信利用を促進する非営利活動の支援に関する研究会(座長
・高橋紘士立教大教授)の第1回が12月13日、東京・霞が関の郵
政省で開かれた。
 IT(情報通信技術)革命の恩恵をすべての国民が受けられるよう、
なかでも“情報弱者”といわれる障害者・高齢者のIT利用促進の方
策を検討するねらいで開催された。
 同研究会は学識経験者やエンドユーザーの代表らで構成され、日盲
連からは笹川吉彦会長がメンバーに入っている。研究会は今年5月ま
でに6回開いて報告をまとめる予定。

13.IT講習受けよう
 IT講習会が各地で始まっている。平成12年度補正予算で組まれ
た事業(IT講習推進特別交付金)。
 目的は、全ての国民が「IT」時代に対応できるよう、地方公共団
体が地域の学校や公民館などを会場にしてパソコン技能等の習得のた
めの講習会を開催し、「IT」に関する基礎技能を身につけることと
している。講習内容はパソコンの基本操作、文書作成、インターネッ
トを使えるために必要な基礎知識など。
 受講対象者は都道府県に住んでいる20歳以上の者で、当然視覚障
害者も含まれる。受講申し込みは事業主体である市町村の企画部(課
)。受講費用は原則として無料。

14.平成13年度障害者施策関係予算の概要(内閣府調べ)

 平成12年度予算額:1兆2286億7208万8千円
 平成13年度予算額:1兆2532億1218万4千円
(金額は平成12年度予算額、平成13年度予算額の順)
  内閣府
・障害者施策推進経費:7037万9千円、7330万3千円
・ボランティア活動促進:1億4080万6千円、1億3216万円
・障害者への消費者情報提供経費:920万6千円、899万6千円
 小計:2億2039万1千円、2億1445万9千円
  警察庁
・障害者の気持ちに配意した警察活動の推進:5億7287万4千円、
5億426万2千円
  総務省
・恩給支給に必要な経費(傷病恩給):1184億1435万4千円、
1077億2807万8千円
・目の不自由な方のための郵便はがきの発売:3745万4千円、3
816万5千円
・障害者に配慮した取扱内容の通知・案内冊子の作成:2億2949
万3千円、2億3542万7千円
・郵便局舎等のバリアフリーの推進等:26億4516万1千円、3
5億2085万5千円
・巡回入浴サービスの実施2777万3千円、2780万6千円
・字幕放送の推進:5億2017万5千円、5億2019万円
・視覚障害者にやさしいホームページの作成:メニュー事業等であり、
障害者施策関係の額を特定化できないため金額を計上していない
・情報バリアフリー化に向けた研究開発の推進等:10億8821万
5千円、8億7434万3千円(一部はメニュー事業等であり、障害
者施策関係の額を特定化できないため金額を計上していない)
・情報バリアフリー・テレワークセンター施設の整備:2700万円、
2400万円
・参議院通常選挙における身体障害者対策等(12年度は衆議院総選
挙):2億8887万5千円、5億1030万4千円
・災害弱者施設の防災対策強化のための検討:(平成12年度はなし
)、401万2千円
 小計:1232億7850万円、1134億8318万円
  法務省
・司法試験における目の見えない人の受験に必要な経費:55万9千
円、55万9千円
・刑務所等に収容されている身体障害者等の機能回復訓練に必要な機
器整備に要する経費:121万6千円、121万6千円
・障害者に対する差別解消のための啓発活動経費:707万5千円、
707万5千円
・成年後見登録事務処理経費:2798万4千円、2957万5千円
 小計:3683万4千円、3842万5千円
  外務省
・国連社会問題基金拠出金(うち国連障害者基金):787万5千円、
802万5千円
  文部科学省
・障害のある子どもの理解認識の推進、特別支援教育に関する調査研
究、教育内容の改善研究:4億8291万3千円、4億919万円
・特殊教育就学奨励費負担等・設備整備等補助:66億4351万4
千円、67億9660万6千円
・公立特殊教育施設整備費:39億1395万6千円、34億980
0万円
・義務教育費等国庫負担金、初任者研修:1656億5757万3千
円、1667億1659万円
・私立高等学校等経常費助成費補助(特殊教育諸学校等運営費):2
6億8800万円、27億8700万円
・独立行政法人国立特殊教育総合研究所の整備運営等:11億487
2万4千円、20億671万3千円
 小計:1805億3468万円、1822億1409万9千円
  厚生労働省
・障害者福祉施策の推進:6269億8871万1千円、6423億
2217万7千円
・痴呆介護の支援体制の整備:3億2543万円、3億4108万9
千円
・医療提供体制の整備:12億428万1千円、12億9156万3
千円
・思春期児童などの心の健康づくり対策の充実:(平成12年度はな
し)、5047万3千円
・障害者の雇用の促進及び安定のための積極的な施策の推進:256
億2115万8千円、208億4562万8千円
・障害者に対する実践的かつ効果的なリハビリテーションの充実:9
4億5789万7千円、86億9894万3千円
・雇用と福祉との連携による総合的な障害者対策の推進:1億287
1万4千円、1億7209万7千円
・多様な教育訓練機会の確保・提供:56億7796万3千円、57
億9819万9千円
 小計:6694億415万4千円、6795億2016万9千円
  農林水産省
・高齢者・障害者に配慮した生活環境の整備:メニュー事業等であり、
障害者施策関係の額を特定化できないため金額を計上していない
・高齢者・障害者の食生活の健全化及び自立環境の改善:3755万
6千円、3778万9千円
・農林漁業労働災害の未然防止対策等:1億9149万円、1億70
81万円
 小計:2億2904万6千円、2億859万9千円
  経済産業省
・福祉機器等開発動向調査:5934万8千円、7233万7千円
・医療及び福祉機器技術の研究開発等:33億5372万5千円、2
9億5888万7千円
・知的基盤整備(福祉用具評価):メニュー事業等であり、障害者施
策関係の額を特定化できないため金額を計上していない。
・高齢化・福祉社会に対応する標準基盤の整備:メニュー事業等であ
り、障害者施策関係の額を特定化できないため金額を計上していない
 小計:34億1307万3千円、30億3122万4千円
  国土交通省
・交通バリアフリーの推進等:205億8860万円 205億94
80万9千円(一部はメニュー事業等であり、障害者施策関係の額を
特定化できないため金額を計上していない。
・交通バリアフリーボランティア活動支援:(平成12年度はなし)、
2347万円
・研究開発の推進:4650万円、2700万円
・障害者による小型船舶操縦士免許の取得支援のためのガイドライン
の策定:(平成12年度はなし)、3346万円3千円
・「快適で利用しやすい」交通機関・施設実現のための施策の展開:
2931万5千円、(平成13年度はなし)
・車両間転落防止方策の調査研究:1224万6千円(平成13年度
はなし)
・障害者にやさしいまちづくりの推進:2302億9800万円、2
533億1100万円(一部はメニュー事業等であり、障害者施策関
係の額を特定化できないため金額を計上していない)
・障害者にやさしい住まいづくり:メニュー事業等であり、障害者施
策関係の額を特定化できないため金額を計上していない
 小計:2509億7466万1千円、2739億8974万2千円

15.2002年の最終年は日本で盛大に
   障害者の10年で実行委発足 3つの国際会議とキャンペーン
 1993年にスタートしたアジア太平洋障害者の10年キャンペー
ンは2002年に最終年を迎えるが、その締めくくりとそれに続く新
たな10年の出発を期して、この最終年記念フォーラムを大々的に日
本で開くための実行委員会の初会合が3月6日、東京・虎ノ門の全社
協・灘尾ホールで開かれた。この最終年記念フォーラム実施には、日
本盲人会連合をはじめ、我が国すべての障害者団体や専門家が賛同し
ており、各団体から関係者ら100人余りが参加、最終年記念フォー
ラム成功に向けて全力を傾注することにした。
 実行委員会初会合では、実行委員長の板山賢治日本障害者リハビリ
テーション協会副会長が「2002年10月に札幌、大阪で3つの国
際会議を開催し、それに向けて3つの国内キャンペーンを実施する。
21世紀が豊かな社会であるようこれらの成功に全力を出そう」と檄
を飛ばしていた。
 3つの国際会議とは(1)「第6回DPI世界会議札幌大会」20
02年10月15日~17日(札幌市)、(2)「第12回RIアジ
ア太平洋地域会議大阪大会」2002年10月18日から(大阪・堺
市の国連・障害者の10年記念施設)、(3)「アジア太平洋障害者
の10年推進NGO大阪会議」2002年10月18日から(RI会
議と同時開催)。
 そして、3つのキャンペーン事業とは(1)欠格条項総点検キャン
ペーン(2)市町村障害者計画策定推進キャンペーン、(3)情報バ
リアフリーとIT環境の整備推進キャンペーン。
 実行委の初会合では、この3つの国際会議開催と3つの国内キャン
ペーン成功に向けて、この実行委の中に総務企画委員会、キャンペー
ン委員会、広報・記録委員会、財務委員会、国際会議委員会、札幌フ
ォーラム委員会、大阪フォーラム委員会を置き、この7つの委員会の
委員長及び副委員長を決め、さっそく委員会別の検討を始めた。また、
事務局を東京・新宿の日本障害者リハビリテーション協会内に置き、
事務総長に全社協の松尾武昌常務理事をあてた。
 なお、同実行委の親組織である「アジア太平洋障害者の10年最終
年記念フォーラム組織委員会」は八代英太国会議員を委員長に、昨年
12月6日に発足している。
 ところで、このアジア太平洋障害者の10年キャンペーンは国連障
害者の10年(1983~1992年)を引き継ぎ、1993年に沖
縄でスタート。以降、毎年、フィリピンのマニラ、インドネシアのジ
ャカルタなど、アジア太平洋の各国回り持ちで開催され、各国の障害
者福祉増進に一役も二役もかってきた。今年の第9回キャンペーンは
今年12月にベトナムで予定されている。

16.テープライブラリー配布 日自振の12年度分
 日盲連は昭和50年から日本自転車振興会の競輪公益資金の補助を
受け製作してきた実務知識録音版、平成12年度制作25タイトルを、
全国傘下団体や点字図書館等157個所に贈った。
 テープ図書のタイトルは次の通り。
▼あん摩マッサージの手ほどき(1)~(5)
▼ふだん着の料理の作り方(18) 魚を主菜にした献立
▼マスコミ新語事典 2000年版
▼話題の本ダイジェスト 2000年版 今年の文学賞作品から
▼話題の本ダイジェスト 2000年版 経済・社会のベストセラー
▼朗読古典文学平家物語(11)~(12)
▼民話の旅(8)岡山県の巻
▼日本の世界遺産(2)
▼俳句全集(10) 日野草城
▼西行の山家集
▼歴史のふるさとを訪ねる(4)
▼今年の新刊案内 2000年版
▼病院で受ける検査(2)
▼パソコンの手引き(1)~(2)
▼楽しい家庭菜園
▼サプリメント活用法
▼常識健康生活 アレルギーとアレルギー病
▼日本食べ歩き 四国編
▼楽しいスポーツ 生涯スポーツへのいざない

17.合格者は21人 厳しかった点字技能試験
 日本初の点字技能検定試験の結果が3月8日、発表された。応募者
646人(欠席69人)に対して合格者は21人。合格率が3.64
パーセントという大変厳しい試験だった。
 同試験は日本盲人社会福祉施設協議会(本間昭雄理事長)が全国盲
学校長会、日本盲人会連合、日本点字委員会などの協力を得て、さる
1月28日、東京と大阪で一斉に行った。なお、第2回試験は11月
18日(日)東京と大阪で実施する予定。
 第1回点字技能検定試験の合格者は次の通り(敬称略)。
 相田恭子(墨字、埼玉県)、青木こずえ(点字、東京都)、大澤剛
(点字、三重県)、加藤三保子(墨字、福島県)、高坂みゆき(墨字、
埼玉県)、児玉佳代子(墨字、京都府)、坂巻明子(点字、東京都)、
佐賀善司(点字、岩手県)、佐々木庸子(墨字、北海道)、高橋由紀
子(墨字、千葉県)、出口雅弘(点字、東京都)、長江まゆみ(墨字、
愛知県)、長尾博(点字、滋賀県)、広瀬浩二郎(点字、京都府)、
福井哲也(点字、埼玉県)、本田智恵子(墨字、福岡県)、三上洋
(点字、大阪府)、矢口貴子(墨字、宮崎県)、山田恒子(墨字、長
野県)、吉川敞子(墨字、長野県)、渡辺昭一(点字、京都府)。

18.地方議会で点字投票可能に 今国会に提案
 総務省は2月27日までに、視覚障害議員のため、地方議会で行わ
れる選挙で点字投票を認める地方自治法改正案を今国会に提出する方
針を固めた。現行の地方自治法によると、地方議会で議長、副議長な
どを選出する選挙では公職選挙法の一部を準用して、視覚障害議員は
「代理投票」しかできないことになっている。このため、総務省は地
方自治法118条に点字投票を認める規定を盛り込むことにした。
 国会では、1998年7月に参院議院運営委員会理事会で、本会議
での点字投票が認められ、同年の議長選挙や首相指名選挙から実施さ
れている。地方議会では2年前の統一地方選で、視覚障害議員が大幅
に増えたため、権利拡大を求める動きが高まっていた。
 視覚障害者議員ネットワーク(代表・堀利和参院議員)によると、
全国で視覚障害を持つ議員は、地方議員14人、国会議員1人。

19.音声誘導実験始まる JR高田馬場駅で
 JR東日本は3月10日から山手線の高田馬場駅に、視覚障害者に
改札口や券売機、トイレの場所を音声で知らせる音声誘導案内システ
ムを試験的に設置した。昨年11月に交通バリアフリー法が施行され
たのを受け、試験が成果をあげれば他の駅も含め本格導入を検討して
いく。
 この音声誘導案内システムは、券売機付近など16カ所に赤外線発
信機を設置、視覚障害者が携帯型の受信機を発信機に向けると、赤外
線で情報を受け取り、「改札入り口です」「券売機です」といった音
声案内が流れる仕組み。今回の試行では受信機を60~70個用意し
て視覚障害者に配布。音声の大きさや、乗降客が多い時間帯の使いや
すさなどを調べる。